2007年2月14日 (水)

スズカカンアオイを辿って その2

冬の小道この小道は、nancyにとって宝箱のような場所だ。
鮮やかな5月には、チゴユリキンランとここで出会った。
5月の出会いはこちら⇒2006年5月のアーカイブ
そして、スズカカンアオイとの出会いである。

というわけで、あらためてこの小道を歩いた。
5月に見つけた数株の在処は記憶に残っている。
しかし、改めてスズカカンアオイを探す視点になってみると、冬の小道は少し勝手が違っていた。
この場所はコナラなどの落葉樹が多く、彼らの落ち葉によって辺りはすっぽりと覆われていたのである。
とは言え、雪に覆われているよりはずっといいが。

スズカカンアオイゆっくり歩を進めながら株の在処を確認する。
程なく落ち葉にまみれた2枚の葉が目に止まった。
スズカカンアオイだ。

ここで訂正というか説明なのだが、カンアオイの「一株」とは、この株のような、せいぜい葉が2~3枚ある程度らしいのである。
つまり、前回スズカカンアオイを辿って その1で書いたあの大株は、実はたくさんの株の集まりということができるのだ。
ぽつんと離れて一株、また一株と言った感じで、あまり群生しているとは言い難い孤独な雰囲気のスズカカンアオイだが、実際には大所帯でいることもあるのである。
これを知ってなんとなくほっとした。

さて、ギフチョウの食草としても知られるスズカカンアオイであるのに、わずかな葉をぺろりと食べられて個体が枯れてしまったら元も子もなく、種の保存すら危うくなる。
つまりは、この少ない葉だけで株の栄養を一手に担っているわけではないだろう。

ということは、地面の下には栄養を貯えた地下茎が存在していることになるのだが、チゴユリのように地下茎による栄養繁殖でもするのかと思いきや、彼らカンアオイたちの地下茎は、成長するスピードが著しくゆっくりで、年間にわずか数mmしか成長しないと言う。

昨年5月に見たときも、この個体は2~3枚しか葉を持っていなかったことを考えても、彼らは簡単に大きくなるわけでも、増えるわけでもない。
やっぱり自然界に於けるカンアオイの繁殖能力は、恐ろしく低いのである。

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2007年2月13日 (火)

スズカカンアオイを辿って その1

寒くなったら会いに行こう…

ふと思い出したフレーズだった。誓ったのは昨年の5月。
でも、いったい誰に会いに行くんだっけ?…

最近とみに記憶障害激しき(?)nancyの頭の中をまさぐると、かすかに見えてきた濃緑色の葉っぱ。それは、肉厚で斑が入っていて…
ここまで来てようやく会いに行く相手がわかったnancyは、「山に行こう!」と、娘に宣言した。

…と、ここまで書いていたのは1月終わりのことである。
ああ、なんと時間の経つのは速いものだろうか…(涙)

スズカカンアオイ・・・(鈴鹿寒葵)ウマノスズクサ科 カンアオイ属 Asarum kooyanum Makino var. brachypodion 分布:岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀 ギフチョウの食草として知られる

スズカカンアオイ_01

先にも書いたがスズカカンアオイと初めて会ったのは、昨年の5月。
季節はずれの暑さの中でだった。
美しく斑が入った厚みのある葉は、艶があり瑞々しくも深い緑色。
「あ…アオイ?」
"アオイ"と出てきただけまだましで、当時nancyには「アオイ=葵の御紋」くらいしか知識が無かった。
※「葵の御紋」のアオイは、フタバアオイ Asarum caulescensである。

実はこれはスズカカンアオイとしてはかなり立派な株らしく、これ以上大きな株はいまだ目にしていない。
だからこそ、特別意識もしないで歩いていたnancyの目を惹いたのだろう。

自宅に帰って早速図鑑で調べるが、「はて?」と思った。
カンアオイは葉の変異が多く、とても斑の入り方だけでは同定できないらしいのだが、どのカンアオイも、非常に分布範囲が狭いのである。
お陰でこのカンアオイは岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀に分布するスズカカンアオイであろうと同定された訳なのだが、この分布の狭さは何によるものか?

多くの植物は、より広くより遠くへと己が遺伝子を拡散させることを企てていると思うのだが、彼らカンアオイに関しては、どうもそれが当てはまりそうもない。
「寒葵」と言うくらいだから、カンアオイの花の多くは寒い冬に咲くのだが、当たり前だがこの時期は、媒介してくれる虫たちは少ない。
おまけにその花はひっそりと土や枯れ葉に埋もれて咲くのである。

今まで恥ずかしがり屋の花には幾度と無く会ったが、カンアオイはそれを通り越し、敢えて隠れて咲くのであるから、これはまったくもって一般常識の範疇を越えているのである。

スズカカンアオイの花後 さて、再び昨年5月に戻ろう。
もう一度スズカカンアオイに会いに行き、どきどきしながら葉をかき分け、落ち葉や土を指でそっと払うと、既に結実したあとの花が姿を現した。
これが初めて見るカンアオイの花、正確には「花後の姿」である。

まるで親鳥の羽根に大切に守られた巣の中の雛のようだ。
そして思った。是非とも咲いたばかりの花を見てみたい。

図鑑によると花期は3~5月とあったが、この暖冬の影響で早まることも考えられる。
また、インターネットで調べると10~2月とも、1~4月ともある。
う~ん、いったいいつなんだ…
ともかく、善は急げ!とばかりに山へ繰り出したのは、1月21日のことだった。

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2006年12月26日 (火)

モミの木の赤ちゃん

モミの木の幼木 最低限の整備をされてはいるが、滅多に人とすれ違うことなどない、小さな山の小道で、モミの木の幼木と出会った。

モミの木が自然淘汰されるまでの時間(つまり寿命)はおよそ500年というから、この幼木は、この世に生を受けたばかりの赤ちゃんと言ってもいいだろう。
見たところ、樹高はおよそ50cm。
これも、人間の赤ちゃんの背丈ほど…と言った方がいいかもしれない。
昨年この山に登ったときにはまったく気が付かなかったが、きっとモミの実を好むリスやサルの落とし物から芽生えたのだろう…

モミ・・・(樅) マツ科 モミ属 Abies firma 日本特産の針葉樹 分布:本州~九州

山の小道とは言っても、薄暗い森の中ではない。
尾根筋とでも呼ぶべきだろうか、つまりはモミの好む、すこぶる水はけの良さそうな場所である。
しかし、この道は人ひとりがやっと通れる程度の道幅しかない。
成長したこのモミの木は、そのうち道をふさいでしまうかも…と少し心配になった。

モミは大きなもので40mにもなる常緑高木だから、もっとずっと先には遙かに背丈が伸びて、枝が道を通せんぼすることはなくなるのにな…でも、せっかちな人間はそれまで待てないだろうな…

昨年の「モミの木」はこちら
モミの木とシベリウス
モミの木とクリスマス・ツリー

モミの木

モミは日本特産の針葉樹である。
なんだかバタ臭い雰囲気のあるモミの木だが、日本人とは切っても切れない縁で結ばれてきた。
ちょっとびっくりするが、誰しもきっと一度は入るだろうお棺や、お墓に立てられる卒塔婆(そとば)が、モミの木で作られているのだという。
その他、結納台に、小田原かまぼこの板…。これらにもモミが使われている。
それは、モミの板が白くて無味無臭であり、見た目にも清浄な雰囲気があるからだが、実際モミの材に、抗菌性調湿性有害物質を吸い取り除去する効果のあることが、昔の人たちにはわかっていたのである。
なんだか今まで抱いていたモミのイメージが、がらっと変わってくるではないか。

モミの木の葉先 さて、こんなに小さくても、モミの同定はたやすい。
いや、“小さいからこそ”、かもしれない。
モミの葉先は、ちょうど先割れスプーンみたいに2つに割れてとがっているのだが、成木になるとこの特徴は薄れて、とがっていた先も丸くなるのである。
だから、どこかでモミの木を見つけて葉先が2つに割れてとがっていれば、その個体はまだ若い、ということになる。

ちなみに、同科ツガ属のツガもよく似た葉を持っているが、ツガの葉の長さは1~2cmと、モミの2~3cmより短く、またツガの葉は2つには割れずわずかな窪みがあるだけなので、注意すれば見誤ることは少ないだろう。

さて、モミの木は大気汚染に敏感な植物で、およそ都会の汚れた空気の中では育たない。
つまり、このモミの木の赤ちゃんは、この場所が間違いなく空気のきれいなところであると、身をもって証明してくれている…というわけなのだ。

これこそが、一見何にもなくてつまらなそうなこの山の、一番の贈り物なのだと思った。

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2006年12月 9日 (土)

ヤブコウジ

以下、「それが今頃どうした?」の話題で恐縮だが…
12月に入ってしばらくの間、怒濤の忙しさが続いていた。(もっとも、nancyの忙しさなんて、たかが知れているが…)
それも無事に明け、この「ヤブコウジ」が下書き保存のままだったのでアクセスしようとするも…「あれ?メンテナンスかしら?」
ま、最近すっかりブログもさぼり気味なので、この時はあまり気にしなかったのだが…

翌日になってアクセスするも、「あれ?…まだメンテ?」
…なんと、ニフティは56時間もメンテをしていたらしいのである。

そう言えば、前も2日間メンテがあったっけ… 
しかし、それが3日となると大記録である。次は4日か?
さすがのニフ、何事においても記録を作るものよのぉ~(拍手喝采)
なんてことを思いながら、それだけ長いメンテだもの、どんな変化があるのだろう?
と、楽しみに開けたのだが、
「あれ、?なんの変化も無いぢゃない。。。」

なんと、メンテしたらなぜか負荷が高まっちゃったので、とりあえずメンテ前に戻しました。ですと…。
う~ん、さすがのニフティ、3日も留め置いて良い仕事してくれるものである。
今度こそフリーにしようかしら… (泣)

さてさて、気を取り直そうか…話がヤブコウジでなかったら、またもお蔵入りになるところであった…(苦笑)

ヤブコウジヤブコウジは、小さな小さな木。
左の写真の個体でだいたい樹高10cmほど。
こう見えても幼木じゃない。これでも立派な成木なのだ。

世界一小さな樹木…というわけではないが、こんなにきれいにちんまりとまとまっていて、これが作り物じゃないなんて、誰が信じるだろう…
しっかりとした厚みのある葉には光沢があり、縁にははっきりとした鋸歯(ぎざぎざ)がある。
なりこそ小さいが、ヤブコウジのイメージは弱々しさとは無縁だ。

ヤブコウジ・・・(藪柑子) ヤブコウジ属 ヤブコウジ科 Ardisia japonica 常緑小低木 樹高10~20cm 分布:本州、四国、九州 別名:十両

ヤブコウジは平安の昔から日本の山で生きてきた。
小さな身体に常緑の葉をまとい、ちょこんと赤い実を付けた可愛らしいヤブコウジは、永きに渡って日本人に愛され続けてきた。
たとえ‘なり'は小さくても、艶のある真っ赤な実ははっきりと存在を主張して、見る者の心に何かを刻みつける。

ヤブコウジさて、ヤブコウジは仲間と共にいることが多い。(余談だが、背後にはソヨゴの葉、手前にはテイカカズラの幼木が顔を出している。)
この写真でも、周囲に仲良く写りこんだヤブコウジを認めることができる。実は彼らは地下茎で結ばれているのである。・・・と言うよりも、発達した地下茎が分枝して、明るく条件の良さそうな地上を見つけては、ちょこんと地上茎が顔を出すのだ、とも言える。

そう考えれば、付近のヤブコウジは全て同じ個体とも言える。
やれ、小さい小さいと書いては来たが、全体で一つの生命を有するのならば、それほど小さな樹木とは言えないのかもしれなく、これは、先頃エントリーしたばかりのテンニンソウとも共通することなのかもしれない。

ヤブコウジ

人間は、とかく目に見える範囲のことで物事を判断して、手前勝手な基準を設けてしまいがちだ。
足下のちっぽけなヤブコウジ、見た目は草っぽいが、実は樹木であるテンニンソウ

「星の王子様」に出てくる帽子の絵が、実は大きな象を飲み込んだうわばみかもしれないことを、常に謙虚な気持ちで受け止めるべきなのだ。

本当に大切なものは目に見えないんだよ。
(物事の本質は眼では見えない)

この小さな山を登っていると、「樹木の根」の存在が、いかに山を支えているかと教えられるのだが、ヤブコウジもまた、その地下茎でしっかりと山を支える仲間の一つなのである。
山=地球=宇宙にも思え、彼らがいかに多くのことを教えてくれるかと、今さらながら気づかされたのだった。

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2006年11月28日 (火)

東屋のわきで… ヤブコウジの赤い実

山の道…と言うわけで?登りだしたわけだが、歩くのは昨年と同じルートである。(…てか、それしかない)
標高500m程度の小さな山だが、それとて登るのは意外にきつい。
ルートのほとんどが人ひとり歩くのもやっとの細い道であり、足下には枯れ葉が多く滑りやすいのだ。

昨年のnancyの興味はどちらかというと樹木よりも草本に目が向いていたから、似たような木ばかりで樹下にはシダ植物が生い茂るこの山に行きたがる娘の気が知れなかった。
しかし、歩き始めて間もなく、そんな気持ちは変わっていったのである。
あれ、この山ってこんなに面白かったっけ?

さて、ちょっときつめの坂をがんばって一気に上ると、東屋(あずまや)に出る。
この東屋については昨年ぷち登山 その2で書いたが、もちろんここで昼食タイムとなる。
なにせこの小さな山では、この東屋を過ぎると「平らで落ち着ける場所」にあずかることは難しくなるのだ。

早速、お待ちかねのおにぎり(薄味の梅菜めしに、中身は焼きたらこ)登場!なのだが、お待ちかねどころか、まだスタートして30分も経っていない。
実は、今回も家を出るのが遅くなり、とっくにお昼時間を過ぎていたのである。
しかし、家でお昼を食べて出るほど我々は愚かではない。(笑)
「東屋でおいしいおにぎりを食べる」という目的を達成するための綿密な計算に基づき、おにぎりと同時に空腹をこしらえてきたのである。(汗)
もちろん、澄んだ空気の中で食べるおにぎりのおいしさは言うまでもなく、ミルクもおやつを貰って、つかの間の幸せ気分が広がった。

ヤブコウジさて、出遅れたのであるからそうそうのんびりしてはいられない。
すっかり口癖になってしまった、秋の陽はつるべ落とし
二つずつある大きめのおにぎりを、それぞれ一つずつ残して東屋から降りると、ヤブの中に小さな赤い実が光っているのを見つけた。

あ、ヤブコウジだ…

ヤブコウジ・・・(藪柑子) ヤブコウジ属 ヤブコウジ科 Ardisia japonica 別名:ジュウリョウ 常緑小低木

小さなかわいいヤブコウジ
早速しゃがんでカメラを向けると、ふと思い出した。
確か、昨年もここでヤブコウジに会って、こうして写真を撮ったっけ…
同じ場所で同じ顔に出会ったので、ついうれしくなってしまった。

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2006年11月14日 (火)

今度は毛虫? テンニンソウ

テンニンソウの花 ようやく満開となったテンニンソウである。
実際には、10月後半のことなのだが。

ヒノキの大木の下、イモムシから歯ブラシへと変化したテンニンソウ、その後はぐるりと円筒状に、次々と淡黄色の花を咲かせていった。

テンニンソウ・・・(天人草) テンニンソウ属 シソ科 Leucosceptrum japonicum 花期:10月 落葉半低木

さて注目。上の「半低木」とは、草のように見える樹木のことだ。
つまり、テンニンソウはいかにも草っぽいし、名前に「草」とは付くが、左サイドバーの白岩先生の植物教室によると、実を言うとこう見えても木本、樹木なのである。

そこで気になる「草本と木本の違い」についてだが、めちゃくちゃ簡単に無理矢理一言でざっくり言えば、「茎の周りに形成層があって年々太く育っていくものが木である」のだが、無論これも一概には言えないらしい。

ともあれ、テンニンソウは木本である。
地上部の茎は草状で、冬など「生育に不適な時期」には枯れるのだが、下部や地下茎は木質化しており、大きく全体を見れば立派な樹木なのだ。
発達した地下茎によって、地上では大群落を形成することもある。
そうなれば、群落そっくり丸ごと、一つの樹木とも言えるのかも知れない。

テンニンソウの花というわけで再びテンニンソウの花を見つめてみると、う~ん、今度はイモムシから毛虫へ???
なぜかnancyの想像はキモカワ系に行ってしまうのだが、実際テンニンソウの花は、あまり美しいとは評されない。

それなのになぜ「天人」などという素晴らしい名が付いたのか…
通説では、テンニンソウの葉はアブラムシたちの格好の餌食になりやすく、ひどくぼろぼろに食われた葉がまるで天人の羽衣のようだから付けられたらしい、というのだが…

以下はあくまでnancyの想像だが…
薄暗い森の道沿いに群生したテンニンソウの花は、そこだけほんのりと明るく見える。
つるべ落としの秋の陽…。人工的な強い光のない森の中で、テンニンソウの花の放つぼんやりとした明るさは、道急ぐ人にどれほど安心感をもたらしたことだろうか。

もちろん、テンニンソウと名付けた人は相当なロマンチストであったに違いないし、もしかしたらすごく良いことがあって、すこぶる機嫌が良かったのかもしれないが、薄暗い山の中で出会ったテンニンソウの群落に天人を見出したとしても、ちっとも不思議ではない。
常に煌々と光が溢れ、闇夜と同時にメルヘンをも失った現代においては、決してテンニンソウなどという風雅な名が付くことはないだろう。

テンニンソウの花後 さて、ようやくテンニンソウの現在の姿に追いついた。
とある低山での一コマであるが、半分道に迷いながらなんとか降りたところに沢があり、迷っているのについ好奇心を押さえきれず進んでみると、木陰に隠れたテンニンソウに偶然出会えたのである。
道に迷った心細さの中で、ばったりと知人に出会えたような気持ちになったのを覚えている。

小さな滝の音が常に聞こえる中、沢沿いのテンニンソウの花穂は、既に萼片を身にまとうばかりとなっていた。
もちろん、その中では大切な種が育っている。

(nancyが勝手に、であるが)イモムシから歯ブラシ、毛虫…と、転生を繰り返したテンニンソウ、ここに来て初めてシソ科らしさが見えてきたような気がした。

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2006年11月 9日 (木)

イモムシに別れを告げて テンニンソウ

11月に入ってなお時の流れは加速度を増して、この分ではあっという間に年末だ。
毎年のことながら、思いやられる今日この頃である。

テンニンソウの花さてテンニンソウ
いよいよ開花である。イモムシともお別れの時が来たのだ。
ちなみにこれは幼苗の方のテンニンソウ
つぼみがまばらなので観察には打って付けである。

いったいどんな花が咲くのかと思ったら、粟粒のようなつぼみが開いて、ぴょんぴょんと飛び出したブラシの毛、毛、毛。
あれ、イモムシから今度は歯ブラシになるのか?…と言いたいくらい、なかなかな変身ぶりである。

テンニンソウの花イモムシを形成していた、あの幾重にも重なったはいったいどこへいったのだろう?
注意して見てみると、茶色に変色した苞のなれの果てが、花の付け根にしがみついている。
そう、イモムシと見まがうばかりにしっかりとつぼみを守ってきたは、その役目を終えると茶色に枯れ果て、静かに落ちていくのである。

テンニンソウの花、目立つ“毛”の正体は、4本の雄しべだ。
花自体は淡い黄色の唇形花であり、正直言ってまったく目立たない。
その代わりと言ってはなんだが、長く突き出した雄しべが華やかに主張しては虫を誘う。

テンニンソウが満開を迎える頃、巷では次第に昼夜の気温差が大きくなり、木の葉もそろそろその身を色とりどりに染め往くのである。

テンニンソウ・・・(天人草) テンニンソウ属 シソ科 Leucosceptrum japonicum 花期:10月

ところで余談だが、写真手前に黒く見える物体は、コバノカモメズルである。
これまた山野草の一つであり、その変わった形の実が、まさにカモメの飛んでいる姿に似ているので、この名がある。
実は今年、この花を撮ろうと開花を待っていたのに、まんまと失敗した。(悲)
なにせコントラストの低い、地味で極小な花である上、蔓の先で咲き、ほんの微風でも揺れまくるのだ。
なので、コバノカモメズルについては、運が良ければまた来年ご紹介することとしたい。
…とは、相変わらず気の長い話であった。(笑)

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2006年10月31日 (火)

イモムシ転じて… テンニンソウのつぼみ

テンニンソウは、2年越しで追いかけている花だ。
…そう言うと聞こえは良いが、要するに昨年エントリーし損ねただけなのである。(汗)
今年も既に最盛期は過ぎている。
毎年、似たようなことをやっているものだとつくづく思う。

テンニンソウ・・・(天人草) テンニンソウ属 シソ科 Leucosceptrum japonicum 花期:10月 

テンニンソウは、10月半ば過ぎ頃に咲く、秋の花だ。
もう、ぼちぼち花は終わりかけている頃だろう。

テンニンソウのつぼみ 最初にテンニンソウに出会ったのは、2005年10月10日頃のことだ。
それも娘の通うスイミング・スクールの敷地内でのことである。
だから、写真には白いフェンスが写っている。
実は、この場所自体が山の麓にあり、昔々森だった名残がそっくり残されている。
よって、こんな「山の植物」にお目に掛かることができるのだが、こんな場所でテンニンソウに出会うとは、正直意外だった。

テンニンソウのつぼみ意外ついでにもう一つ。最初に見たとき思ったのは、
なんだこれは???
…である。
葉っぱ自体は、難の変哲もなさそうな普通の葉っぱである。
ところが、その先になにやらへんてこな物体が付いている。これが、どう見てもでっかいイモムシにしか見えなかったのである。

探してみるとイモムシは他にも見つかった。 どうやら動く様子はない模様である。
つまりこれは、この植物の「つぼみ」ということなのか…?

撮影時にはテンニンソウという名前すらわかっていなかったのだが、いったいどんな花が咲くのだろうか…
期待は膨らんだ。

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2006年10月 9日 (月)

冴えた秋空に輝く… クサギの実

クサギは、実に印象的な樹木である。
このところめっきり忙しくなって以前のように山へは行けないのだが、それでも赴くたび、心に何かを残してくれる樹木の一つなのだ。
ここに登場するのも4回目。すっかり常連さんとなった。
今年8月のクサギはこちら

クサギの実抜けるような青い空を背景に、輝くクサギの実。
それは言葉を失うほどに美しい光景。
一種金属的な光をも感じさせる「星形の萼片」に乗った、「群青色の丸い実」が誘うものは…

クサギ・・・(臭木) クマツヅラ科 クサギ属 Clerodendron trichotomum 北・本・四・九・沖縄に分布する落葉低木 花期8~10月

山は実りの時期を迎え、そこここに豊かな賑わいを見せていた。
鮮やかな木の実に誘われるのはnancyだけではない。
多くの木の実は、小鳥たちの為にある。
メジロにヤマガラたち…、その可愛らしい姿が驚くほど間近に来ると、ぐっと息を飲み込んだまま動けなくなってしまった。

クサギの実小鳥がおいしくお腹に納めた種は、発芽率が抜群に高くなる。
…もっと遠くへ、遙か遠くへ…
命あるものにとって絶対的な使命である、己が子孫を永く伝え、広く遷移させること。
食する鳥たちは命を繋ぎ、食される木の実もまた命を繋ぐ。
太古の昔に交わされた契約が、今も厳格に守り継がれているのだ。

風に頼むものあり、虫に頼むものあり。
それぞれに工夫を凝らしたその姿は、秋の陽を浴びて更に輝くのである。

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2006年9月27日 (水)

アケボノシュスラン (曙繻子蘭)

アケボノシュスラン 小さな小さなその花は、たったひとりで咲いていた。
秘密の小道のその奥で、ただ、ひそやかに咲いていた…

アケボノシュスラン・・・(曙繻子蘭) ラン科 シュスラン属 Goodyera foliosa (Lindl.) Benth(標準) 山地の林内に生える常緑の多年草 草丈5~10cm 花期:8~9月 分布:本、四、九

久しぶりの山で、久しぶりの道を歩いた。
ここはまさに秘密の場所だ。
訪れる者はわずかと見え、誰かと出会った試しがない。
だからこその「出会い」が、ここにはある。

ここは、あのキンランと出会った小道よりも標高が高い。
太陽の強い光は木々に遮られ、淡い光の衣となって辺りを柔らかく包み込む。
常に山肌を湧き水が伝い、静かに渓流へと溶け込んでいく。
足下は常に湿っており、そこに漂う空気までもがしっとりとしている。
そんな環境の下、ここにはいろいろな湿地植物がひっそりと息いているのである。

Akebonoshusuranup2人ひとりがやっと歩けるような細い道。
山寄りに少し高くなった、水はけの良さそうなところに、アケボノシュスランは咲いていた。
アケボノシュスランは、本当に小さく、目立たない花だ。
その草丈はわずかに5~6cmほどか…
あたかも、そっと寄り添う恥ずかしがり屋の少女のようだ。
渓流の水の音響く足許で、その名の由来となったほんのり紅に染まる花が二つ、かすかに光っていた。

アケボノシュスランとは、これが初めての出会いである。
いったい何という花だろう…
とりあえず手持ちの図鑑をめくってみたが、まさかラン科のお花とは思わなかったので皆目わからない。
そこで、いつものように左サイドバー・リンク集のMOCAさんに教えを請うたのだった。

その花の名はアケボノシュスラン、もしかしたら上流か近隣に集団があるのかも…。この個体はまだ若い株のようだし、ここで増えてくれたらうれしいですね。…とのこと。

名前さえわかれば、さぁ満足…ではなかった。
アケボノシュスランは希少種で、地方自治体によっては絶滅危惧種に指定されている種である。
希少な野生蘭ということは、イコール盗掘の危険にさらされている花なのである。

Akebonoshusuranleaves nancyは「盗掘」という話を聞くたび、ひどく憂鬱な気分になってしまう。
例えばサギソウなどは、一度自生地から出たものは、二度とその地で根付くことが出来ないと言う。
こうして住み処を失われてしまった花たちのことを思うと、どうにも哀しくてたまらなくなってしまうのだ。

アケボノシュスランは、湿り気のある薄暗いところを好む。
湿度は必要だが蒸れは嫌い、水はけの良さも生育条件の一つとなる。
空気は決してよどむことなく、いつもわずかに風の感じられる場所。
すなわちアケボノシュスランは、こんな秘密の小道だからこそ咲く野生ランなのである。

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2006年7月20日 (木)

フジイバラ 小さな株の大きな花

うんざりするほど暑い日が続いたあと、うんざりするほど雨が降った。
昨日の午後には雨もやみ、突然の爽やかな陽気に驚いたが、今朝起きたらまたしても雨。

毎年、梅雨が明ける頃には大雨に見舞われる。
逆に言えば、大雨が降らなければ梅雨が明けないようで、映画の中で「ただじゃ帰らないよ!」と居座る高利貸しのようだと思う。

フジイバラさて、この天気でなかなか野山にも繰り出せないが、7月の山で見掛けた野バラのお話。

これは、フジイバラの花だ。
足下で咲いているまだまだ小さな幼木だが、咲いた花はアンバランスなほど大きく豪華だ。

フジイバラ…(富士薔薇) バラ科 バラ属 Rosa fujisanensis (Makino) Makino 本州(中部 紀伊半島)、四国(北部)に分布する落葉低木 花期:6~7月

5月の半ばから咲いていたノイバラの花が散った後、フジイバラの花が盛りを迎え、山に咲き誇る。まるでリレーのようだといつも思う。

ノイバラ右の写真は5月のノイバラだ。
たまたまこのノイバラはピンク色が被ったちょっと珍しい個体なのだが、大抵のノイバラは白花なので、花の造りだけを見ると本当に良く似ている。

ノイバラの花は直径約2cm程度だが、フジイバラの花はノイバラより一回り大きくて、直径約2.5~3cmほど。
花こそノイバラより大きいが、葉はむしろ小さく見えるくらいなので、双方の花と葉のバランスはずいぶん違う。

フジイバラの葉 葉は、どちらも互生で奇数羽状複葉なのだが、フジイバラの一番の特徴として、「小葉に光沢がある」ことが挙げられる。
ノイバラの葉は、2枚目の写真を見てもわかるように、葉の表面にはしわがあり、光沢は感じられない。
※羽状複葉…葉が軸(葉の中心の軸)の両側に羽のようにつき、全体として1枚の葉を形成しているもの。

フジイバラの花 フジイバラの花を改めて見てみると、どこまでも純白な、縁波打つハート型の花弁が実に美しい。
加えてたくさんの雄しべが華やかさを引き立てている。
花柱(雌しべ)の上方は合着して柱状となり、毛が密生している。(ノイバラの花柱は無毛)
また萼片にも毛が多い。

フジイバラは、その名の通り、富士山を始め、箱根、丹沢一帯に多く、北は秩父山地、西は大峰山地、四国では四国山地の一部に点在している、日本原産の野バラ、ワイルド・ローズであり、バラ属の中でも標高の高いところに生える種類の一つだ。

当たり前のようにフジイバラが実生で芽生え、こうして華麗な花を咲かせること。
そして、当たり前のようにその姿を見ることができるのは、本当に幸せなことだと思う。

林の中に漂うフジイバラの香りは、からりと晴れた夏の日を呼んでくれるような気がした。


大雨が各地で甚大な被害をもたらしています。犠牲になられた方のご冥福をお祈りすると共に、被災された方々には心からお見舞い申し上げます。

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2006年7月 5日 (水)

7月に咲いたウツギの花

一番最初に出会ったテイカカズラの花のすぐ脇に、ウツギの木がある。

ウツギ・・・(空木) ユキノシタ科 ウツギ属 Deutzia crenata 北海道、本州、四国、九州に生育する落葉低木 別名:卯の花 花期:5~7月

ウツギと言えば、童謡「夏は来ぬ (作詞:佐々木信綱)」で、「卯の花のにおう垣根に…」と歌われている「卯の花」のことである。
これ、食べる「卯の花」ではなく、卯月(旧暦の4月)に咲くから「卯の花」と呼ばれるようになったのだが、旧暦の4月と言えば、現在の5月にあたる。

ウツギの花つまりウツギは、(寒地を除き)だいたい5月半ば頃から咲き始めて、夏が来たことを知らせているのである。

というわけで、右は5月末の「卯の花の匂うほど」たわわに咲いた、ウツギの花だ。

ウツギの花

しかし、左の写真を撮ったのは7月に入ってからのこと。
ちなみにこれは同じ個体なので、約1ヶ月後の姿ということになる。
もうとっくに花が終わり、かわいい実がたくさんなっているはずなのに、「あれ~?!」
…ほんの一枝だけ、きれいに花が咲いているのである。

ウツギ もちろん、「独楽(こま)」みたいな形のも同時になっており、一つの枝の中で新旧の6月が相対しているような状態なのだ。

なぜ、この花だけ1ヶ月近くも遅れて咲いたのか。
ここだけ寒いわけでも日照が悪いというわけでもなく、遅れてやってきた人へのサービスというわけでもあるまいに、よく見ると花の周りの葉だけなんだか若々しいし、ひょっとして誰かがいたずらして時間を止めたのだろうか…

…なんて、ちょっとSFチックに走ってみたが、人間と同じように、いつも先走って咲く花、相当出遅れて咲く花あり、文字通り「花も実もある人生さ」、というところだろうか。(笑)

ウツギと名の付く木は多い。
例えば、先日書いたタニウツギはスイカズラ科なので、今回のウツギとは縁もゆかりもないのだが、要するに枝が中空、もしくはすぐに中空になるので「空木」というわけである。
昔は燃料としてしばしば枯れ枝を火にくべただろうから、パンパンと爆ぜる中空の木にびっくりして、思わず命名したのかもしれない。

さてさて、「夏は来ぬ」どころか、「梅雨明けて、早く来い来い」と言いたいようなじめじめ陽気である。
体調崩されぬよう、くれぐれもご注意されたし。

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2006年6月29日 (木)

6月の残像 ~テイカカズラ その2

テイカカズラについて、あの葉っぱと白い花との関係が不透明なまま、6月も山を歩いた。

テイカカズラ…(定家葛) キョウチクトウ科 テイカカズラ属 Trachelospermum asiaticum  東北以南の林内に生えるつる性常緑低木

テイカカズラの葉 相変わらず、山のあちこちで「あの葉っぱ」を見掛けた。
どう見ても単なるつる性の観葉植物にしか見えないが、このテイカカズラは、藤原定家にちなんで名付けられ、別名の「まさきのかずら」として古今和歌集に登場するほどの、由緒ある植物なのだ。

ただし、テイカカズラは花が咲くほどの成木になると葉の様子は若干変わってくるらしい。
しかし元が同じ植物なら、あの葉っぱと花とが繋がった場所にあってもいいじゃないか。
どこか納得できなくて、頭の中のテイカカズラはぼんやりとグレイアウトしていた。

…と、この謎が突然解けたのが、オトシブミと再会した帰り道のことである。
時間は5時半を回っていたが、辺りはまだまだ明るかったので、ほんのちょっぴり寄り道したのだ。この日はいつもの場所を素通りして、もっと山の奥に入ったものだから、顔なじみの木々に挨拶しようと立ち寄ったのである。

キリギリスの赤ちゃんキリギリスの赤ちゃんと遊ぶ娘を横目に、こちらは初めて出会ったモンキアゲハ 昆虫エクスプローラ内)を追いかけていた。
しかし、夕暮れ近い時刻に終始羽ばたいているモンキアゲハは、とてもじゃないが撮影できたものじゃない。
「ああ、残念…」とあきらめたところに、ふっと甘い香りが鼻腔をくすぐった。

テイカカズラなに…?
…見上げればそこに、無数に見える白い花。
遠目にはジャスミンの花にも似て、アラカシの樹に絡まる長いつる…。
え?もしや、これが?!

そう、これがテイカカズラの花だった。

テイカカズラどこからどこまでがテイカカズラ本体なのか…
全体の写真も撮ったのだが、絡みつかれているアラカシの樹と同化してしまい、わけのわからない写真になってしまったので、アップはしない。(苦笑)

それにしても、なんと高い場所で咲いていることか…;
これがテイカカズラと知らなければ、芳しい香りの主はいずこ?と、通り過ぎてしまうだろう。

テイカカズラは自分で自身を支える必要のないつる植物だ。
だから、どんどん長く、どんどん高く…しまいにはこんな高見にまで這い上がって、ようやく花を咲かせるのである。

テイカカズラの花 この個体は、選んだパートナーがアラカシだったお陰で、しっかりと伸びた様子で危なげがない。
しかしよくぞ登ったもので、ここまでの高さは3m程、つるの長さは5m以上もあるだろうか。

よいしょ!と切り株に乗ってみたが、花をうまくフォーカスするのはちょっと難しかった。

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2006年6月26日 (月)

6月の残像 ~テイカカズラ その1

山を歩いていて頻繁に見掛けるけれど、いまだ「名前のわからない植物」がいくつもある。
あまりに何気なさ過ぎて、日常的な山の風景に完全に溶け込んでいるのだが、改めて「はて、これっていったいなんだろう?」と図鑑をめくっても、皆目見当が付かなかった。

テイカカズラ ツタの一種だろうか…
どこかのお宅でプランターに寄せ植えされているのを見掛けたような気がするが、つまりは観葉植物なのか?

個体差の大きい、一風変わった葉っぱである。
ちなみにこの写真は今年の2月に撮影したものだが、つまりは厳冬の中でも落葉しないのだ。
よって、一年を通して一般常識のように山のいたるところで見掛けるので、知らない自分が恥ずかしくなるほどだったが、何かの折りに触れて左サイドバーリンクのMOCAさんに訊ねてみたのである。

テイカカズラの新葉さすがはMOCAさん、呆れもせずに、「おそらく『あれ』だろうけど、念のために違う写真を…」とのことで、再度撮りに行ったのは、5月20日のことだった。
こちらがその写真。

テイカカズラの新葉 萌え出た頃の赤ちゃん葉は、細くて黄色っぽい。
よく見ると表面には毛が生えている。
みんな行儀良く対生しており、新葉でありながら厚みの感じられる葉で、既におもしろい葉脈(模様?)がわかる。

MOCAさん、この写真で「やっぱり!」と、即答下さった。
答えは「テイカカズラ」だというのである。

テイカカズラ…(定家葛) キョウチクトウ科 テイカカズラ属 Trachelospermum asiaticum  東北以南の林内に生えるつる性常緑低木

テイカカズラなら、そろそろ白い花が見れるはず」と聞いて、ますます驚いた。
え?!これって、花が咲くのぉ?
この葉っぱと、キョウチクトウ科の白い花…?
これらが頭の中でちっとも一致しないまま、6月も山へと通ったのだった。

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2006年6月18日 (日)

オトシブミを追って

Otoshibumiyoran02 親オトシブミとの対面は一瞬で終わったが、そのシルエットはくっきりと印象に残った。
「色は黒く、首がやたらと長い」のである。
これだけわかればなんとかなるかな…と思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。

元々少し薄暗い樹下でのことで、おまけにわずか一瞬の出来事だ。「黒」と言っても、濃い茶色ではなかったかと聞かれれば、はっきりとは否定できない。
所詮人間の記憶なんていいかげんなものである。ことに自分の記憶こそが一番アテにならないことは、常日頃痛感していた。(苦笑)

伊澤和義さんのホームページ「オトシブミ・チョッキリの世界」に掲載されている写真を見てみたが、いくつか候補は挙がったものの、「黒っぽくて首が長い」だけではとても一種に同定しきれるものではなかった。

ただ、nancyの見たオトシブミが、揺籃を巻いた虫でないことは明らかだった。
なぜなら、「首が長い」ということは、それがオスであったということを物語っているからである。
そう、オトシブミの揺籃を作るのは、メスだけなのだ。
メスの仕事中、オスが近くにいるときがあるが、この場合も手伝うことは絶対にないらしい。
つまりnancyが見た虫は、揺籃内の卵のお父さんということになる。

さて、虫の同定の決め手になるものに「食草」がある。
一種、もしくは2種くらいに限定されたした食草を持つ虫がいるのである。
もしかしたら、この揺籃のホスト木を同定できれば、オトシブミの種類も同時に同定できる可能性があるのではないかと考えたのだ。

そこで、今度はこの木の同定ということになった。
しかし、自慢じゃないが花が咲いていない木の見分けにはとんと自信がない。(咲いていたって怪しい;)
と言うわけで、今度は左サイドバー「参考サイト」にリンクを張らせて頂いている「このきなんのき」の掲示板で教えて頂くことにした。
ちなみに、ここには怖ろしいほどの?眼力の持ち主がたくさんおいでで、今まで質問してわからなかったことは皆無である。
今回も実に速やかなお答えを頂いたのだが、その回答こそが、今回のオトシブミが「その種類でなければならない」と言えるほどの、確かな証拠となり得たのである。

この木はエゴノキだったのだ!
これにはびっくりした。エゴノキ なんと、エゴノキとな!
エゴノキならちょうど川の向こう岸に、つぼみをたくさん付けた木があり、下界ではもう花は終わりかとあきらめていたのでうれしくなって写真におさめていたのである。
こちら岸の木には花がなかったので、エゴノキだなんて想像もしなかった。なんともおまぬけなことである。

エゴノキ・・・エゴノキ科 エゴノキ属 Styrax japonica 北海道・本州・四国・九州・沖縄に分布する落葉高木 花期:5~6月

と言うわけで、nancyが見たのはその名もエゴツルクビオトシブミだったのである。
エゴツルクビオトシブミは、エゴノキをホスト木とするオトシブミであり、その姿は真っ黒で、オスの首は極めて長い。写真を見て思った。「そうそう、この虫!!」
こうして3つの要素が揃い、同定までに至った経緯は、まるで一つの物語を紐解くようで、心からわくわくさせてくれた。

しかし、物語はこれで終わったわけではない。
実はエゴノキ自体、大変おもしろい木であり、おもしろすぎてなかなか書けないほどの兵(つわもの)である。(笑)
それに、オトシブミについてもまた新たな疑問が沸いてきた。

またいつか、うまいこと川が渡れそうな日があったら、エゴノキエゴツルクビオトシブミに会いに行きたいと思っている。

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2006年6月10日 (土)

山のタニウツギ(谷空木)

タニウツギここのところ、山の“少し奥の方”にはまって、通っていた。

プリちゃんでどんどん道を登ると、耳が数回ぽ~んとする。
…と、あちこちでピンクの花が目に入った。タニウツギだ。

タニウツギ・・・(谷空木) スイカズラ科  タニウツギ属  Weigela hortensis  花期5~6月 分布:北海道から本州(六甲山系が南限) 落葉低木

タニウツギの花の色は透明感のある美しいピンクで、遠くからでもその色が目に入ってくる。
下界ではもう花は終わっていると思うので、当たり前のことではあるが、標高が上がると共に季節を逆戻りできるのは、大変ありがたい。

タニウツギ 麓でタニウツギの花を見たのは5月も半ばのことだ。
右の写真はその頃のもので、まだまだつぼみも初々しい。
見ると、つぼみの頃は濃い紅色で、花ではピンク地に白がやんわりとぼかしに入る。
ストロベリー&バニラのアイスが食べたくなるような、なんともいい色合いだ。

タニウツギの花 麓で最初にタニウツギを見たときは、あまりにきれいなので植栽されたものかと思ったが、この山のタニウツギは全て自生だ。
なので、写真のような自由奔放な姿も見ることができる。まさに自然のオブジェだ。

さて、このタニウツギの後背面はいきなりの崖である。
そのまた後ろは川を挟んだ渓谷なのだが、タニウツギは、こうした崩壊斜面のような、谷に向いた場所に咲いていることが多い。
これがタニウツギの名前の由来となった「谷」で、日当たりを好む所以のことであるが、雪国では雪崩の多い場所という目印になるのだという。
ちなみにタニウツギの「ウツギ」は、茎が空洞だから「空木」と名が付いたが、ユキノシタ科の「ウツギ」とは縁もゆかりもないので、紛らわしいが混同しないようにしたい。

タニウツギの花タニウツギは合弁花で、ちょうどラッパのように先の開いた花弁は5裂し、花弁と同じくらいの長さの5本の雄しべが覗く。
おもしろいのが雌しべで、柱頭がぽっこりと丸く、花弁より頭一つ飛び出している。
この雌しべのお陰か、タニウツギの花はどこかユーモラスな雰囲気が漂う。

タニウツギは日本海側の積雪地方中心に分布する寒地性の落葉低木だ。
それがなぜ(それほど寒いとは言えない)太平洋側の鈴鹿山系の山に咲くのかと言えば、同山系が地形的、気候的に日本海の影響を受けやすいからだが、山だけでなく市街地内丘陵での群生も報告され、なかなかのたくましさを見せつける花でもある。
地球温暖化によって寒地性の植物が弱る中、頑張るタニウツギには大いにエールを送りたい。

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2006年5月29日 (月)

キンラン(金蘭)の若い花

残念ながら開花には出会えなかったキンランに別れを告げて、更に小道の奥へと足を進めた。

10日ほどの間に、山の小道はすっかり緑に包まれていた。
ああ、ここにはチゴユリがたくさん咲いていたんだっけ…
そんなことを思いながら、覗いた草むらの中で光る黄色い花を見つけた時には、思わず目を疑った。

キンランの花そこには、たった一つだけ花を付けた、小さな小さなキンランが咲いていたのである。
北側に面した斜面では、季節が少し遅く流れていたのだろう。
なんだかチューリップのようにも見えるが、紛れもなくキンランだ。

キンランは、通常3~12個の花を付け、高さ40~80cm(図鑑によっては30~70cm)ほどになる多年草なのだが、この花の草丈は20cmあるか無しかである。
まだまだ若い個体なのだろう。

キンランの花 …と、もう一つびっくりしたことが!
なんと、わずかに離れてもう一株のキンランとも出会うことが出来たのである。
こちらの個体は花を二つ咲かせていた。

5月の木漏れ日を浴びて咲く2人の姿はまことに愛らしく、しばらくはカメラを向けることもできずに、ただただ見つめていた。

キンランの花その花は、丸くふっくらとした(5裂した)花弁を上に向けて半開させていた。
一番最初に出会ったキンランのつぼみは、最初から横を向いていたが、この花はずっと上を向いていたのだろうか。
見れば、まだ開き掛けたつぼみのように見えるが、もしかしたら、これ以上開くことはないかもしれない。
キンランの花は、いわゆる「蘭の花」っぽく開くものもあるが、こうした半開のまま終わる花も多く、個体差が大きいようだ。

周りを探せばもっと大きな株があるのでは?と思われたが、どうやらこの2個体以外にはキンランらしい姿は無かった。
それにしても、増やしたくてもなかなか増えないと言われるキンランの若い株と相次いで出会えるなんて、本当に幸せなことだ。

山の小道なぜこの小道で3株もの若いキンランが育ってきたのだろう?
これには、おそらくこの小道の歴史が関係すると思われるのだ。
それというのも、この小道が最初に整備されたのは相当昔のことらしいのである。
その頃は、キンランも小道端にたくさん咲いていたに違いない。

しかし、いつしか放置されてうっそうと草木が茂ってしまい、nancyがここを訪れた当初は、とても立ち入ることなど出来ない状態だった。
それが最近になってボランティアの手が入り、長い年月道を覆い隠していた木々や草、笹などが刈られ、朽ちていた丸太の橋も修理された。
かくして山の小道に明るい陽が差し込むようになり、キンランたちが萌え出るようになったのではあるまいか?

キンランが好むのは落葉樹林だが、適度に光が差さないと当然光合成ができず、地下茎も充実できない。
森の中、木漏れ日を浴びて金色に光り輝くのがキンランの真骨頂である。
あまりにも放置されすぎた暗い森では、キンランが咲くのは難しいのだろう。
近年のキンランの減少には、無論乱獲もあるが、雑木林など、里山の放置も影響していると言う。
里山を保全することは、希少な動植物を守る意味においても、非常に意義のあることと言えよう。

キンランの花さて、キンランの葉の基部は茎を抱いて互生しているので、シルエットに絶妙なうねりを生じている。
見方によっては、たおやかな女性の姿と喩えることができよう。
さしずめ、このキンランは少女の頃だろうか。
来年の5月、無事に彼女たちが花開けることを、心から祈らずには居られない。

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2006年5月27日 (土)

キンラン(金蘭)のつぼみ

キンランのつぼみ 5月のある日、山の小道の出口近くで、気になるつぼみを見つけた。

それはたった一株だけ、しかし周りの草花とはまったく違う雰囲気で佇んでいた。
見れば、黄色いつぼみが3つ。どんな花が咲くのだろう…
大変興味が沸いたが、辺りを見回しても他には同じ花は見当たらず、後ろ髪を引かれる思いで後にした。

早速家に帰って図鑑で調べると、どうやらキンランらしいことがわかったのである。

キンラン・・・(金蘭) ラン科 キンラン属 Cephalanthera falcata 落葉樹林内に生える多年草

それから10日ほど経って、あのつぼみがどうなったか見に行ってみた。もっと早く行きたかったのだが、天気と用事とがうまく折り合いが付かなかったのだ。

山の風景はがらりと変わっていた。
両脇から草が生い茂ってきて道幅が狭くなっている。
あのつぼみ… どの辺だったろうか… 探せどなかなか見つからない。
キンランはサギソウと同じく盗掘に遭いやすい花だ。
可憐に咲く姿を見て「持ち帰りたい」と思う気持ちはわからないでもないが、家で植えてもキンランは育たない。
山の花は、山に在ってこそ美しいのである。

キンラン
雑木林の木漏れ日に照らされて輝くさまは金蘭の名に相応しい。元々、日本ではありふれた和ランの一種であったが、1990年代ころから急激に数を減らし、1997年の環境庁レッドリストに「絶滅の危険が増大している種」(絶滅危惧II類(VU))として掲載された。(中略)

人工栽培はきわめて難しく、また地下部がよく発達することから、菌根菌(ラン菌)への依存度が高い、腐生植物的側面があるのではないかとも言われている。
  出典元: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』   【キンラン

キンランの花後 寂しい気持ちで茂みを覗きながら歩いていると、あった、あった!キンラン!無事だったのか…!間違いなく同じ株である。
花は既に終わっていたが、この再会は本当にうれしかった。
滅多に人と会わない小道だからこそ、ひっそりと咲くことができたキンラン
そして無事にその花を咲き終えることができたこと。それを知り得たことが、うれしかった。

来年は開花に出会えたらいいな…。
そう思いながら歩みを進めると、更にうれしい出会いが待っていたのである。

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2006年5月25日 (木)

モチツツジ

モチツツジ ヤマツツジミヤコツツジと続いたので、今日はモチツツジを。

モチツツジ・・・(餅躑躅) ツツジ科 ツツジ属 Rhododendron macrosepalum 花期:4~6月 本州(静岡県・山梨県~岡山県)と四国に分布する半落葉低木

この山にはアカマツの巨木が多い。(とは言え、マツクイムシにやられてかなり減少したらしいが。)
モチツツジは、この日当たりの良いアカマツ林に生えるツツジだ。

モチツツジ モチツツジは、見た目別段変わったツツジという感じでもないのに、おもしろい分布の仕方をするようで、日本の中でも静岡県・山梨県~岡山県と、四国の東側だけでしか見られない。
おまけにこの山でも、「アカマツ林+ヤマツツジ」と、「アカマツ林+モチツツジ」の両集団が存在すると言うのである。
そう言えば、まったく意識せずに撮った写真の中で、ヤマツツジとモチツツジはそれぞれ違う場所で撮られていた。
間を取り持つのが、両者の自然交配種であるミヤコツツジだったりするのかと思うと、なんだか人間関係にも似ておかしみを感じてしまった。

モチツツジの萼片 モチツツジの名前の由来は、花の付け根付近がべたべたしていることによる。なので、「餅」である。
あ~、そう言えば、ツツジの花を触って手がべたべたになったこと、あるよね!
これはモチツツジの花柄や萼には腺毛が密生しているからで、ヤマツツジなどではそういうことはないようだ。

モチツツジの萼片は細く長い。見れば腺毛がびっしりと生えているのがよくわかる。
よくゴミだのアブラムシだのがくっついてしまっているのを見掛けるが、ま、花の美しさに免じて勘弁してもらおうか。

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2006年5月24日 (水)

ミヤコツツジとヤブキリ

ミヤコツツジとヤブキリ ヤブキリの幼虫はツツジの花が好きだ。
5月になると、ピンク色の花びらにとまった黄緑色の小さなヤブキリの赤ちゃんをよく見掛ける。
このきれいな色の取り合わせを見ると、まさに5月そのものである。

ヤブキリ…Tettigonia orientalis 成虫の大きさ (翅端まで)45-50mm 時期 6-9月 分布 本州・四国・九州
(参考サイト:昆虫エクスプローラ

ヤブキリの幼虫 ヤブキリは大型のキリギリスで、他の虫を食べる肉食なのだが、赤ちゃん時代は花粉を食べるので、よくツツジの花の中にいる。
ツツジの花粉は一つ一つが糸で繋がっている為、花の中の虫はあっという間に花粉だらけになってしまい、結局受粉のお手伝いをする羽目になる。
このヤブキリもご多分に漏れず、身体中に花粉をたくさん付けていた。
それにしても、なんと触角の長いこと!である。余計なお世話だが、誤って踏んづけたりはしないのだろうか。

写真のツツジはミヤコツツジと思われるが、ミヤコツツジヤマツツジとモチツツジの自然交雑種で、両者の特徴を併せ持つ。

ミヤコツツジ・・・(都躑躅) ツツジ科 ツツジ属 Rhododendron tectum 山野に生える半落葉低木 花期:5~6月

東海圏の山に自生するツツジは、ヤマツツジ、モチツツジ、ミヤコツツジが多いようだが、植栽されたヒラドツツジなんかも交雑するらしく、写真だけでは微妙な花もあって、ツツジ新人のnancyには、ちょっと判別しづらいところである。

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2006年5月23日 (火)

ヤマツツジとミヤマカラスアゲハ

ミヤマカラスアゲハとヤマツツジ ツツジが美しい季節である。

ツツジにはおいしい蜜が隠されているから、子どもの頃、合弁花であるその花を、萼からすぽんと抜いてちゅっと蜜を吸った人は多いはず。

というわけで、おいしいものがあるところには、たくさんの虫たちが訪れる。
写真は、ヤマツツジの花にやってきたミヤマカラスアゲハ
相当な恥ずかしがり屋と見え、ひらひらひらと落ち着き無く飛び回ったかと思うと、森の奥に飛んで行ってしまった。

ヤマツツジの花_1 ヤマツツジ・・・(山躑躅) ツツジ科 ツツジ属 Rhododendoron obtusm var. kaempferi 山野に生える半落葉低木 花期:4~6月

山に咲くツツジで朱赤色と言えば、このヤマツツジだろう。
日陰がちな林道では花期もゆっくりと進むのか、きれいな花を見ることができた。
花はロート状で先は5裂し、上を向いた5本の雄しべと、更に長く伸びた雌しべがよく目立つ。

ヤマツツジの葉ヤマツツジの葉は、春に展開する春葉と、夏に展開する夏葉とがある。
春葉は長く大きめで秋には落葉してしまうが、夏葉は小さく暖地においては冬でも葉を残す為、半落葉樹木とされている。

ヤマツツジの葉には表裏ともに粗い毛が密生しており、特に若葉の頃は目立つ。
林道での帰り道、西からの陽を受けた毛がきらきらと光っていた。

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2006年5月22日 (月)

チゴユリ(稚児百合) その5~そして…

チゴユリ 天候を縫っては山へと走り、気が付いたら4週以上に渡ってチゴユリを追ってきた。

この時期にもなれば、山の全てのチゴユリが花期を終わらせていた。
写真は、この春一番に出会ったチゴユリたちだ。
朽ち木の横は居心地が良いらしく、チゴユリ軍団は元気いっぱい、葉の色が一段濃くなっていた。

チゴユリの実 見れば、個体の多くが緑色の実を結んでいる。
チゴユリの実は液果で、このあと次第に大きく丸くなっていき、秋に向けてじっくり時間を掛けて黒く熟していく。

クローン増殖するチゴユリたちにとって、時間やエネルギーを費やす実生繁殖はそれほど重要ではないかというと、決してそんなことはないだろう。
その3で「主張を感じない花」と書いたが、それは大きな誤りだった。
チゴユリは、その身体にしては若干大きめな花を付け、さらに集合体の力を持って雄弁に主張しているのである。

森 さて、あのチゴユリの海はどうなっただろう。
行ってみると、そこはすっかり森の一部と化していた。
もちろん、見ればチゴユリたちはちゃんとそこに存在しているのだが、上からたくさんの草木が覆い被さるように繁茂し始めていたのである。

ここで、昨年この山のチゴユリたちに気が付かなかったわけがようやくわかってきた。
海と感じるほどに咲き誇っていたチゴユリたちが無事に実を付けた後には、出番を控えた植物たちが待っていたのである。
花後のチゴユリたちは初夏の森に包まれてしまい、全てがしっとりと同化してしまうのだ。
森は生きている。
チゴユリ集団もまた、森の一員としての大切な役目を担っているのである。

今年のチゴユリたちのことは一生忘れることが出来ないだろう。
この山は、チゴユリの生育条件がよほど揃っているチゴユリの花 のかもしれないが、「今年はチゴユリの花が多いようだ。」とは、よその地方の方の話。
やっぱり、今年はチゴユリの当たり年だったのかもしれない。

果たして来年も、チゴユリの海を見ることができるのだろうか… 乞うご期待。

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2006年5月20日 (土)

チゴユリ(稚児百合) その4~海

チゴユリの海 なんと言っても圧巻は見ての通り、チゴユリの海だった。

周りを木々に囲まれた少し窪んだ場所があるのだが、その一面が全てチゴユリなのである。広さはだいたい10m四方くらいもあろうか。
この写真は、そのほんのわずか一角に過ぎない。
まさにチゴユリの海、彼らのパラダイスなのだろう。

さて、チゴユリは地下茎によって栄養繁殖していると書いたが、それ自体は植物の世界においては特別珍しいことではない。
ランナーを伸ばしてその先に子株を付ける植物は多く、身近なところでオリヅルラン、イチゴなどが思い浮かぶ。

チゴユリの花 しかし、なんとチゴユリはクローンを作った後、秋には自身が完全消滅してしまうと言うのである。
チゴユリの不思議さはここにある。この、「親株自身が無くなる」というのは、かなり珍しいことなのだ。
多年草でありながら、見た目は一年草のようである。
このためチゴユリは「疑似一年草」と呼ばれるのだが、見方によっては「自分の身体を移動させている」とも言える。
ここに「移動する植物」としてのチゴユリの姿が見えてくるのである。

また、彼らの集団が単一個体からの増殖とするならば、みな同じDNAを持っているクローン集団だとも言える。
時間を掛けて、じわり、じわり…と移動しているクローン軍団とな!
…と書くと、いかにもSFチックなのだが…。(笑)

仲間で語り合うような… 確かに、同じ集団のチゴユリはみな似た個性を持っていたように思う。
花を二つ咲かせる個体が混じるグループや、生育が良く分枝したチゴユリ(オオチゴユリではなく)、全体が細くちんまりと小ぶりなグループ…
もちろん多少の生育環境の影響はあるにせよ、初めて見たときは少し不思議に感じたものだ。
しかし、なるほど同じDNAならば兄弟姉妹以上に等しいのであるから、至極当たり前なのかもしれない。

もしかすると彼らは、「集団の意識」なるものまで持っているのだろうか…

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2006年5月19日 (金)

チゴユリ(稚児百合) その3~自信

チゴユリの集団 ふと気が付けば、歩くほどにチゴユリの集団に出会うようになっていた。
「あ、ここにも、あそこにも!」と、驚くのにも慣れてきた。

それにしても、昨年は何度もこの山を歩いたのに、こんなにたくさんのチゴユリが存在していたなんて、ちっとも気が付かなかった。
どこからか種が飛んできてわ~っと増えるような草花ではないのだから、もしかしたらツユクサの類などと見誤っていたのかもしれないが。

うつむいた花 ここで、チゴユリの控えめな表情を思ってみた。
今まで出会った植物の中で「あまり主張を感じないような花」は、「虫による受精」以外にも「確実な繁殖方法」を確保しているものが多かった。
要するに、花のアピールのために過分なエネルギーを費やさなくても良いのである。

ユリ科の植物は地下に鱗茎や球根、地下根茎を発達させるものが多い。チゴユリも同様に、地下根茎による栄養繁殖を行っている。
実生繁殖も可能だが、チゴユリの株ははほとんど分枝せず、また花は一つ、多くてもせいぜい二つしか付けない。
チゴユリの花 その上、一つの花はたった6つの胚珠しか持たないのである。
これは種子植物としてはあまりにも少なすぎる数だ。

また、種からでは一人前のチゴユリになるまでに相当な時間が掛かることもあり、彼らの集団はもっぱら単一個体の増殖によって支えられているのである。

そう考えると、チゴユリのうつむいた姿は、虫に頼らずとも繁殖ができるという自信の現れなのかもしれない。

胚珠(はいしゅ)…種子植物の種子になる部分
栄養繁殖…植物体の一部が分離して新個体を形成する無性生殖の一つ。球根やイモ、むかご、挿し木など。

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2006年5月17日 (水)

チゴユリ(稚児百合) その2~群生

チゴユリとの出会いから一日置いて、また山に行ってみた。

チゴユリ同じ小道ではないのだが、ここでもチゴユリに会えるだろうか。
そのうつむき加減な花、白にややクリームを帯びた花びら、目にも柔らかな黄緑色の葉…。
なにもかもが強く心に残っていた。

チゴユリ・・・(稚児百合) ユリ科 チゴユリ属  Disporum smilacinum 山野の林内に生える20~35cmの多年草

チゴユリの花チゴユリは雑木林の小道の端などに咲いている。
その小さく可憐な姿を稚児に喩えられたのが名前の由来だが、彼らはおよそ華美とは無縁な世界に住んでいるような気がする。

虫に受精を頼る虫媒花と呼ばれる花たちであれば、派手な色彩や形、芳香などでひたすら虫を誘い込む努力をするはずなのだが、チゴユリにはそうした意向はあまりないようなのだ。(無論、全くないというわけではないが…)

チゴユリの群生 さて、山の小道を歩いていると、程なくチゴユリにお目に掛かった。
それも、集団としてのチゴユリである。
見上げればそこには落葉樹。
彼らからのプレゼントであるたくさんの落ち葉が堆積した、栄養豊かな腐葉土に育まれたチゴユリたちだった。

「わぁ~!こんなにチゴユリがたくさん!」
思わず歓声を上げたのは言うまでもない。
しかし、この後もっと驚くことが待っていた。
この後、歩くところ歩くところ、次から次へとチゴユリ集団に出会うことになるのである。

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2006年5月14日 (日)

チゴユリ(稚児百合) その1~出会い

GWが明けてからというもの、ひどく蒸し暑かったり、昨日などはやたらと寒かったりと、たったの一週間で数ヶ月も行ったり来たりしたような気がする。

チゴユリ今日はようやく爽やかな陽気となって、待ちきれずに山へと走った。
一気に草が増えて狭くなった山道を歩きながら、ふとチゴユリのことを考えていた。
チゴユリとは、雑木林に咲く小さなユリ科の植物である。
これは、この春チゴユリに出会って一番最初に撮った写真だ。GW初日のことである。

チゴユリ・・・(稚児百合) ユリ科 チゴユリ属  Disporum smilacinum 山野の林内に生える20~35cmの多年草

チゴユリ 倒木の横で、ひっそりと仲間と語り合うように咲いているこの小さな花を見つけたとき、なんて控えめなお花なのだろうかと思った。
思えば、この山でチゴユリを見るのはこれが初めてだったのである。
昨年は他の山で見たのだが、やはりその印象は「うつむいて咲く控えめな花」というイメージだった。

それにしても、昨春この山を歩いた時に、目に止まらなかったのはなぜだろうか…
これについて後にわかったこと。
要するに、うまい具合に花期に当たらなかったのだ。
う~ん、なんて単純!

チゴユリの花期はそれほど短くはないが、それでも一番良い時期に出会えるかどうかでその印象はずいぶん変わるのだろう。
しかし、いくら花期が合わなかったにせよ、一年を通してこの山にはずいぶんと通ったのだから、その片鱗くらいには気が付いても良さそうなものである。

つまり、どうやら今年のチゴユリは違うのだ。
そうとしか考えられないほど、その存在はパワフルだった。
それは、今まで抱いてきたイメージを払拭するほどの出来事だったのだ。

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2006年5月 7日 (日)

ノミノフスマ (蚤の衾)

実にいいGWだった。
例年になく好天に恵まれて、連日山へ行き倒した。
今日は一日中雨が降り続いたが、もし晴れたら今日も行きかねなかったから、良い休息日になったと思う。

傍らに図鑑を積み、モニターに映し出される写真を見ながら植物の名前を探すのだが、あっという間に時間が経ってしまう。
それほど春の山は豊かなのである。

ノミノフスマノミノフスマ・・・(蚤の衾) ナデシコ科 ハコベ属 Stellaria uliginosa Murray var. undulata 畑や荒れ地に生える1~2年草 花期:4~10月 分布:日本全土 

ここは山の裾野。
小川からの水が常に絶えないこの場所には、実にたくさんの野草が咲いていた。そんな中、白い小さな花が星のように光っていた。
ノミノフスマは、ハコベを一回り大きくしたような可愛らしい花を咲かせるナデシコ科のお花だ。

娘が見つけて花の名前を訊いてきたのだが、「それはハコベ…いや違う。ノミの…なんだっけ…?」と言いかけて、思わず「ツヅリ!」と答えてしまった。「ノミノツヅリ」は、名前は似てるし花は白くて小さいし、同じナデシコ科なので紛らわしいが、花びらが2裂しないため(後述を参照)、よく見ればまったく違う花だ。

さて、ノミノフスマとはなかなかおもしろい名だが、フスマ=襖のことではないらしい。
漢字で表記すれば「蚤の衾」なのだが、この「」について調べてみると以下の通りだった。

ふすま  【▼衾/▽被】
身体の上にかける寝具。木綿・麻などで縫い、普通は長方形であるが、袖や襟を付けたものもある。現在のかけぶとんの役割をした。  …三省堂「大辞林 第二版」より

ノミノフスマ要するに、「綿の入らない掛け布団」という感じだろうか。
それでは、その「ふすま」な感じの葉とは…?
ノミノフスマの葉は、1~2cmほどの長楕円形で先がとがり、対生で無柄である。
写真を見ていると、茎を2枚のぺたんとした葉が挟んでいる感じ。なるほどなるほど、蚤の使う「ふすま」の雰囲気が見えてくるだろうか…

ノミノフスマ おもしろいのが花の動き?だ。
最初はおとなしく上を向いて咲いているのだが、次第に暴れてあっちこっちに向いてしまう。
どうやらこれは結実した花のようで、花弁を落とした後は更に花柄がびよ~んと長く伸び、茎に対してちょうど90度くらいの角度を保っている。
考えたらハコベの花も結実後に花柄が伸びて下を向くので、同じような仕組みなのだろうが、ノミノフスマは花柄が長い分、より目立つのである。

手持ちの図鑑ではまだ咲き始めの写真だったので、どうも同じ花に思えず、同定に少々手間取った所以である。
なにせ名前の由来である肝心の「ふすま」(葉)が、花よりだいぶ下の方にあってぱっと目には目立たないのだ。

実は5枚の花びらノミノフスマの花は、一見すると花びらが10枚あるように見える。
これは1個の花弁が基部まで2裂しているからで、ハコベやコハコベなども同様である。
ハコベとの違いは全体に無毛であることと、花弁の方が萼片よりも長いことなどで、ハコベよりも一段華やかだ。

かつて、ノミノフスマはハコベと並んで田畑では一般的な雑草だったはずだが、現在nancy家周辺の畦ではほとんどコハコベのみとなっている。
次から次へと花を咲かせては、せっせと結実してはまた花を咲かせるノミノフスマ
いつなんどき草刈りに遭うかわからない境遇にあった彼らは、数で勝負!とばかりに、ただひたすら子孫を残すのである。

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2006年5月 3日 (水)

その名はすみれ (菫)

ここは山を登る道路沿い。
駐車場に車を駐めて数歩歩くと、出迎えるようなスミレの姿が目に付いた。

すみれいつも書くことだが、スミレの同定は本当に難しい。
しかし、今回はちょっと威張って(?)書けるのである。
なぜなら、特徴がどれもきれいに合致しているからで、いつもスミレについて書くときに「○○スミレと思うが…」と書き添える、自信なさげな心の引っ掛かりがない。(笑)

おまけにこのスミレ、まるでこちらに向かって語りかけているようではないか。
「私はすみれよ。この花を見て、この葉を見て…」と。
すると、スミレの指さす前に八重桜の花びらが一枚はらり。
これは季節のバトンなのだろうか…

このスミレは何かというと、その名は「すみれ」なのである。
Viola mandshurica という種の標準和名である「すみれ」なのだ。
ここではあえて、ひらがなで「すみれ」と書きたい。

すみれ・・・(菫) スミレ科 スミレ属 Viola mandshurica 分布:日本全土の人家近くから山地まで日当たりの良いところに普通 
花期:4~5月 種小名の mandshurica とは“満州の”という意味。
固有種ではないが日本の代表的なスミレ。

すみれの花スミレの同定ポイントはいくつかあるが、まずは花。
花の色は、普通いわゆる「菫色」と言われる濃く深い紫である。

花弁は5個で、上の2個が上弁、両側の2個が側弁、下の1個が唇弁または下弁と呼ぶが、ここでの同定ポイントは側弁突起毛が有るか無しかである。
花の中心近く、両側2枚の花弁(側弁)の付け根付近を見ると、白い毛がもしょもしょっと生えているのがわかる。
全てのスミレ属にあるわけではないこの突起毛、いったいどのような役目があるのだろう。

すみれの葉葉は、やや立ち上がり気味で、図鑑によると「長楕円状披針形(ひしんけい)」とあるが、単に「へら形」とも表されることもある。葉先は丸い。
夏場の葉は、もう少し大きく三角状になっていく。

葉を見るときの重要ポイントはまだあって、すみれの葉柄には(よく)と呼ばれる、文字通り羽のような部分がある。

すみれの横顔 こちらはすみれの横顔。
(わかりやすいように色を明るめに補正してある。)
スミレ属の特徴である(花の後ろに突き出た部分)については濃紫色のものが多く、長くしっかりとしている感じ。

さて、この道はすみれ・ロードと呼びたいくらい、道ばたにずらりと並んで咲いていた。
すぐ裏は山なのだが、湿り気のある土よりもこうしたアスファルトの割れ目から顔を出すのが好きなのだろう。
他の野草だとすぐに刈られてしまいがちな場所なのだが、すみれは別格である。
すみれにとっての一番の味方は人間なのだから、彼らにとっては、ここが一番安全な場所なのかも知れない。

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2006年4月25日 (火)

ユキヤナギ (雪柳)

山の公園のユキヤナギ

昔からユキヤナギが好きだった。
もしかしたら、最初に見たのは花びんの中に咲いた、切り花としてのユキヤナギだったような気がする。

この写真は、2006.04.22エントリーの、山の公園にて… に出てきたユキヤナギだ。無論、植栽されているものである。

ユキヤナギ・・・(雪柳) バラ科 シモツケ属 Spiraea thunbergii 東北以南の主に太平洋側、四国、九州、中国に分布する落葉低木 別名:コゴメバナ 花期:4月

※日本に自生するユキヤナギは、栽培品が野生化したという説あり。
※“ヤナギ”と付くがヤナギ科ではなく、その細長い葉の形と雪の降り積もるような花期の様子から名が付いた。

ユキヤナギ ユキヤナギは庭木としてもごく普通に植栽されているし、春になれば公園などで咲き誇っている姿を目にすることが多い、非常にポピュラーな樹木だ。
なので、nancyはユキヤナギのことをずっと園芸種なのだとばかり思っていた。それほど、最盛期のユキヤナギは美しすぎるのである。

しかし、実際にこの山でもユキヤナギは自生していた。
この山のもう少し麓の方、さらさらと流れる小川の際に、ユキヤナギたちが自生しているのである。
初めて見たとき、花期にはきっと雪のトンネルの如き光景になるのだろうな…と思った。

本来、ユキヤナギは水辺が好きなのだ。
それも増水時には水没してしまうような川岸や岸壁などを特に好むというのだが、かといって、いつも水に浸かっているような水はけの悪い場所は好きではない。
本当はちょっぴりこむずかしいユキヤナギ。そうそう彼らにとっての好適地があるとは思えない。
つまりは、だんだんとその自生地は減少させられていくことになる。

ユキヤナギの花自然に暮らすユキヤナギは、好き放題に枝を伸ばし、植栽ものに比べ、花が小さめで若干まばらである。

残念ながら今回は自生のユキヤナギを見に行くことはできなかったのだが、同じ山に咲く同胞として、あの小川のせせらぎが、植栽された彼らにも聞こえているような気がしてならなかった。

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2006年4月22日 (土)

山の公園にて…

元来春の天気は落ち着かないものだが、今年の春はことに好天が続かない。
明日は思い切り花冷えになるらしく、しまおうと思っていたフリースのお世話になりそうである。

山の公園さて、今回は山の公園でのひとこま。
下界の桜は、悪天候と忙しさのため、あれよっという間に過ぎてしまったが、ほんの少し登っただけで、まだまだお花見気分が満喫できる。
満開を越してなお美しい桜たち、文字通り降り積もる雪の如くのユキヤナギ…
溢れるほどの春・春・春!
まるでこちらが訪れるのを待ってくれていたかのような風景に、ただただ感激するばかりであった。

ミルク ミルクも桜の花びらを踏んで歩いた。
おとなしいミルクはどこへ行っても人気者だ。
彼女の子ども好きは相変わらずで、まず何をされても嫌がるそぶりを見せない。
このあたり、娘との付き合いから悟りきっているのか、はたまた天性のお人好しならぬ、お犬好しか…。
ともかく、どこへ行っても安心していられるのでうれしい限りである。

反対に、大人は少し苦手なようだ。
赤ちゃん言葉を使って近づいてくるご婦人を前に、思わず後ずさりするミルクが妙におかしかった。

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2006年4月18日 (火)

春のイロハモミジ

春のイロハモミジ 春の山は生命の息吹で溢れかえっている。
無心に歩いているだけでも、五感に飛び込んでくる春のざわめき。見るもの全てが喜びに包まれているのである。

歩き慣れた道を辿り、春の木々たちと再会する。
ああ、そう言えばここには燃えんばかりに赤く染まったモミジの樹があったっけ…と思ってふと見上げると、そこには瑞々しい若葉を身にまとわんとしている、まるで生まれ変わったかのようなイロハモミジが立っていた。

イロハモミジ・・・(伊呂波紅葉) カエデ科 カエデ属 Acer palmatum 本州(福島県以南)四国・九州・朝鮮半島・中国・台湾 に分布する落葉高木

冬の間、濃いピンクの※芽鱗に包まれてしっかりと守られてきたイロハモミジの柔らかな新葉が、今まさに展開しているのだ。
赤ちゃんの手のことを、よく「モミジのような手」と形容するが、この場合は逆。
赤ちゃんの掌が開くように、モミジの赤ちゃん葉も、春の暖かさにいざなわれてその閉ざされた掌を広げるのである。
芽鱗…冬芽の外側を覆っている皮のようなもの。ウロコのように何枚も重なっていることが多い。冬芽の中の葉や花が開くときには、外側にむけて落ちる。鱗片(りんぺん)とも呼ぶ。(このきなんのき 用語解説より)

イロハモミジの花高い樹なので間近には見れなかったのだが、遠目にも、芽鱗の色と若々しい葉芽の色の対比がなんとも美しい。
そして、そこには可愛らしい花の存在も見て取れた。
イロハモミジの花は雌雄同株で、一つの花序に雄花と両性花が混生する。
雄花からは雄しべが外に突き出しているのが見えるが、受粉した両性花は子房が次第に膨らんでいき、そしてまたあのプロペラ状の果実(翼果)を実らせるのだ。
2005.05.07 モミジの実! 
2005.05.09 モミジの実!その2
2005.05.10 モミジの実!その3

モミジの美しさは秋だけではない。
季節が変わるたびに、新たな感動を与えてくれる樹なのである。

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2006年4月16日 (日)

久しぶりの山 …ドウダンツツジ

久しぶりに予定の無い日曜を過ごしたが、どうもはっきりしない雲行きに、午前中からなんとなく焦れていた。
お天気が定まらず気温も低め。体調もどんよりとしている。
午後になってようやく晴れ間を見て、思い切って家を出たのだった。
行く先は山…。実にシンプルである。

山に着けば、そこは意外にもたくさんの家族連れでにぎわっていた。
それもそのはず、下界の桜は盛りを過ぎつつあるものの、今の山は美しいものだらけなのである。
季節はずれの寒さとは言え、木々に囲まれれば風も収まり、時折日が差せばトレーナー姿でも充分な暖かさだった。

ドウダンツツジまず最初に出迎えてくれたのが、このドウダンツツジである

ドウダンツツジ・・・(灯台躑躅/満点星躑躅) ツツジ科 ドウダンツツジ属 Enkianthus perulatus 落葉低木 公園等に多く植栽されている

ドウダンツツジと言えば、まだこのブログを初めて間もない頃、2度に渡ってエントリーしていた。
2004.12.02 山のドウダンツツジ 
2004.12.09 またまたドウダンツツジ!
心惹かれるものに出会う都度感じるままに書いていた頃で、どちらも短い記事だ。
しかし、こうして今、この山のドウダンツツジに出会うと、自分はあの頃とは何も変わっていないということを気づかせてくれるのである。

ドウダンツツジさて、このドウダンツツジ、秋にはその紅葉の色でびっくりさせてくれるが、春は春でこんなに愛らしい真っ白な花を、まさに鈴なりに付けてくれるのであるから愛らしいことこの上ない。

ドウダンツツジを漢字で書くと、灯台躑躅または満天星躑躅と書く。
灯台とはいわゆる海の灯台ではなく、室内照明具としての「結び灯台」という照明器具を差す。
ドウダンツツジの、そのよく分枝するさまから付いたらしいが、これはまさに言い得て妙である。
2005.12.04に御在所のサラサドウダンに関するエントリーを書いたが、冬のドウダンツツジの姿は、まさに燭台そのもののように感じられるからだ。

満天星とは漢名からついたとのことだが、今の時期のドウダンツツジを見れば、もはや何の説明もいらないだろう。
満天の星空の如くきらきらと咲く小さな鈴の花は、心の中で透んだ音色を奏でていた。

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2006年4月 1日 (土)

春の陽に誘われて… オオヤマザクラ?

暖かさと寒さがせめぎ合っている。
終雪の後…なんてタイトルで書いたあとに、思いも掛けない降雪!
なんとも激しい攻防戦である。

今朝も冷え込んだが、日が出ればそこは4月の太陽、「お!うっかり寝過ごしちゃった…」って焦ったのか、慌てて辺りを暖めだしたものだから、気温の上昇スピードがすごい。
朝はフリースを着てファンヒーターの前で震えていたのに、9時過ぎにプリちゃんに乗ったら、今度は冷やす方のエアコンなのだ。これにはもうあきれてしまった。

早咲きの桜さてさて、あのすさまじい寒気のお陰でソメイヨシノの開花はちょっとだけお預けになってしまった。不思議なことに毎年桜前線は東京の方が早いのだ。

その代わりと言っては何だが、早咲きの桜が満開を迎え、その華やかさに思わず心奪われた。
桜の同定は難しいらしいので自信のほどは今ひとつだが、オオヤマザクラ?あるいはその交配種だろうか?

オオヤマザクラ・・・(大山桜) バラ科 サクラ属 Cerasus sargentii  別名: エゾヤマザクラ,ベニヤマザクラ

オオヤマザクラ オオヤマザクラは、ヤマザクラと同じく、葉が開花と同時に展開する桜だ。
このサクラが咲いていたところは、山にほど近い川上の土手の上で、ここは風当たりも相当強い。
それでもこれだけたくさんの花を付けるのだから、寒さには相当強そうである。

今にも開かんばかりに膨らんだつぼみをたくさん付けたソメイヨシノに囲まれて、今が盛りと咲くその花の色は暖かな春の色だった。
思わず、もう雪は勘弁して欲しいよねぇ~とつぶやいた。

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2006年2月14日 (火)

サルトリイバラ (猿獲茨)その2 ~植物分類

sarutoriibara-aki01 2006.02.10 サルトリイバラ (猿獲茨)を書いているとき、気になったことがあった。
それは、サルトリイバラの分類である。といって、難しい分類学の話をしたいわけではない。
時に分類を複数持つ植物に接するのだが、いったいどういうわけで差違が生じるのかと、ただ単純に思ったまでなのである。

サルトリイバラ・・・ユリ科(サルトリイバラ科) シオデ属(サルトリイバラ属) Smilax china 雌雄異株のつる植物

かつては、サルトリイバラはユリ科 シオデ属に分類されていた。
が、最近ではユリ目 サルトリイバラ科と分類するようになっている。
これはなぜか?
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、

サルトリイバラ科Smilacaceae(またはシオデ科)は単子葉植物に属する科。従来ユリ科に含められていたが、形態が他のユリ科植物と大きく異なるためクロンキスト体系では独立の科とされている。

おお、クロンキスト体系とはなんぞや?

クロンキスト体系は、被子植物の分類体系のひとつ。1980年代に Arthur Cronquistより提唱された。1990年代にAPGが登場するまでは最新の分類体系であった。

おお、今度はAPGとな?

APG植物分類体系(APGしょくぶつぶんるいたいけい)は、1990年代に登場した被子植物の新しい分類体系で、クロンキスト体系がマクロ形態的な仮説を根拠に分類体系を作り上げたのに対して、ミクロなゲノム解析から実証的に分類体系を構築するものであり、根本的に異なる分類手法である。(一部抜粋)

むぅ、とうとうゲノムとな!
というわけで、2006.02.10 サルトリイバラ (猿獲茨)では長くなるので説明できなかったのだが、「ユリ科(サルトリイバラ科) シオデ属(サルトリイバラ属)」の括弧でくくられた分類は、APG植物分類体系で分類された科名だったのである。

「それがどうした?」と言われるとそれまでなのだが、要するに、仮に何かの植物が資料によって違う分類になっていたとしても、それは分類手法が異なるだけで、のっけから誤りというわけではないのである。
それに、現在はAPGが最新の分類体系としても、将来的にはまったく違う手法の分類体系が出現する可能性だってなきにしもあらずである。

だいたい、サルトリイバラがユリやランのような※単子葉類であることだけでも、nancyにとっては「へぇ~!」なのだ。
単子葉類で、かつ木本に分類されるサルトリイバラは、植物界においては結構レアな部類なのである。
※単子葉類…早い話、幼苗がアサガオみたいに双葉でないもの。種子のなかにある胚の一部を形づくる葉が1枚である。
そう言えば、サルトリイバラのハート型の葉をはじめて見たとき、ずいぶんとおもしろい葉っぱだなぁ…と思ったものだ。

…ハート型と言えば今日はバレンタイン。
この葉でチョコをくるむとイバラ餅ならぬイバラチョコ?(残念だが、この時期サルトリイバラには葉は無い。念のため。)…なんて冗談はさておき、サルトリイバラという植物の奥行きは並ではない。
また山で遭遇したときには、いろいろ面白いことを教えてくれそうな気がするのである。

(※文中の引用は、全てフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』からの抜粋です)

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2006年2月10日 (金)

サルトリイバラ (猿獲茨)

サルトリイバラ 2006.02.09 ヤマノイモの実の後ろに覗いていたのが、サルトリイバラである。

サルトリイバラ・・・(猿獲茨) ユリ科(サルトリイバラ科) シオデ属(サルトリイバラ属) Smilax china 
別名:サンキライ(山帰来) 山野に生えるつる性の落葉半低木 

サルトリイバラの実 サルトリイバラは、この秋この山で頻繁に見かけた、赤い実と緑の丸い葉が印象的な、雌雄異株のつる植物だ。
「猿が捕まるようなトゲのある植物」という意味らしいのだが、逆に、猿はトゲをものともせずにこの実を食べるそうな。

これはちょっと遠目の写真なのだが、この時期でここまで実の残っている個体はあまり無いようだ。
こう見えても、サルトリイバラは人間にとってもおいしい植物なのである。
若芽はお浸しや天ぷらにおいしいらしいし、西日本では葉を柏餅のように餅をくるんで蒸した「イバラ餅」が端午の節句に供される。また赤い実は、生け花やクリスマス・リースなんかに使われる。
もう一つおまけに薬効も高く、聞いたところによると、お隣中国では癌の治療にも用いられているとか。

…とまぁ、ざっと列挙しただけでわかるとおり、サルトリイバラはとても一口では語れない植物だったのである。

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2006年2月 9日 (木)

ヤマノイモの実

ヤマノイモの実 冬の山で俄然目立ってくるものは、「つる植物」だろう。
落葉して裸になった枝を、本来の葉に代わって賑やかにディスプレーしているようで、旺盛に葉が茂っていた頃には見ることができなかった姿である。

これはヤマノイモの実。
真っ青な空をバックに、黄金色の実が美しく輝いていた。
後ろにもつる植物が見えるが、これは明日に置いておこう…

ヤマノイモ・・・(山の芋) ヤマノイモ科 ヤマノイモ属 Dioscorea japonica 山野に普通に生えるつる性の多年草 別名:自然薯(じねんじょ)

ヤマノイモ(山の芋)とは、サトイモ(里の芋)に対するイモとして付けられた名だそうだ。なるほど、それぞれ里と山を代表するイモなのだろう。
おいしくて滋養に富み、まさに山の幸の代表選手である。

ヤマノイモは雌雄異株なので、写真は当然雌の株だ。
雌の花の子房には翼があり、実が熟すると3つに翼が大きく張り出して、なんともおもしろい形になる。
なぜこのような形態になるかといえば、ヤマノイモの実は以前ご紹介したモミジの実イタドリの実と同じく、風散布によって広く運ばれることを狙っているからである。
このプロペラ状の翼を持った実が風に乗り、くるくると舞って自身の分身を遠く広く飛ばすのだ。

ヤマノイモの実 さて、子どもたちがこんなおもしろいものを放っておくはずもなく、nancyも小学校帰りにヤマノイモの実で遊んだ記憶がある。
平らな面につばを付け、鼻にぺたりとくっつけるのである。
何のことはない、ただそれだけの遊びだが、みんな同じ事をしているだけでなぜか楽しかった。
ちなみに、バラの大きめなトゲを枝から取って、同じく鼻に付ければ、(動物の)“サイ”にだってなれるのである。

実は、nancy家の庭でもヤマノイモは生えてくる。
ちょっぴりならムカゴも取れるし、実だって見かける。
なのに、山で見るヤマノイモほど伸び伸びとはしていない。

やっぱりヤマノイモは、山のもの…なのだと思う。

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2006年2月 1日 (水)

冬のリョウブ (令法)

冬のリョウブ 冬の山。
ふと見上げると、それはそれは賑やかである。
ついつい上ばかり見て歩くので、首が痛くなるほど。

さて、これはリョウブの実に占領された空である。
うわ~っとなんだかいっぱいぶら下がってるが、いったいどこをどう撮ったらこのイメージが伝わるかと思った。

リョウブ・・・(令法) リョウブ科 リョウブ属 Clethra barbinervis 落葉小低木

夏の、見事に咲き誇るリョウブの花についてはこちら。
2005年7.24 リョウブ (令法)

リョウブの実 あのとき咲いていた白い合弁花の一つ一つがこうして実になっているわけで、かなりダイナミックな量である。
思えば、初夏の葉も夏の花も冬の実も量感たっぷりで、リョウブという名前の響きもどこか心に残るものがあり、ついつい惹かれてしまうのである。

ryoリョウブの樹皮 もう一つ、他の季節には気づかないことがあった。それは樹皮だ。
これも、冬の山ならではというもので、こんもりと繁る葉の無い今頃は、虫に刺される心配もなく、のんびりと観察することができる。
リョウブの樹皮は、写真を見てもわかるように、古くなった薄皮が剥がれやすくなっているのだが、その下の肌はすべすべとなめらかだった。これはまさに天然のピーリング?

もう少し季節が進んで暖かくなってくると、リョウブはまた違った表情を見せるようになる。
それは芽吹いた若葉をまとった姿。
これまた格別な美しさであり、思うだけで今からわくわくしてくるのである。

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2006年1月30日 (月)

コハコベ (小繁縷)

昨日はあんなに暖かかったのに、今日は打って変わって朝からしとしと雨。東京の母の、「こっちは今日も良い天気よ~!」という電話の言葉に、近くて遠い故郷を感じた。

コハコベの花 さて、昨日山で見た花、コハコベである。
ハコベかな?と思ったのだが、茎が暗紫色を帯びているのはコハコベらしい。
一般には、ハコベとコハコベを総称してハコベと呼ばれている。

コハコベ・・・(小繁縷) ナデシコ科 ハコベ属 Stellaria media 花期:3~9月 分布:日本全土 史前帰化植物(農耕の始まりと共に日本に帰化した植物)

ハコベというと、子供の頃飼っていた白文鳥の「シロ」を思い出す。「シロ」は、ハコベが大好きだったので、学校帰りによく摘んで帰った。きれいに洗って与えると、柔らかな葉やつぼみや実を、チュクチュクとおいしそうについばんでいた。
ハコベはアクがないから小鳥も好きなのよ。」と母が言っていた。
「春の七草」の一つであるハコベは、柔らかくてアクが無く、人間にとっても食べやすい草なのである。

コハコベの花 それにしても、こんな時期にこんな場所で、コハコベの花に会うとは思わなかった。
落ち葉の間からひょっこり顔を出していて「あら?」と思って辺りを探すと、意外にもたくさんの芽が出ているのに気が付いた。

コハコベ(ハコベ)の花は、白くて清楚である。
花弁は10枚あるように見えるのだが、よく見ると2枚セットになっているのに気が付く。
実際の花弁は5枚であり、それぞれが深く2裂しているから10枚に見えるのである。
理由はわからないが、花びらが多く見えれば、それだけ目立って虫が来てくれる可能性が高まるのだろうか。

山に咲いていたコハコベは、枯れ葉のクッションに守られるようにして春を待っていた。
田んぼまわりに柔らかなハコベのじゅうたんが敷かれるのは、あと少しの辛抱である。

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2006年1月29日 (日)

冬のソヨゴ (冬青)

ソヨゴ 久しぶりに山に行ってきた。
お正月以来である。その後体調を崩してしまい、1月は棒に振ったように過ぎ去ろうとしている。

昨夜から、TVでさかんと「今日の暖かさ」を告げていた。なんでも、3月頃の陽気になるそうな。
午後には出かける予定が入っていたのだが、せっかくの暖かさである。また冬が戻ってくる前に、ここはほんの少しでも山に行っておきたい、というわけで、ほんの1時間半程度であったが、ぽかぽかの山歩きを満喫した。

例年ではこのあたりに雪が積もることなどめったにないのだが、暮れにはここら一帯真っ白に包まれたのを思い出す。
厳しい冬が進むと、さすがに木々たちも疲弊してくるのか、葉の色が褪せたり、赤い実もしぼんだりするものが多くなってくる。
そんな中、ソヨゴだけは、赤い実の数こそ少なくなったものの、いつもと変わらぬ表情で迎えてくれ、新鮮な感動を与えてくれるのだ。

ソヨゴ・・・(冬青) モチノキ科 モチノキ属 Ilex pedunculosa 本州(新潟・茨城以西)四国、九州 常緑低・小高木

ソヨゴ ソヨゴは、大好きな樹のひとつだ。
なんと言っても、波を打ったような明るい緑色のと、長い果柄を持った赤い実の取り合わせがいつ見ても爽やかで、まさに「気持ちよく風にそよぐ」といった表情をたたえているのがいい。

ソヨゴは雌雄異株で、雌の樹にしか実はならない。
ってことは、雄のソヨゴもいるはずなのだが、どうしてもnancyは鳥のようにすぐ実に目が行ってしまうので、これが雄木だ!というソヨゴにはいまだ出会えずじまいである。

モチノキ科にはきれいな赤い実を付ける樹が多く、2005.11.05エントリーのクロガネモチもその一つ。
ソヨゴの実は、冬場の鳥たちの大切な食料になると同時に、木々たちは種子を遠くに運んで貰って、広く種の保存を謀るのである。

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2006年1月 6日 (金)

ニシキギ (錦木)の実

ニシキギの続き。

昨日は翼の話をしたが、今日は実。
ニシキギほど、季節ごとに新鮮な姿を見せてくれる植物もあるまいと思うほど。
その紅葉は錦のごとくの美しさだし、葉を落とせばその枝に付けた翼の妙が興味をそそってくれる。
そして、同時にその印象的な赤い実も。

ニシキギの実 ニシキギの実は、なんだか帽子を乗せているように見える。
これは萼ではなくて、ニシキギの実が一枚着物を脱いだようなものだ。
植物用語では「蒴果(さくか)」と呼ばれるが、実が熟すまではじっくりと包んで種を守り、やがて実が熟すと2つに裂けて、中の種子が「おはよう!」と顔を出す。
というわけで、裂けて脱いだ衣服が「まくれ上がる」ように縮んで残り、かわいい帽子になるというわけ。

よく見ると、赤い実の表面がしわしわっとして見える。
これまた、ダイレクトに種…というわけではなく、さらに「仮種皮(かしゅひ)」という皮にくるまっている。ピーナツの薄皮を思い浮かべてもらうとわかりやすい。

あらためてニシキギの実…
枝は飛行機遊びをしていたけれど、その実はまるでやじろべいをしているみたいだ。

ニシキギには、きっと遊び好きな妖精が住んでいるのだと思う。

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2006年1月 5日 (木)

ニシキギ (錦木)の翼

ニシキギ 山のニシキギに会ってきた。

ニシキギ・・・(錦木)  ニシキギ科 ニシキギ属 Euonymus alatus 山野に普通に生える落葉低木 やや湿度の高い場所が好き

この写真の木は、11月に書いたニシキギよりもずっと低い場所のものだ。
ここも水の流れが近くにあり、おかげで常に適度な湿り気がある。そんな場所が大好きなニシキギは、いつも機嫌良く暮らしているのである。

ニシキギの若枝 あの美しい葉を落としたニシキギを見ると、まず目を奪われるのが、その枝が持つコルク質の翼だろう。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、

若い枝の表皮を突き破ってコルク質の2枚の翼(ヨク)が伸長する…

とある。
つまり、表皮が変化したものではなく、内部組織が外に出て翼となるってこと???
へぇ~?いったい何の為に…?

…ともかく、何回見ても、ニシキギの枝にはびっくりさせられてしまうのである。
毎度口から飛び出る言葉はただ一つ。「おもしろ~い!」である。
まさに、自然の妙としか言えない造形美だ。

また、枝は対生で、すっかり左右対称に見える部分など、まるで「飛行機ぶ~ん!」と言って腕を広げる子どものよう。

もしかしてニシキギは、いつか空に飛んで行きたくて翼を生やすとか…?

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2005年12月31日 (土)

年の最後に …タブノキ

タブノキ

山で出会った、大きなタブノキ

タブノキ・・・(椨の木) クスノキ科 タブノキ属 Machilus thunbergii 暖地の林に多い常緑高木

タブノキは、日本の森を構成する代表的な常緑広葉樹の一つである。
その葉は厚く、革質で光沢を持つため陽を浴びて照り返し、緑の色をより深く感じさせてくれる。
彼ら常緑広葉樹による林が、照葉樹林と呼ばれるのはその為だろう。

直径1mにも達するタブノキだが、樹高は20mほどと、背が高くなりすぎることがない。
そのため、非常に安定感のある、どっしりとした印象である。

山でこの木に出会った途端、深いため息をついて思わず見上げた。
緑色に苔生した樹皮は、まるでビロードのようだった。

いつも森を見守ってくれてありがとう。
新しい年に、また君と出会えることを祈っているよ。

良い年でありますように!

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2005年12月30日 (金)

雪の上の落とし物  …ハゼノキの実

ハゼノキの実

ハゼノキの葉っぱが落ちていたところから少し離れて、その実が落ちていた。

秋も終盤に入り、あの真っ赤な葉が落ちたあとには、こんな実がはだかの枝先からじゃらじゃらとぶら下がっている光景を、よく目にした。

このハゼの実には脂肪がたくさん含まれており、鳥たちにとっては冬場を乗り切るために最適な高カロリー源となる。

また、この脂肪は高い温度で熔ける「高融点」の性質を持ち、その実から採取された木蝋(もくろう)は「ハゼ蝋」と呼ばれ、和ろうそくなどの材料となる。
ハゼノキは、もとより山に自生していた植物ではなく、その木蝋の品質の良さから、江戸時代に沖縄(琉球)から持ち込まれて栽培されてきた植物だったのだ。

現在では、ハゼ蝋から作られた和ろうそくは最高級品に位置され生産数もわずかだが、その炎は安定しており、油煙もわずかで環境にも優しいのだという。

もう一つおまけ。ハゼ蝋はお相撲さんの鬢付け油の材料ともなる。あの鬢付け油特有の香りは、このハゼノキの実に由来しているのである。

ハゼノキが、これほどまで日本人の生活に密着していた植物とは思わなかった。
雄弁な雪の上の落とし物は、こうしてたくさんの事を教えてくれたのである。

参考サイト:フリー百科事典 『ウィキペディア(Wikipedia)』 
日本得用林産振興会「木蝋」

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2005年12月29日 (木)

雪の上の落とし物  …ハゼノキの葉

雪の上の落とし物、第二弾はハゼノキの葉。雪の上のハゼノキ

ハゼノキ・・・(櫨の木/黄櫨の木) Rhus succedanea ウルシ科 ウルシ属 別名:リュウキュウハゼ・ロウノキなど。 関東以南の山野に生える落葉高木

ハゼノキは、秋に真っ赤に紅葉する。
ハゼモミジという言葉は、秋の季語ともなっている。
その赤さたるや、遠く離れていてもはっとするほど鮮やかで、木々の間から旗のようにぴょこっと羽状複葉を覗かせて、「ここにいるよ!」と主張するのである。
※羽状複葉(うじょうふくよう)…小葉が羽根のように葉軸の両側に付いて、一つの葉を形成しているもの

落とし物に気が付いて上を見ると、すぐには見つからなかったけど、他の木に隠れるようにしながらも、頭一つ大きなハゼノキがひょろっと立っていた。
偶然とは思うが、なぜかこの山のハゼノキは、一段後ろにいることが多いような気がする。
「後ろのハゼノキ君、手を挙げて!」
「は~い!」と挙げる真っ赤な手。

ハゼノキは、時にかぶれることがあるウルシ科の植物だもの。これはちょっとした心遣いとか?

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2005年12月28日 (水)

雪の上の落とし物 …コナラとイロハモミジ

山へ行くと、雪はまだまだ残っていた。
この辺などは麓の辺りだからまだまだ雪も少ないのだろうけど、スノーブーツを持ってくれば良かったと思うばかりである。

雪の上の落ち葉一面の白い世界。
すべてを飲み込んでしまったような、そんな印象を受けたけれど、歩いてみると意外に賑やかなのでびっくり。
なぜなら、雪の上には色とりどりの落ち葉が日の光を浴びていたからである。

これは、コナラにイロハモミジ。
落ちている葉を見て上を見上げると、落とし主である木が、「やあ!」とにっこり笑う。
コナラであれば、どんぐりもきっと落ちてる。
これはもう、結構な楽しさだった。

もう一つ雪の上のミルク 雪の中で面白かったのは、ミルク。
なぜか足跡の上を歩くのを嫌がって未踏の雪上を歩くので、ときどきぽくっと足がはまっては困っていた。
なので、写真では一歩一歩 そ~っと歩いているところ。

体重2kgそこそこの身体でも もぐってしまうほど、雪はふんわりと柔らかかったのだ。

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2005年12月27日 (火)

モミの木とクリスマス・ツリー

モミの木の枝引き続きモミの木
クリスマスは終わったけれど、クリスマス・ツリーの話。

モミ・・・(樅) マツ科 モミ属 Abies firma 日本特産の針葉樹 

子どもの頃、クリスマス・ツリーというと、ずばりモミの木だったような気がする。
小さな我が家では、ツリー自体も見かけた覚えが無いのだが、「(モミの木のツリーは)庭に植えると、とんでもなく大きくなるよ。」なんて忠告が、耳に残っているような、いないような…
それもそのはず、モミは30mほどにもなる常緑高木なのだ。
東京には、そんな大きなモミの木がそびえ立つような庭を持つ家はそうそうないから、クリスマスが終わったらさっさと片づけられてしまうことになる…。(もちろん、そこまで育つには100年はかかるだろうが…)

あらためてモミを見ると、サンタが剪定するのかと思うほどのすきっとした円錐形。(昨日のエントリー写真をご参照あれ)
また、枝先を見れば、オーナメントを飾り付けるのに打って付けの、絶妙な形状となっている。
やはりモミの木は、まさにクリスマス・ツリーのための木という気がするのだ。

しかし、今や家庭のクリスマス・ツリーはファイバー製などに取って代わられた。
生木を使う場合でもモミの木ではなく、あまり広がらないゴールドクレストなどが主流となっている。
もはや大きなモミの木は、デパートの前くらいでしかお目に掛かれなくなってきた。
これはちょっとさみしいことかもね…。

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2005年12月26日 (月)

モミの木とシベリウス

モミノキ 昨日(25日)の山行きの話。

最初に出会ったのは、端正な三角形のシルエット。
モミの木である。

モミ・・・(樅) マツ科 モミ属 Abies firma 

モミといえばクリスマス・ツリーだが、それよりも、現在娘がシベリウスの「樅の木」というピアノ曲を練習していることから、思わず2人でふ~む…と見入ってしまった。

モミノキの枝樅の木」は、シベリウス作曲の『ピアノのための5つの小品』の中の一曲だ。1914年に作られたこの作品は、「樹木の組曲」と副題が付けられ、5つの曲全てに「樹木」の名が付けられている。「樅の木」はラストの5曲目で、その叙情的な美しさから愛されて、この曲だけピックアップしておさめられているCDも多い。

シベリウスの故郷フィンランドは国土の70%近くが森林で、まさに樹木が生活の一部であり、モミの木も無くてはならない樹木の一つなのだろう。

その曲は、氷の粒がきらきらときらめくようなアルペジオで始まるが、一気にしーんと静まりかえった森のモミの木たちの表情を映し出す。
氷点下10度以下の世界。白夜の中、全てが凍り付いたかのように、しかし、ゆるやかにおだやかに針葉樹たちの時は流れていく。
そんな永遠に続くかのように思われた静寂が、突然巻き起こる風に破られる瞬間。冒頭よりも遙かに情熱的なアルペジオが、森を吹き抜ける風となって木々の間を荒れ狂う。
それは激しいうねりを持って森の唸りを上げさせたかと思うと、次第に風はやみ、再び訪れた静寂が森を包み込むのである。

小さなピアノ曲ではあるが、フィンランドの自然に対するシベリウスの深い憧憬を感じさせてくれるような作品だと思う。

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2005年12月 8日 (木)

ヤブランの実 (藪蘭)

ヤブランの実 ヤブランの実がなっていた。

ヤブラン・・・(藪蘭) ユリ科 ヤブラン属  Liriope platyphylla 花期8~10月

ヤブランは初秋の花。
蘭に似た葉を持ち、藪に咲くからヤブラン。といっても、実際はユリ科の植物だ。
まだ暑い頃から咲き出すその姿で秋の訪れを知るのだが、その実も厳寒の冬の到来を告げてくれる。

ヤブランの花 こちらは8月末のヤブランの様子。再度登場である。
上の写真は自然の中のヤブランだが、下は隣家の門脇である。
ヤブランは山の草花だが、昨日のキチジョウソウやジャノヒゲと共に庭のグランドカバーとしておなじみな顔であり、「ああ、この、足下にしゅっしゅっと伸びた緑の葉っぱ!」という感じで、誰もが無意識に記憶していると思う。

その葉は常緑であるからいつも目に青く、寒々とした冬の庭において、その黒く光った実とのコントラストが実にくっきりと目に映る。

ヤブランの実は…と言うと、果実のように見えるが実は種子
キチジョウソウの実はつぶすと汁が出る液果であり、その中に種子があるのだが、ヤブランの実は見てのそのまんまが硬い種子だ。

非常に剛健で、一度植えれば特に手入れをしなくても元気にいてくれるし、植えた覚えもないのに鳥に運ばれて、いつのまにか生えていることも。
育てていて花芽が付かなくなることもあるらしいが、概ね日照不足が原因らしいことから察すると、自生地で明るい木漏れ日を浴びているヤブランが目に浮かぶような気がする。

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2005年12月 7日 (水)

キチジョウソウ (吉祥草)

キチジョウソウの花 キチジョウソウが咲いていた。

キチジョウ?…と言っても吉祥寺とはまったく関係なく、吉祥=「めでたいこと」という意味らしい。
吉事があるとこの花が咲くという伝説から付いたらしいが、庭に植栽されれば結構剛健に咲いてくれる花らしいので、「一家に一株キチジョウソウ」…てなキャッチフレーズでも付けたくなる花。

キチジョウソウ・・・(吉祥草) ユリ科 キチジョウソウ属 Reneckia carnea Kunth. 花期:8~10月 暖地の林など

この写真を撮ったときは、生憎冷たい雨が降り出したところだった。
いつもはデジカメのストロボをoffにしてあるのだが、ここは木々に覆われた、ただでさえ薄暗い場所。
更に、自身の常緑の葉に半ば埋もれて咲くキチジョウソウの花を撮るには、あまりにも広量が足りない。数枚は普通に撮ったものの、ビューワーを見るまでもなかった。
半ばあきらめの境地でストロボをonにして撮ったこの一枚が、唯一の「なんとか見れる写真」となったのである。

キチジョウソウの実ジャノヒゲと違って、キチジョウソウの実は赤紫色に熟す。
こちらは、ブレながらもなんとか実の様子が撮れた一枚。
なんだか巣の中に守られた、小鳥の卵のようにも見える。
それとも、おいしそうな葡萄とか。

撮ってるうちにも雨足はどんどん強くなり、たまらずデジカメを懐に入れて走り出した。
ぽかぽかと晴れた日があれば、またゆっくりとキチジョウソウを撮りに行きたい。

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2005年12月 6日 (火)

ハダカホオズキ (裸酸漿)

ハダカホオズキ ようやく下界に帰ってきた…と思ったが、御在所行きを挟んでなお、山へ行きまくっていた。(笑)
まるで何かにせかされるようだ…と思ったが、おそらくは、終わりゆく秋に背中を押されていたためだと思う。

最近ではいつもの山から少しだけ足を伸ばしたりもしている。
そこにはさらさらと小川が流れ、常に新鮮な水の匂いがする。
周辺の植物たちは、みな葉もピンと伸びて、大変瑞々しい表情を見せてくれたりもするのだ。

写真のハダカホオズキもそうだ。
普段見かけるハダカホオズキは、半分枯れていたり、葉が虫食いだらけだったりと、あまりきれいな株は見かけないように思うのだが、この小川脇の個体は株も大きく葉も美しく、実もたわわに実っており、今まで見たハダカホオズキの中では一番のべっぴんさんのように感じた。

ハダカホオズキ・・・(裸酸漿) ナス科 ハダカホオズキ属 Tubocapsicum anomalum 花期:8~9月 山地の林縁などに生える多年草

ハダカホオズキの実

ハダカホオズキは、その名の通り、裸ん坊のホオズキだから。
ただし、小さい頃に遊んだホオズキと違って直径1cmに満たない小さな実だから、せいぜいままごとのトマトといった役回りか…。

ハダカホオズキの実はとっても可愛い。
いわゆるホオズキであれば、花後に実を包み込むはずのが、いわゆるナス科の花とは違い、分裂することなくお皿のように平たくなって、赤い液果の台座となる。
要するにハダカホオズキの萼は、しっかりと実を守ると言うよりは、ぺたんと実にくっついているだけのように見えるのだ。

ちょっとわかりにくいが、既に果実の付いていない緑色の花柄がぶら下がっているのも見えるから、こうして簡単に実を落として子孫をどんどん増やす魂胆なのか、それとも、実を食べに来るものたちが少しでも食べやすいように、という配慮だろうか。

「どっちでもないよ~!」…なんて声が、小川のほとりから聞こえてくるかもね。

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2005年12月 4日 (日)

御在所へ その7 ~サラサドウダン(更紗満天星)

サラサドウダンの冬芽 御在所岳の頂上付近で咲く花は、圧倒的にツツジの仲間が多い。
耐寒性がきわめて高いゆえのことだが、昨日のアセビもしかり、もちろん今日のサラサドウダンもツツジ科だ。

サラサドウダン・・・(更紗満天星) ツツジ科 ドウダンツツジ属 Enkianthus campanulatus 花期6~7月 別名フウリンツツジ

御在所サラサドウダンは既に冬芽だけになっていた。
そういえば、公園などでこうした冬芽を頻繁に見るようになると、冬真っ盛りの頃ということになる。

元々は野生の樹木だが、公園などでも多く植栽されているので、初夏には身近な場所で、その愛らしい風鈴のような花を見ることができる。

ドウダンツツジ属の紅葉の美しさは群を抜いていて、まさに花よし、葉よしと言ったところだが、nancy的にはこの冬芽の状態も可愛らしくて好きだ。
ふっくらとした頂芽はまるで蝋燭の炎のよう、さしずめ真冬に灯す小さな燭台といった風情が、なにか心を暖めてくれるのである。

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2005年12月 3日 (土)

御在所へ その6 ~アセビ (馬酔木)

アセビ 御在所の山上エリアは既に初冬である。

既に落葉樹は色鮮やかな衣をきっぱりと脱ぎ捨てて、あたりが雪に覆われるまでのわずかなひとときを、どこか寂しげに過ごしている。
そんな中、とにかく目に付いたのがアセビの木である。

アセビ・・・(馬酔木) ツツジ科 アセビ属 Pieris japonica

アセビついては2005.03.24 山のアセビで書いたが、すずらんの花にも似た白い花を鈴なりに咲かせたその姿は、まだ花の少ない早春にあって、まるでヒロインのように感じられたものだ。

さて、アセビは常緑低木なので葉を落とさない。
ここ御在所岳の頂上付近という場所においても、(当たり前のようだが)こうして元気に葉を蓄え、早春に咲かせるつぼみを既に夏から準備しているのである。

アセビの蕾と実 御在所山上公園から頂上までの、だらだらとした上り坂が続く中、息を弾ませながら眺めたアセビの木。
そこには、つぼみのみならず、今年咲かせた花の果実も同時に存在しているのに驚く。
おまけにその花は、2月半ばから4月くらいまでと長期にわたって咲き続けるのだから、いったいアセビはいつ休むのか、そのエネルギーたるやものすごいものだと思う。

御在所と言えばカモシカが有名だが、アセビ有毒植物なのでカモシカも食べない。
生来のパワフルさに持ってきて、鹿やカモシカたちも食べないとなれば、まさにこの世の春が如く、アセビの向かうところ敵無しといったところであろうか。

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2005年12月 2日 (金)

御在所へ その5 ~オオカメノキの実

オオカメノキ いまだしつこく御在所にいるのだが、やっぱり植物に目が走る。

ただ、標高が高いゆえに既に季節は初冬…、今日(11/28)はべらぼうに暖かいけれど、朝夕などは身の切れるような風が吹くのだろう。

そんな中、こんな赤い実を見つけた。
既に葉は全て落としているが、山頂エリアという場所とも考え合わせて、オオカメノキの実かな…と思った。(もし違っていたら、ご容赦の程を…)

オオカメノキ・・・(大亀の木) スイカズラ科 ガマズミ属 Viburnum furcatum 落葉小高木 別名ムシカリ

オオカメノキの実 オオカメノキは亀の甲羅のような丸くて大きな葉を持つので、大亀の木と呼ばれるらしいが、その他に「大神の木」がなまったという説もある。
神の宿る場所」である御在所、また古くは山岳宗教の拠点として位置づけられていたということから考えても、ここではやはり大神の木としたい。

こんな高い場所でも鳥はやってくるらしく、オオカメノキの実もだんだんと少なくなっていく。
やがて全てが白く覆われて、御在所にしんとする冬がやってくる。

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2005年11月26日 (土)

イタドリ(虎杖)

イタドリイタドリは、 山ではごく普通に見られる植物である。

多年草だから、まるで樹木のように大きく育った株もあるが、この写真はまだ若くて小さなイタドリだ。

昨秋から、このイタドリがいたく気になっていた。
特に、その「種子」に、である。

イタドリ・・・(虎杖) タデ科 イタドリ属 Polygonum cuspidatum 花期7~10月

山を歩くようになって一年ちょっとになるが、当時は名前もわからず、ただ写真を撮るのみであった。
花が咲いていてもわからぬのに、種子の姿ではなかなか調べようがなく、「おもしろい形だな」とは思ったものの、写真がいまいちうまく撮れなかったこともあって、そのまま記憶の隅にほうっておいた。
その後、ひょんなことからこれがイタドリの種子だとわかったのだが、既に季節はめぐってしまっていたので、「仕方がない、一年待とうか…」ということになったのである。

イタドリの種子大きいもので1.5mにも育つイタドリだが、それだけの株ともなれば、身につけた種子の数だけでも半端ではない。
なので、最初に出会ったときには、そのひらひらとした装いに、「いったいこれは何だろう~?何かの卵だろうか…?」と不思議に思ったものだ。

実はイタドリの種子、このぺらんとした質感こそにミソがある。
風散布型であるイタドリの種子は、風に運ばれて広く分布を増やしていく。
飛んでいってもいい頃合いまで熟したら、一枚一枚、親から離れてひらりひらりと飛んで行き、新天地に根を下ろすのである。
そのとき、イタドリの種子は風に乗るための翼となるのだ。
たとえばモミジの実に同じだろう。

イタドリは絶妙な自然のメカニズムによって、このような不思議感たっぷりな形態へと、その種子を進化させてきた。
それはあきれるほどの時間を掛けての作業であった。
そして今日では、山野のいたるところでイタドリを見かけることができるという訳である。

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2005年11月25日 (金)

ガンクビソウ (雁首草)

ガンクビソウ 山の小さな観音寺の参道で、こんなお花に出会った。
それは、ガンクビソウ(雁首草)。

雁首とは、キセルの頭のこと。
煙管(キセル)そっくりにうつむいて咲くから、ガンクビソウである。

ガンクビソウ・・・(雁首草) キク科 ヤブタバコ属 Carpesium divaricatum 花期:6~10月

樹齢300年とも言われるヒノキの足下で、まるでnancyたちを待っていたようなその花は、ひたむきそうに下を向き、物憂い表情を見せていた。

ガンクビソウの頭花は、いつも蕾のままのように見える。
そのわけは、舌状花を持たないから。
舌状花とは、キク科植物特有の、「花びら」に見える花のこと。
タンポポの花を思い起こしてもらえばわかりやすい。
あの花びら一つ一つが舌状花である。

ガンクビソウの花反してガンクビソウは、筒状花と呼ばれる花を持つ。
周辺部は雌性の筒状花、中心部は両性の筒状花、それぞれたくさん集まって構成されている。

草丈は0.3~1.5m!というから、相当背が高くなる個体もあるらしいのだが、この花はさしずめ「前へならえ」の手を腰に当てるタイプで、30cmそこそこしかなかったため、下向きの花の表情を窺うのに、ちょっとばかり苦しい思いをした。

なにせ生えているのが観音寺の参道だから、草刈りを熱心にされてしまうのだろう。
そのために、なかなか背丈が伸びないと見える。
それでも大きなヒノキの根本はとても心地よくて、よそへ引っ越す気など毛頭なさそうに見えた。
その証拠に、あちこち歩いてみたけれど、この場所以外ではガンクビソウに出会うことはなかったからである。

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2005年11月23日 (水)

コアカソ(小赤麻)のネックレス

コアカソの実 渓流から上がって、東海自然歩道を歩くことに決めたところで、コアカソに出会った。

コアカソ・・・(小赤麻) イラクサ科  カラムシ属 Boehmeria spicata

コアカソは、イラクサ科だが草本ではなく、落葉小低木だ。
少なくとも背丈1.7m以上はあったから、草本であるアカソよりも大きいのにコアカソなのは、どうやら葉っぱが小さいかららしい。

コアカソの果実 このコアカソは、渓流の橋のたもとにでんと陣取って、ネックレスみたいなお飾りを、ぶらりといくつもぶら下げていた。
よく見ると、いがいがした実がお団子のようにいくつも連なって、なんともおかしみのある姿である。
あまり好まれる植物ではないのだが、その実の可愛らしい表情にしばらく見とれてしまい、娘にせかされてようやくその場を離れた。

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2005年11月20日 (日)

ニシキギ (錦木)

ニシキギ この日曜はすっかり山にはまった娘のリクエストで、天気さえ良ければ、「ぷち登山」の山に行くことに決まっていた。
しかし冷たい風がやや強く、出かける時間も押してしまったので、「いつもの森 」へ行こうということにして、娘もをしぶしぶ承諾させた。
しかし、ちょっとニシキギの様子が見たくなり、いつもよりちょっと上までプリちゃんを走らせたのである。

ニシキギ・・・(錦木)  ニシキギ科 ニシキギ属 Euonymus alatus

ニシキギは庭木としても多く植栽されているから、別にここでなくても見られるのだが、絶え間なく流れる山の小川脇に生えるここのニシキギが好きで、年に何回か会いに来る。

ニシキギの葉 ニシキギは、その季節によって実に特徴的な表情を見せてくれる落葉低木だ。
湿度の高めなところが好きなので、ここのニシキギは渓流からの湿潤な空気を存分に浴びているせいか、いつ来ても機嫌がいい。

やがては真っ赤に紅葉するが、今時分の、まだ染まりきらない葉の美しさはまさに錦のようで、ニシキギという名が付いた所以を存分に感じさせてくれるのである。

このニシキギに別れを告げた後、ちょっと踏み込んだ山の小道。
予定ではいつもの山を軽く歩く程度のつもりだったのに、2時間ものトレッキングとなってしまったのである。

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2005年11月18日 (金)

ユリノキ (ハンテンボク)

紅葉したユリノキなんだか寒さが急に押し寄せてきた感じ。

山の木々も、慌てて赤や黄色の衣に着替えてる。
秋に置いてきぼりを喰わないように。

ユリノキ・・・(百合の木) モクレン科ユリノキ属 Liriodendron tulipifera 別名:ハンテンボク (袢纏木)

かさかさと落ち葉を踏んで歩くのが好きなミルクの為に、広葉樹が多い山の公園へ行った。

そこで出会ったユリノキ
とても背が高く、葉も大きく、すこぶるダイナミックな木である。

なぜ百合の木かというと、6月頃、まるでチューリップのような花が咲くからだそうで、学名にもチューリップの名が見える。
じゃ、「チューリップの木」が一番妥当なのだろうが、それでは(日本語の)語感的にちょっとうまくない。
なんでも昭和天皇が皇太子の頃に命名されたとのことだが、真異の程は別として、うん、ユリノキとは、語呂も良くてなかなかなネーミングだと思う。

ユリノキの葉 しかし、秋には是非ともハンテンボクと呼びたいのだ。
だって、この葉の形を見て!
ほんと、まるで袢纏!である。

森の妖精が着る袢纏は、秋には黄色く染められる。
そして、山の配達屋さんが冷たい風を吹かすと、一枚、また一枚と、風に乗る。

さぁ、早く。冬が来る前に届けなくては…
そして最後の袢纏が届いたとき、秋は終わりを告げるのである。

yurinokifan01 nancyは、「ゆりのきファン倶楽部」に参加しています。

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2005年11月17日 (木)

スズカアザミ (鈴鹿薊)

スズカアザミの花 秋の山を歩くと、淡い色のアザミに出会う。

スズカアザミは、静岡から東海及び近畿地方固有のアザミで、暑さが残る9月から寒さを感じる11月までと、秋を通して咲いてくれるアザミだ。

スズカアザミ・・・(鈴鹿薊) キク科 アザミ属 Cirsium suzukaense  花期:9~10月

スズカアザミは、春の力強いノアザミに比べ、なんだか心許ないほど優しげな表情を見せる。
初めて見たときはまだ暑い頃だったので、ノアザミの花の終わりなのかと一瞬思ったが、考えたらもう9月、ノアザミが咲いているはずもなく、見ればどの花もこんな薄めの紅紫色で、これはまったく違う種類のアザミなのだと気が付いた次第。
ノアザミの強烈なイメージが強すぎたばかりに、スズカアザミには申し訳なく思った。

スズカアザミ スズカアザミは、アザミの中ではそれほど大きな種類ではない。
nancyが見たのはどれも草丈1mに満たなかった。
その頭花は、みっちりと咲くマアザミに比べると、若干すかすかした印象で、花の根本部分である総萼片と呼ばれる部分はやや反り返る程度、葉は長楕円形で先は尾状にとがっている。
と言うわけで、アザミとしては全てに細く長い感じだ。

アザミというと、その美しさの反面、人を寄せ付けないところがあるが、山のスズカアザミは、どこかほっとさせてくれる花。

その花は、秋を通して山行く人をなぐさめて、いつも変わらぬ存在を伝えている。

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2005年11月16日 (水)

山のムラサキシキブ

ムラサキシキブの実ぷち登山」の山を降りて東海自然歩道に入ると、一気に植物たちも賑やかさを見せた。
秋の花や実、紅葉も相まって、色とりどりの美しさである。

が、夕方近くなると急に空気が冷え冷えとしてくる。
やはり秋は日の暮れが早い。
足早に帰路を歩くそばに小さな川が流れており、絶え間なく流れる水の音が聞こえてきた。

近づいてその優しい音に耳を傾けると、ふと目に止まったのがムラサキシキブの深い紫だった。

ムラサキシキブ・・・(紫式部) クマツヅラ科 Callicarpa japonica 花期:6~8月 日本原産の落葉低木

ムラサキシキブの実については、9月に「この実なんの実 …ムラサキシキブの実」で書いたが、あのときの、まだ若々しさが残る葉っぱの色、色づき始めたばかりの淡い紫色の実がびっしりと付いた姿を思い出すと、季節の移ろいの早さを思い知らされてしまう。

山のムラサキシキブ。その葉は数えるほどになっていたが、その細い枝先には既に小さな冬芽を持っていた。
ムラサキシキブの冬芽は、何かに守られるというわけでもない裸芽と呼ばれる状態で冬を越す。
そして、頂芽の下には小さな側芽二つが対になって寄りそう。 (ムラサキシキブの葉は対生)

命の証とも呼ぶべきそれらの芽をそっと育てながら、ムラサキシキブは厳しい冬を過ごすのである。

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2005年11月 9日 (水)

シロダモ …気になる赤い実

シロダモの木 実りの秋になって、なんだか気になる赤い実が増えてきた。

先日のクロガネモチがそうだったし、今回のシロダモも、名前がわかるまでは、とても気になる赤い実だった。

10月の終わりに山に行き、何種類かの赤い実を写真に収めたのだが、その多くの名前がわからない。
しかし、ま、これもいいだろう。
いずれは何かの折りにわかるのだろうから。

ずっとわからなかった植物の名前がわかったとき、それはうれしい気持ちになる。急にその植物が身近に思えてくる。
その瞬間が好き、なのだ。

シロダモ・・・クスノキ科 シロダモ属 Neolitsea sericea 常緑高木 花期:9~10月

シロダモの実 シロダモの名は、今月の湿地見学で自然観察指導員の方に教えて頂いたのだが、そのとき、「あ、この葉は…!」と、ピンときたのである。(上の写真)
さっそく、10月末に山で撮ってきた写真を見てみると…「あった、あった、!」…というわけで、こちら(下)が、山で写したシロダモの写真である。

名前がわかればこっちのもので、目立つ3本の葉脈、そして長い葉柄…などなど頭に叩き込んだ。

さて、山で撮った写真では、まことにうまいこと葉が一枚裏返っているのでうれしくなった。
なぜなら、この、葉の裏の白さシロダモの名前の由来となったというからである。

シロダモは雌雄別株なので、つまりは赤い実のなっているシロダモは、雌の木だ。…ということは、気が付かなかったが雄の木もあるということになる。
次回は、ぜひともシロダモの雄の木を探してみたいものだ。

以前クマヤナギでも書いたことがあるが、樹木には、1年以上の時間を掛けて実を熟させるものがある。
シロダモがその好例で、昨年付いた実が真っ赤に熟しているその横で、今年咲いた花の実を見ることができるのである。
もちろん初秋であれば、実と花が同時に存在する姿を見ることができるのだろう。

上の写真をクリックして拡大してもらうと、左側の枝に緑色のつぶつぶした小さな実が付いているのがわかると思う。
この緑色の小さな実が、来年の秋には真っ赤に熟して、山を彩るのである。

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2005年11月 5日 (土)

クロガネモチ(黒鉄黐) …気になる赤い実

久しぶりに娘が風邪をひいた。
鼻風邪だが、口呼吸が高じて気管支喘息になることもあるので要注意である。

秋のイベント続きで疲れが出たのだろうかと思ったが、やはり中学でも風邪ひきだらけ、あちらでもこちらでも、ゴホン、ゴホン!らしい。

なんと言っても、いつもくっついてる母子の弱点は、風邪の共有である。
昨夜からなんだか身体がだる~くなってきて、朝からは更に喉の痛みも感じたので、さすがに今日は泳ぐのもあきらめた。残念!

kuroganemochi

さて、月に一度の国指定湿地の見学会が今日だったのだが、娘の習い事があるので、途中合流、途中抜けという残念な参加となった。
しかし、秋の湿地はまた格別だったので、なんとか参加できてよかったとしみじみ思った。

写真は、いつも見慣れたクロガネモチの木。
澄んだ青空に、赤い実をたわわに付けたクロガネモチの緑の葉がくっきりと映えて、いつになく美しい姿だった。

クロガネモチ・・・(黒鉄黐) モチノキ科 モチノキ属 Ilex rotunda 花期5~6月  果期10月~1月

クロガネモチは常緑高木である。
全国的に見られるが、東北は南部以南ということから、暖かい気候が好きなようだ。

ここで疑問。モチノキ科の、「モチ」とはなんだ?
いつものように、「黐」という漢字にもそそられる。
そこで、いつものようにATOKの同音語用例文で見てみた。

モチ【×黐】  モチノキなどの樹皮をつき砕いて作った粘り気の強い物質。鳥や虫をとるのに使う。鳥もち。  →もちのき

というわけで、すなわち「鳥もち」を作るための木、というわけだ。
鳥もちとは、鳥を捕まえる為のねばねばとした物体である。
今では、「鳥もち」などという言葉は私語に近いのかもしれないし、樹皮から鳥もちを作るなどということは、ほとんど無いのだろうから、木の名前としての「モチ」だけが残っていくのだろう。

かつては鳥を捕まえる為に使われたクロガネモチだが、その「赤い実」は鳥たちが好んで食べる。
そして、種は鳥のお腹におさめられ、空を飛んで遥か遠くまで運ばれるのである。

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2005年10月31日 (月)

チヂミザサ(縮み笹) …ミルクの憂鬱

milk-hittuki01 ミルクは山を走るのが大好きだ。
特に枯れ葉や下草がかさかさと音を立てるような道は一番好き。

この頃では走っても暑くないし、カユイやぶ蚊も少ないし…というわけで、プリちゃんに乗り込んで山に行くのは、楽しくて仕方がない様子だ。

ただし、気持ちよく走っていると、あっという間にご覧の通り。
あ~あ!ひっつき虫がこんなに~!…と叫ぶ娘の声が聞こえる。

chidimizasa01 犯人はチヂミザサである。
この写真は少し前の、まだ「開花中」の状態だが、この時期山には絶対にジーンズで行ったほうがいい。
nancyはうっかりトレーニングウェアで行ってしまい、気が付けば、ミルクと同じくズボンが緑のつぶつぶだらけ。
たくさんのチヂミザサの種を持ち帰ってしまった。

チヂミザサ・・・(縮み笹) イネ科 チヂミザサ属 Oplismenus undulatifolius 花期:8~10月

チヂミザサは笹ではなく、イネ科の多年草だ。
まるで笹の葉を“なみなみ”に縮ませたような葉なので、チヂミザサというわけ。
一見、すんなりとした美人に見えるので、もう少し優美な花でも咲くのかと思ったのだが、残念、近付くとひっつき虫という「素敵な贈り物」をたくさん頂く羽目になる。

とにかくチヂミザサの種は始末が悪い。
トレーニングウェアのようなニットでは、突き刺さって肌にチクチク当たるし、へたに引っ張ると布地が傷んで毛羽立ってしまう。
粘りけのある粘液でもくっつくし、動物の毛や衣類などにはノギが引っ掛かる形で、より遠くに遺伝子が運ばれることを企んでいるのである。

おまけに大抵の植物は、踏みつけられないように山道の端っこの方にいるのに、チヂミザサはどういうわけか道のど真ん中に陣取って、そのひっつき虫だらけのその花穂が、通る者たちに効率よく触るようになっているのだから、たまらない。

こうしてミルクは、胸から顔にかけて思いっきりチヂミザサの洗礼を受ける羽目になり、家に帰ってから娘にひっくり返されて、一つ一つ取って貰ったのはいいが、時折毛を引っ張られては「ヒィン!」と、何度も鳴き声を上げていた。

ミルクを悩ませるひっつき虫はチヂミザサだけではない。
これからの季節、山に行くたびになんだか憂鬱な種がたくさんくっついてくる。

もしもミルクが言葉を話せたら、「もう少し足が長かったらいいのに…」とでもぼやくのだろうか…

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2005年10月30日 (日)

ヤナギタデ (柳蓼)

yanagitade01 このところ、毎週日曜には娘と泳いでいたが、空の色を見て、なんとなく「今日は山!」という気分になってきた。
昨日の雨のせいもあるかもしれないし、時折感じるひんやりとした空気のせいかも知れない。

約一ヶ月ぶりの山行きだったが、このヤナギタデに会えたのは幸運であった。

ヤナギタデ・・・(柳蓼) タデ科 タデ属 Polygonum hydropiper 花期:7~10月 別名:マタデ ホンタデ

有名な、「蓼食う虫も好き好き」の蓼は、このヤナギタデのことを言う。
「好き好き」ということは、人により好みがさまざまだということ。
好きな人もいれば嫌いな人もいるということで、ヤナギタデの葉はまことに辛い。
鮎の塩焼きのためのタデ酢は、かつてはヤナギタデから作られていたし、刺身のつまに付いてくる、紫色の小さな芽があるが、ヤナギタデを品種改良した栽培種の芽なのである。

以上、ヤナギタデの話では必ず出てくる雑学だが、それほどの鮮烈な辛さを持つヤナギタデであるから、出会う人々に、それはそれは強い印象をもたらしてきた花と言えよう。

ヤナギタデは、別名マタデ、またはホンタデとも呼ばれ、まさに「本物」間違いなしの待遇で、片やぼんくら扱いされる「ボントクタデ」とはえらい違いだ。
ただし、ヤナギタデ、ボントクタデともに、生育場所である水辺や湿地の減少につれて、次第に珍しい花になりつつあるのはさみしい話である。

yanagitade-haそう。ヤナギタデは、水が大好きなのだ。
今日も、水辺…というよりも、ほとんど水に浸かりっぱなしの場所で、しかし居心地良さそうに生育していた。

10月も明日で終わり。だんだんと彩度を上げていく山の景色。
ヤナギタデの葉もくっきりと赤く染まり、やがて来るべき冬を告げていた。

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2005年10月28日 (金)

ノブドウ (野葡萄)

nobudou01 秋にはいろいろな実がなるけれど、その中でもひときわ素朴な美しさを持つノブドウの実。

ちょうど去年の今頃、山で初めてノブドウと対面したときは、秋空の下、そのつるを水際の低木に絡ませていたっけ。

ノブドウ・・・(野葡萄) ブドウ科 ノブドウ属 Ampelopsis brevipedunculata var. heterophylla 花期:7~8月

ノブドウはつる性の木本で、いかにもブドウらしい葉を持ち、夏にヤブガラシに似た花を咲かせ、秋には色とりどりな実を付ける。
その実は本当にカラフルで、写真のような白や緑、青緑、グレーやるり色、紫、水色などなど…。
今回の写真は、見ての通りちょっとさみしい感じだったので、また後日いい写真が撮れたらアップすることとしたい。

実はこの夏、近所でノブドウが育ってるのを見つけて、実が色づくのを楽しみにしていたのだが、それを待つことなく刈られてしまったのである。
仕方のないことなのだが、これにはちょっとショックだった。
なので、このノブドウの実を見つけた時には、思わず即エントリしたくなってしまったのだ。

秋の山を彩る小さなノブドウの実。
ただし、残念なことにその実はまずくて食べられない。
おまけにつるを切ってきて飾っても、その実はすぐに色あせてしまう。

そんな、なんの役に立ちそうもないノブドウだが、大変薬効に優れ、古くから漢方薬として役立てられてきた。
薬としての主役は一見目立つ「実」ではなく、「茎葉や根茎」だったのである。
その薬効たるや、関節痛、腰痛、糖尿病、肝臓病など、幅広く効果があるといい、外用薬に、またノブドウ茶として飲むなど、民間薬としての人気は意外に高い。
なにせ付けて良し、飲んで良しとくるのだから、これはもう、ちょっとした山のスーパーヒーローなのである。

もう、「まずくて食べられない」なんて言わせない。
ノブドウの魅力は、単にその可愛い実だけではなかったのである。

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2005年10月25日 (火)

アレチヌスビトハギ …外国から来た花

アレチヌスビトハギの実あらやだ、ひっつき虫だわ…
…てな具合に、ズボンなんかにぺたぺたとくっついてくる、そうそう、あれ。

衣服にくっついたときは、三角の実が一つ一つばらばらになっているので、本種を知らない頃は、いったいどんな植物なのかと思っていた。
確かに、実際実がなっている姿は見たことが無い方が多いかもしれない。

その名は、アレチヌスビトハギである。

アレチヌスビトハギ・・・(荒れ地盗人萩) マメ科 ヌスビトハギ属 Desmodium paniculatum 花期:7~9月

アレチヌスビトハギの花 今頃は、ちょうど上の写真のような姿になって、「おいでおいで」と通る者を待っているのだが、夏から秋にかけては、萩と呼ばれるにふさわしい、ピンクの丸い花びら(旗弁)を持った蝶形花を付けていた。

この花、夕方には閉じてしまうのだが、色素的に青みを帯びているらしく、閉じると青くなってしまう。
最初に見たときは夕方だったので、いったいこの青い花は何だろうかと思って、ちょっとわくわくしたものだ。

アレチヌスビトハギの花後 ところが、同時に実を付けた株を見つけて、「なぁ~んだ、ひっつき虫かぁ~」と、がっかりしてしまった次第。

落胆したりして、アレチヌスビトハギには少々申し訳なかったが、そのひっつき虫のイメージとはかけ離れた色合いが心に残った。

憎まれ者の帰化植物、アレチヌスビトハギ
そのはかなさをたたえた色に、なんだか意外な一面を見たような気がしたのである。

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2005年10月15日 (土)

メドハギ (蓍萩)

medohagi01 とは、マメ科 ハギ属 ヤマハギ亜属のお花たちの総称で、特定の花の名前ではないと、ヤマハギのエントリで書いた。

このメドハギは、山地性低木のヤマハギとは少し様子が異なっていて、あまり花は目立たないが、比較的公園などで目にすることが多いと思う。

メドハギ・・・(蓍萩) マメ科 ハギ属 Lespedeza cuneata 花期:8月~10月

蓍萩」と書いて「めどはぎ」と読むのだが、この「蓍」の字には参った。nancyはまだ眼鏡の必要なしに図鑑の説明を読むが、この字は初めてお目に掛かる字である。大抵の漢字はATOKが読みを教えてくれるのだが、今回ばかりはどうもお手上げのようであった。

娘が手書き入力を試みてみるが、ようやく3度目にが出た。
しかしATOKでは第二水準で、音読みが「シ」としかわからない。頼りのATOKなのに、あれれ…

というわけで、goo辞書で調べてみると、

めど 【▼蓍】
(1)メドハギの古名。[和名抄]
(2)「めどぎ(筮)」に同じ。
(3)占い。
       出典元:大辞林 第二版より

と、出た。さすがである。
つまり、「」という、この字自体がメドハギの意味だったのだ。
なるほど!である。

メドハギは、茎がまっすぐだ。この茎を筮竹(ぜいちく)代わりにしたとのことで、つまり、メドハギは古来から占いに使われる神聖な植物であったのだ。

medohagi02 育つと1mほどにもなるメドハギは、ずっと低木だと思っていたが、意外なことにあくまで草本。
茎と言うよりも、堅くて小枝のように見えるのだが、(しつこくも)意外なことに、あくまで多年草ということになる。
同じマメ科のコマツナギは、草のようだが樹木であるし、植物の分類ってなんだか面白いと思ってしまう。

メドハギの花は目立たないけれど、白地に紫を刷毛ではいたようなラインの入った美しい花だ。

古来、人々の運命を占ってきたメドハギ
果たして現代の人たちを、どう見るのだろうか…

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2005年10月11日 (火)

チョウセンキンミズヒキ

chousenkinmizuhiki01 またしても名前のわからない花に出会っていた。
黄色い星のような、印象鮮やかな花。しかし、意外なことに名前がわからない。

いつものようにMOCAさんにお尋ねしたが、「ヒメキンミズヒキ」か「チョウセンキンミズヒキ」なのだが、葉がないと断定はできないとのこと。
思った以上に微妙なお花なのだ・・・と少しびっくりした。

そして、いつもの山で同じ花と出会い、今度こそ間違いなく葉を撮影したので見て頂いたのだった。
…というわけで、先ほど同定をして頂いた、ほやほやの花である。

チョウセンキンミズヒキ・・・(朝鮮金水引) バラ科 キンミズヒキ属 Agrimonia coreana

山地や高原に見られる多年草で、ミズヒキとは言っても、タデ科のミズヒキとはまったく別の科のお花だ。

MOCAさんによると…

chousenkinmizuhiki 写っている葉に丸みがあり、鋸歯(葉のギザギザ)が鈍く、(花の)萼裂片も、反り返っていない。
ヒメキンミズヒキは、葉が細めの楕円形で、鋸歯は鋭くはないが写真のものよりは、クッキリしている。(花の)萼裂片は、反り返る。

というわけで、ぱっと見ただけではなかなか見わけづらい。

さて、山では踏んでしまうほどたくさん咲いていたチョウセンキンミズヒキなのだが、実は、県によってはレッドリスト【絶滅危惧II類(VU)】に挙げられるお花だった。
環境省発表のレッドリストを見ると、宮城、群馬、千葉、東京、神奈川、長野、滋賀、宮崎、岩手、埼玉と、1都9県で絶滅が危惧されている種とされている。

確かに、こちらでも山野以外では見かけることがないチョウセンキンミズヒキ
花後のそう果は、「ひっつき虫」となって運ばれるはずなのだが、そうやって種を運んでくれる動物も少なくなくなったか…

そう思うと、心なしか、花の表情が寂しげに見えたのである。

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2005年10月 9日 (日)

ハナタデ (花蓼)

hanatade01 薄暗い森の中で、ハナタデは咲いていた。
道ばたに多いイヌタデ(アカマンマ)に比べ、花はまばらで、色味も薄い。そのせいか、どこか楚々とした雰囲気のお花だ。

ハナタデ・・・(花蓼) タデ科 タデ属 Polygonum caespitosum var. laxiflorum 別名:ヤブタデ 花期:8~10月

実は、この写真のハナタデは、毎日のように通っているスイミングクラブの「庭」で咲いていた。
庭と言っても、「昔はここいらも山であった」という名残をとどめた小さな小さな雑木林で、ぼちぼちモミジなどが紅葉を待っているところである。

ああ、咲いているな…と思いつつ、毎日通っているというのにいつもカメラを忘れてしまって、ようやく今日になって写真を撮ることが出来た。
開いた花が写っていないのが残念だが、風にそよそよとなびく姿は、はかなげな印象のあるお花である。

hanatade02 ハナタデは薄暗いところが好きなようで、また、幾分湿り気のあるような木ノ根もとあたりに、群生している。

葉は互生(互い違いになっていること)し、卵形、または長卵型であるが、先っぽが急に細くなっていて、何かの尾のように細くとがっている。

hanatade03つぶしたらプチプチと音を立てそうなタデ科の花。
ママコノシリヌグイなどと同じように、花が終わると、花被はそう果(種子)を包み込む。
そうして守り続けた種は、黒く熟したあと、またこの地に落ちて、秋には新たな花を咲かせるのである。

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2005年10月 7日 (金)

メリケンカルカヤ ~外国から来た花

mericen-karukaya01 最近、いろいろな場所でこの植物に会った。
なんだかな~?・・・と思いつつ、わからずじまいだった。

見るからにイネ科っぽいのだが、その風貌はと言うと、まっすぐ伸びた1mほどの茎が、ひゅんひゅんと地面に突っ立ってるだけである。
いったい何になるのか?と思ってたら、こうして羽毛のような花が咲いたので、つまりは、これがこの植物の成熟した姿かな?というわけである。

そこで、左サイドバーのMOCAさんに、いつものように同定をお願いしたのだが、程なく、メリケンカルカヤという植物だということがわかったのである。

メリケンカルカヤ・・・(米利堅刈萱) イネ科 ヒメアブラススキ連 メリケンカルカヤ属 (ウシクサ属に含める説もあり) Andropogon virginicus 北アメリカ原産 花期:9~11月 草丈0.2~1.5mの多年草

メリケンとは、これまた、かくも懐かしげな響きである。
メリケン=アメリカという意味だが、メリケン波止場、メリケン粉… どこか、古きよき時代のセピアな匂いがする。

カルカヤとは、刈る萱のことで、萱(カヤ)とは、かやぶき屋根のカヤのことだ。実際にメリケンカルカヤで屋根を葺いたかどうかは知らないが、現代では特別に保存されているだけのかやぶき屋根…。というわけで、実生活では、植物の名前に残るのみになっている。

メリケンカルカヤが日本に来たのは、かれこれ60年以上前の話である。
とはいえ、一つの植物が全国的に増えるのには相当な時間が掛かるから、彼らにとって60年の歳月は、そんなに長いことでもなかったのかもしれない。

mericen-karukaya02 その花序には白い毛があって、結実すると風に飛ばされてふわふわと飛んでいくのだろう。
秋の陽を浴びてきらめく白い綿毛が美しかった。

アキノノゲシでも書いたが、MOCAさん曰く、この写真のメリケンカルカヤは、ちょうど咲き始まったところで花の状態が良く、もっとも美しい頃であったらしい。

花の持つ一番美しい時期。
偶然とはいえ、そんな頃に会えた幸せを感じながら、遠くメリケンから来た花のことを思っていた…

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ヤマハギ (山萩)

yamahagi01ヤマハギと言えば、秋の七草の一つ、の花である。
は、マメ科 ハギ属 ヤマハギ亜属のお花たちの総称で、ハギという名前の花は、実は存在しないのだ。

ヤマハギ・・・(山萩) マメ科 ハギ属 ヤマハギ亜属Lespedeza bicolor var. iaponica 花期:7月~10月 落葉半低木

なので、その字の通り「秋」のイメージだが、夏の始めころから、山の小川の脇あたりで咲いているのをよく見かけた。
ただし、やはり9月に入ってからが、ぐっと花数が多くなるようだ。

yamahagi02その蝶形花は、皆でにぎやかに飛び交って、山の小道を華やかに彩る。
色も、濃いピンク(紅紫色)に白と、これまた実にはっきりと。
万葉の時代から歌人に詠まれ、長い間日本の秋を見守り続けてきた花である。

湿地を取り囲む森。
大きな木の下に、そのヤマハギは咲いていた。
その咲き乱れる様は、道行く者をなぐさめ、秋の訪れを教えてきたに違いない。

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2005年10月 4日 (火)

クサギの実

kusagi-hana01 実りの秋。

今回の山行きで、一番目に付いたのがクサギの実だった。
クサギはクマツヅラ科の落葉広葉樹だが、2005.08.10 クサギ …湿地周辺の植物 で既にご紹介したことがある。
あのときは、その独特な実については、「出会えたら後日ご紹介」とだけ記しておいた。

あれ以来、気が付けばクサギは家の近くでも見かけたし、山にもたくさんのクサギの木があった。
薬効も優れ、昔から生活に溶け込んだ樹木だったのかもしれない。

kusagi-hana02 この赤いのがクサギの実。いやいや、赤い星にくるまれた、瑠璃色の丸い玉が実である。なんともいえない愉快な姿だ。実に可愛らしい。
赤い星に見える「萼片」が、実が熟すまでやさしくすっぽりと包んで守っている。

kusagi-mi01その実はまるでお正月に遊ぶ、羽根突きの羽のよう。

一番最初に出会ったときには臭い臭いと騒いだクサギだが、その実は野鳥の好物で、あっという間に無くなってしまうらしい。

そうやって野鳥のお腹に入ったクサギの種。
どこか遠くに運ばれて、芽吹いて新たなクサギの木が育つのか…
どれほど先の秋の山…、赤い星に包まれた瑠璃色の実を付けるのだろうか…

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2005年10月 1日 (土)

アキノタムラソウ (秋の田村草)

akinotamurasou00久しぶりに山に行ってきた。
まずは車を止め、雑木林の中の小道を登っていくのだが、今日一番のお出迎えは、アキノタムラソウだった。

アキノタムラソウ・・・(秋の田村草) シソ科 アキギリ属 Salvia japonica 

シソ科、アキギリ属のこのお花は、花穂がすっくと伸びていて、全身を写真に収めるのが難しい。
写真の花で、草丈だいたい30cm程度か…
サルビアもこの仲間なので、思い浮かべて頂くと想像しやすいかもしれない。akinotamurasou01
学名もSalvia japonicaと、まさに「日本のサルビア」なのである。

山野で見かける澄んだ青紫色… 
春のスミレもそうだが、なんとなくどきりと心奪われてしまうものだ。そこはかとなく色気がある花とでも言おうか。
おまけにアキノタムラソウはこっちを向いてくれる花ではなく、お日様の方向に揃って向いてしまう為に、なんとなくそっぽをむかれてしまうことが多い。あら?今日も振られたかな…?

akinotamurasou02 と思ったら、こちらを向いてくれている花を発見。
その花をよく見てみると、もしゃもしゃとした白い毛が多いことに気が付く。
写真、向かって一番右の花。上からちょこんと出ている白いのが雌しべ。その花の下に、二つ黒くぶらさがって見えるのが、雄しべだ。

アキノタムラソウの花、「大口を開けたカバの顔」と言われるらしいのだが、もうちょっとかわいげのある表現の方が似合いそうな花である。

さてさて、ちびカバさんたち、お名残惜しいけど…と別れを告げて、山の小道を急いだ。

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2005年9月25日 (日)

ヤハズソウ (矢筈草)

台風17号の影響で、東海も午前から強い風が吹いた。
風が収まった頃からやっと涼しくなってきて、
「これでようやく秋?今度こそほんとに秋?」
・・・だって、9月に入ってから、このせりふを何度口にしたことか・・・

yahazusouさて、写真はヤハズソウ
ダム湖一周サイクリングのゴール地点で見かけたお花である。

ヤハズソウ・・・(矢筈草) マメ科 ヤハズソウ属 Kummerovia striata (ハギ属に含める見解もあり その場合は…Lespedeza striata ) 花期…8~10月

ヤハズソウは、何気ない表情で、何気なく咲くお花である。草丈は低くて15cm~40cmほど。写真の花で30cm弱であろうか。
よく見れば、白とピンクのツートンカラーで、可愛らしい蝶形花なのだが、5mmくらいと小さく、決して目立つ花ではない。
茂り具合からして、芝生の管理者がいやがりそうな草だ。

ヤハズ矢筈とはなんだろうか?

やはず【矢×筈】
① 矢の端の、弓弦(ゆづる)を掛けるところ。はず。 ② 細い棒の先に叉(また)のついた、掛け物を掛ける道具。
・・・ATOK同音語用例文より

どうやら、矢筈とは弓矢の羽の部分のことらしい。ヤハズソウの小葉の先を引っ張ると、矢筈の形にちぎれるのである。
昔の子どもたちはどんなものでも「遊び」にできる天才だったので、ヤハズソウの葉はじゃんけん遊びの道具となったのだ。

この矢筈…どこかで見かけたと思ったら、初心者マークの形である。ということは、あの「若葉マーク」をデザインした人は、子どもの頃ヤハズソウで遊んだのかも…

やたらとちぎられ おもちゃにされて、いったいヤハズソウにとってはどうだったのだろうか?
そうやってちぎられると、その下の部分から分枝してますます茂る。むしろちぎってくれた方が、株の繁栄には貢献するのかもしれない。
これも、根絶やしにならないための知恵であろうし、そのヤハズソウの知恵で昔の子どもたちが遊び、その名前にもなったというのは、今よりも子どもたちが自然と仲良しだった頃のお話である。

今ではちぎられることもなくなったヤハズソウ
何気なく茂っては、初秋のどこかで息づいているのである。

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2005年9月19日 (月)

オミナエシ (女郎花)

ダム湖 今日は、サイクリングロードのあるダム湖に行って、サイクリングを楽しんだ。自転車はレンタルだ。

タンデムにも乗りたいけれど…という娘だが、今日は一人一台ずつ。
だって、写真のような景色を見ながら自由に走る爽快さを、思い切り味わいたかったから。

ただし、今日はまことに蒸し暑かった。
そして、ここは山なのである。つまり、アップダウンが結構ある。・・・きつい・・・ 耐えきれず、はぁはぁ言って自転車から降りて歩くこと数回。
しかし、苦あれば楽あり。気持ちの良い下り坂も、また同じだけあるのである。

さて、オミナエシ nancyは走りながらも、路傍の花が気になって仕方がない。
いつもの山とは違うのである。当然お花の個性も違うのだ。

…と、これが最初に出会ったお花。じゃ~ん!それは、オミナエシだった。
登りかけの道でいきなり止まったものだから、娘の当然なるブーイングを喰らいつつも、撮影して良かった。この後オミナエシと出会うことは、ついぞ無かったからである。

オミナエシ・・・(女郎花) オミナエシ科 オミナエシ属 Patrinia scabiosaefolia

先日オトコエシを紹介したばかりだが、こちらが秋の七草のひとつ、有名なオミナエシである。
オトコエシを見たときには、男っぽい花とは思えなかったのだが、やはりオミナエシを見ると、う~ん、なるほど風情にたおやかさが感じられる。

オミナエシの花アップ 道ばたにたった2本のオミナエシ。少しさみしげな表情を浮かべながら、汗だくになって登り道を漕ぐnancyたちを見送っていた。

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2005年9月17日 (土)

オトコエシ (男郎花)

オトコエシ この写真は、実のところ、昨日エントリしようとしたお花、オトコエシである。

しかしnancyは、撮影時からずっと「ヤマゼリ(山芹)」だとばかり思い込んでいて、実のところあやうくそのままエントリしてしまうところであった。

ところが、花を拡大してよくよく見れば、ヤマゼリとは特徴が違うのである。
慌てて、コバネイナゴに頼んで、急遽代役を務めて頂いたというわけであった。

「思いこみ」はよくやってしまうことだが、もっともっと心を柔軟にしなければ…と、あらためて反省した次第。

で、写真のお花は、オトコエシだ。
とあるコミュニティで「オトコエシでは?」と、教えて頂いたのだが、手元の図鑑を見ても、まず間違いないと思う。

オトコエシ・・・(男郎花) オミナエシ科 オミナエシ属

オトコエシの花 オトコエシの女性バージョン?は、有名な、オミナエシ(女郎花)である。オミナエシは秋の七草でもあるし、オトコエシよりもはるかに有名だ。その「女郎花」という漢字が、どこか薄幸な運命を想わせるのである。

で、本種オトコエシの「男郎」というのはいったい何を指すのだろうか?
いやいや、男郎には特に意味はなく、オミナエシよりもたくましそうに見えるからと、単に「男」にされたらしいのである。

しかし、実際にnancyが出会ったオトコエシは、見た目涼やかで、どちらかというとスキッとした男装の麗人とでも言おうか。

山野に凛と佇むその姿は、見る者に何かを感じさせてくれたように思った。

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2005年9月 5日 (月)

コマツナギ

またしても、のろのろ台風がやってきている。

勢力が大きい上にスピードが遅いとくれば、前線が刺激されてあちこちで大雨を降らせることになる。すでに各地で豪雨の影響が出ており、被害は拡大するばかりである。
ただでさえ、スコールの如き熱帯性な降り方をする、昨今の雨である。どうか被害を最低限にとどめて、足早に立ち去ってくれよと願わずにはいられない。

コマツナギと言うわけで、今日はどこにも行けずに、写真を眺めては山に思いを馳せていた。

写真は、コマツナギの花。7月にには、小さな小さな花しか見れなかったが、今回の山行きでは、まさに山一番の美しい姿を見せてくれたように思う。

コマツナギ・・・(駒繋ぎ) マメ科 コマツナギ属 Indigofera pseudo-tinctoria

コマツナギは、草むらの中、あちこちでピンク色の花を覗かせていたが、実際には草本ではなく、草本状の小低木である。草刈りをされるような草地に群生するが、刈らずにそのまま放っておいても、茎が細いのでそう大木にはならないようだ。

コマツナギマメ科植物特有の蝶形花が集まった花房は、園芸種のルピナスを思わせるようだが、小さく華奢なために派手すぎず、可憐な草むらの妖精である。
しかし、その名の通り、馬を繋げるというほど丈夫な茎と根は、抜こうとしても簡単には抜けない芯の強さを持つ。

夜にはその葉を閉じるというコマツナギ
眠りについた葉っぱたちに秋の子守歌を歌うのは、エンマコオロギ、あるいはマツムシか…

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2005年9月 2日 (金)

山のセンニンソウ

センニンソウ 2005.8.17に、近所のセンニンソウの話を書いたが、山でもたくさんのセンニンソウに出会った。

平地では、たった一輪の花にしか出会えなかったが、山のセンニンソウは、それはもう花盛り。
群生の見事さはまた格別で、花の風情も、ぐっと違って感じられた。

センニンソウは、大変華やかに人を誘い、それでいてどこか近寄りがたく、凛とした花だと思う。それは、葉や茎にかぶれを起こす有毒成分を持っていることを知っているから余計に感じることかもしれないが、その花の独特な造りがどこか「普通の花ではない」という空気を醸し出している。

センニンソウ

前回はよく見れなかったその花をよく見てみると、花びらのような4個の萼片が十字に広がり、長いたくさんの雄しべが目に止まる。花が終わると花柱が3cmほども伸び、仙人草と呼ばれる所以となった、独特の実を結ぶのである。

さて、センニンソウは漢方薬にもなるのだが、概して外用薬として使う。それも、汁を塗ってわざとかぶれさせて患部の毒を出すという療法が主だったものらしく、これはうかつに手を出さぬ方が良いだろう。

仙人は高嶺に住まうもの。
センニンソウも、触れずに愛でて楽しむのがお作法と言える。

山では意外なほどカジュアルに顔を見せてくれたセンニンソウだったが、また実のなる頃に再会を祈って、山の小道を急いだ。

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2005年8月28日 (日)

ヤマボウシ(山法師)と、山の民

ヤマボウシ 昨日クワガタを帰した場所のそばに、ヤマボウシの木が何本かある。

ヤマボウシ・・・(山法師) ミズキ科 ヤマボウシ属 Cornus kousa

ヤマボウシは、ミズキ科の落葉高木で、よく植栽されているハナミズキによく似た花を咲かせるらしい。
しかしこの春、この場所は何度か通ったのだが、花にはついぞ気が付かなかった。時期が合わなかったのか、樹上で気が付かなかったのか。

7月のヤマボウシ nancyがヤマボウシの木に気が付いたのは、ちょうど一ヶ月前のことだ。これがその時の写真。
とにかく暑い日だったが、その実のおもしろさは、一瞬だけ暑さを吹き飛ばしてしまうほど、強烈な印象だった。

ぴょんぴょんと元気よく上に飛び出す実!なんともひょうきんである。こんなものを見たのはこの時が初めてだった。

ヤマボウシの実 一ヶ月の間にこんなに色づいて、気が付けば、足下にも黄色やオレンジ色の実が落ちていた。いつのまにか、もう山は実りの秋を迎えつつあったのである。

  娘に「この実って、おいしいらしいよ。」と言ったか言わないか、突然、別のヤマボウシの木が大きくざわめいた。

今の、なに?!
木を切ってるんじゃない?」と娘。

違う。木を切ってるのは、もっと離れたところだ。
・・・・なんだろう・・・?

すると、またしてもヤマボウシたちがざわざわと大きく揺れ、その波がだんだん遠くなろうとしていく、まさにその瞬間、波がぴたりと止まった!

それは、向こうからじっと見つめる目!何かの木の、二またに分かれたところに座って、じっとこちらを見つめている・・・
猿だ!

野生の猿である。相当大きい。ちょうど30mほど離れた木陰から、鋭い目線を差し向けているのである。
薄暗い茂みの中ではカメラを向けても無駄なことはわかっているので、はなから撮らなかったが、動物にとって目が合うと言うことは大変重要なことだ。目が合って動かないと言うことは、お互いに意識し合って力関係が均衡している状態で、目線が外れた瞬間に雌雄を決する場合もある。

  しかし、ここは猿の方が先客。「ぼちぼち食べ頃かいな?」と、ヤマボウシの実の熟れ頃を見定めに来ていたのだ。
なにせ、彼らは山の住民なのである。
「こいつら(nancyたち)」は、ちょっと来訪しただけで、すぐに立ち去ることを、猿はよく知っているのである。

しばらく猿と見つめ合った後、あっさりと視線を外して、「邪魔してごめんね。ゆっくり食べてよ。」と、ゆっくりとその場を立ち去った。

クワガタたちを帰した後には、ヤマボウシと猿。

大きな自然に抱かれていることを、強く意識せずにはいられなかった。 

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2005年8月15日 (月)

キツネノマゴ

キツネノマゴ 酷暑の日、山に行ったときに初めてキツネノマゴの花を見た。
最初は、何の花だかさっぱりわからなかった。それほど小さい花なのだ。花の長さは約8mm。この小ささの為、結局その日はうまいこと撮れず、家に帰ってからキツネノマゴという名前だけがわかった。

キツネノマゴ・・・(狐の孫) Justicia procumbens キツネノマゴ科 キツネノマゴ属

その後、国指定湿地の脇道で人知れず咲いているのを見て、小躍りしたのは言うまでもない。湿地近くに咲く花は、その湿度のせいか、生き生きとして色が冴えている。おかげで、拡大できるほどきれいに撮れた。なかなかじっと見る機会もない小さな野草であるから、どうかじっくりと見てやって欲しい。キツネノマゴの花

さて、「キツネ」が名に付く植物が登場するのは、、キツネアザミ 、キツネノボタン に次いで3番目だ。どれもなかなかのキツネ揃いである。
このキツネノマゴだが、なぜ「狐の孫」なのか、花が狐に似ているとか、花序が伸びて狐の尾のようだとか、今ひとつはっきりとしない。ともあれ、もしも花が可愛らしいから「孫」が付くのなら、まったく異論は無い。

湿地際で見た植物にはなぜか薬効を持つものが多いことは毎度書くが、このキツネノマゴもなかなかのお医者さんのようだ。
まずは、目薬としての利用。その他、腰痛に、健胃に、解熱、喉の痛み、はたまた咳を鎮めたりと、まさに八面六臂とはこのことだ。小さい姿ながら誠にあっぱれである。

ふと、小さな小さな狐が、薬箱を持って湿地を“ててて…っ”っと走っていく姿が目に浮かんだ。
あ、キツネさん、そんなに走って、くすり、落とさないで~!

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2005年8月12日 (金)

夕立と、ノシランと…

朝から曇りがちだった。午後には、「こりゃ、一雨来るな…」という天気になりながら、なかなか降らなかった。

世間はお盆休みである。しかしながら自営の我が家には、はっきりとしたお盆休みなど、ついぞ無い。だいたいが店主(nancy夫)の気分次第であるが、今ひとつノリもフットワークも悪いので、母娘二人で遊んでばかりいる。
昨日は公営プールに泳ぎに行ったが、さて、今日はどうしよう。

あてもなくどこかに走ろうかと思いながら、3時過ぎてしまった。さてぼちぼち出ようか・・・と、思った途端、「待ってました!」とばかりに大粒の雨がバラバラと降り出した。しばらく様子を見るとやや小降り加減になってきたので、とりあえずプリちゃんを走らせることにした。雨の具合がどうにもならなければ、ぐるりとドライブするだけでも良いのだ。お盆休みに、一歩も家から出ないのは、ちょっとばかり切ないではないか。

道中、一時は相当強く降ったりもしたが、ちょうど目星を付けた場所に到着した途端、意外なことに雨が上がった。

ノシラン そこで出会った最初のお花が、このノシランである。

ノシラン・・・(熨斗蘭)ユリ科 ジャノヒゲ属 Ophiopogon jaburan

ジャノヒゲに似ているが、さらに大きく、葉の長さは50~80cmほどにもなり、こんもりとしている。ランと名が付いているが、ラン科ではなく、ユリ科の植物だ。図鑑に寄れば、「東海以西に、主に海岸に近い林に咲く」とある。ちなみに、ここはあまり海には近くない。

ノシランの名は、葉は葉が熨斗(のし)に似るからだと言うのだが、果たして・・・?
「のし」というのは、よく祝儀袋の上の方に付いてる、色紙を折りたたんだような「あれ」である。

のし【〈熨斗〉】
祝い等の進物(しんもつ)に添えるもの。色紙を折って上が広く細長い六角形にし、細く切った“のしあわび”をその中にはりつける。[ATOK同音語用例文より抜粋]

う~ん…「のしを付けて返す」…なんてことを、常に言われそうで耳が痛い。(苦笑)

ノシランの花 その花は、白く清楚だ。残念ながら先ほど降った夕立のお陰か、花は閉じてしまっていたが、その代わり、置いてきぼりを喰った雨粒がきらりと光っていた。

ノシランには、ジャノヒゲ同様、ラピスラズリのような美しい実がなるはずだ。
その実が結ぶ頃、是非ともまた会いに来たいと思う。

・・・なんてことを思っていたら、ま~たバラバラと大粒の雨が降り出し、慌ててプリちゃんの待つ駐車場まで走った。

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2005年8月11日 (木)

オトギリソウの花 …湿地周辺の植物

オトギリソウの花 オトギリソウの花にやっと会えた。湿地を取り囲む森の中で。

すくっと立ち上がった茎の上部に、黄色い5弁の花が、木漏れ日を浴びていた。
カマキリに誘われて… ~オトギリソウ~では、つぼみの状態しか見れなかったので、ようやく会えた開花の姿は、まことにうれしかった。

オトギリソウ・・・(弟切草) オトギリソウ科 Hypericum erectum

オトギリソウの葉には、黒点呼ばれる油点がある。兄が、秘薬を漏らした弟を斬ったときに飛び散った血が、オトギリソウの黒点になったのだというのだが、なるほどこの黒い点は赤い色素を含んでいるのだと言う。昔の人が血になぞらえたのは正解!という訳だ。

オトギリソウの花 花を見ると、赤く小さな点が3つ見える。これは雌しべが3本に分かれているせいだ。雄しべは、写真の花ではあまり目立たないが、たいていふさふさと長い。

オトギリソウの花は、朝咲いて夕暮れにはしぼむ一日花。短い時間で受粉を行う為に、雌しべは分かれ、雄しべは長く、つまり、より効率よく受粉できるようにしているのだろう。

鷹匠が弟を斬ったのは、平安時代のお話である。まだまだ人間が自然の近くで生きていた頃だ。長きにわたり、この花の薬効は、多くの人たちを救ってきたに違いない。

兄が何よりも秘密にしておきたかったオトギリソウは、今もなお森の中でひっそりと咲いていた。

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2005年8月10日 (水)

クサギ …湿地周辺の植物

クサギの花 実に美しい花である… しべが長いので、一見スイカズラをたくさん集めたような豪華さがある。
先月、この湿地を訪れたときには、まだ花の姿は無かったが、ただこの植物の「大いなる特徴」だけ、自然観察員の方に教えて貰ったのだった。

さて、その特徴とは・・・?
ぬぁ~んと!その匂いである!クサギは、臭木と書く。
そう!まことに臭いから、クサギなのである・・・

クサギ・・・(臭木) クマツヅラ科 Clerodendron trichotomum

臭い植物と言えば、ヘクソカズラが草本の代表選手であるが、果たして樹木代表のクサギと比べると、どちらに軍配が上がるのだろうか…。が、およそ、そんな闘いには遭遇したくない。

もっとも、ヘクソカズラ同様、クサギも、何もしなければ特に臭いはしないのである。ところがもんだりつぶしたりしたら最後、うっへ~~!・・・ってなことになるのである。
ちなみに、恐いもの見たさ(かぎたさ)で、いったいどんな臭いなの?と問えば、・・・排泄物(小さい方)に似てると、臭いをかいだ娘は言っていた。

さてこのクサギ、臭いだけではない。民間薬として古くから珍重されているのである。リウマチ、高血圧、また、殺菌作用が強いので外用薬にできる。

また、春の新芽は食用にできるらしい。最初に食べた人には敬意を表したい。・・・いや、茹でたりすると臭いはなくなるとのこと。…心からほっとした。

その他クサギには、まだまだいろいろある。
今回見せてくれた、その美しい花は、なんとユリの花の匂いがするらしい。この木は、遠くからしか撮影できなかったので残念である。
また、その実も独特で・・・・っと、これは、実がなる頃まで待とう。

先月の観察会では、「くさい!くさい!」とそればかりで、クサギには大変申し訳なかった。
本当に奥の深い木だなぁ~と、いたく感心してしまった次第。

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2005年7月28日 (木)

カマキリに誘われて… ~オトギリソウ~

オトギリソウ久しぶりに山に行った。それも二日続けて。
ちょっとずれるが、一日目(昨日)の話。

カマキリとの出会いがきっかけになり、急に山を見たくなった。それも、夕方4時過ぎになって、急に思い立ったのである。

山と行っても、歩くのは安全なトレッキングコースで、10km足らずの道を走れば到着する。明るいから1時間くらいは歩けるだろう。いくらなんでも1時間はちと軟弱すぎるが、エアコンを付けっぱなしの家にいるよりは、よっぽどいい。

さて、1時間ということは、30分で折り返さなくてはならない。しかし、ちょうどその折り返し地点にオトギリソウが佇んでいて、nancyが立ち止まるのを待っていた。

オトギリソウ・・・(弟切草) オトギリソウ科 Hypericum erectum

オトギリソウについては、湿地に咲くヒメオトギリソウでも書いたが、鷹を直す秘薬(オトギリソウ)を他人に漏らした弟を斬ったという伝説から弟切草と呼ばれるようになったという。ちょっと怖いゲームのタイトルにもなったので、名前は知っているという人は多いと思う。

残念ながら、開花している花はないのだが、つぼみや葉などに小さな黒い点々が見えるのがわかるだろうか。この点は、赤い色素を含んで黒く見えるのだが、この点こそが、弟を斬ったときにオトギリソウが浴びた血しぶきなのだと言う。

オトギリソウ
は一日花。つまり、昼間行けば花に会えるかも…と思い、今日はお天道様の高い真っ昼間に行ったのだが、めちゃくちゃ暑い思いをしたのに、まだつぼみのまんまだった。残念!

しかし、たとえ開花はしていなくとも、オトギリソウは、充分に自分を主張しているように思えた。

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2005年7月24日 (日)

リョウブ (令法)

リョウブ山の麓では、リョウブの花が盛りだった。

リョウブ・・・リョウブ(令法) リョウブ科 落葉小高木
令法という名は、江戸時代、この木を飢饉の時の食料とするために、植栽を奨励するおふれを出したことから、韓名であるリョウブと呼ばれるようになったという。

春からなんとなくこの木が気になっていた。斜面にずんと佇んでいて、いつもこの木のそばにプリちゃんを駐める。車から降りると、「こんにちは」と心の中で挨拶をして、ひとしきり眺める。

いったい何の木だろうか?リョウブは落葉樹だから、当然、春にはまだ萌えたばかりの葉があるのみである。しかし、リョウブの赤ちゃん葉は見分けが付きにくく、未熟なnancyがわからないのは当然だった。その後、流れるように花穂が伸び始めたが、ずっとつぼみのままでなかなか開花せず、今度は「名も知らぬ花」が咲くのを待つことになった。

そして、一足先に、国指定湿地のリョウブは咲きはじめていた。自然観察員の方に教えて頂いて、このとき初めて「リョウブの花」が、nancyの脳みそに刷り込まれることになる。しかし、この時点でもなお、「名も知らぬ山の木」とリョウブとが、どうしても繋がらなかった。

いつかどこかで見たことがある木。どこかで聞いたことのある名前。
リョウブは、そんな木だった。

リョウブの花

・・・・・・・そして、
いつものようにプリちゃんを駐め、木に挨拶しようと近づくと・・・
数え切れないほどの白い花が、まさに今が盛りと咲き誇っていたのである。

あ、リョウブの花・・・。
唐突に口をついて出る。あの名も知らぬ山の木が、なじみ深い花へと変化した瞬間。

そうだよ。知らなかったの?…

風に葉を震わせながら、リョウブはそう応えた。

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2005年6月24日 (金)

ノアザミの綿毛

noazami-tane前に紹介した山のノアザミが、綿毛になっていた。

花が美しく咲くのは、子孫を残すという目的からである。
きれいに咲いている姿を紹介するばかりでは、どこか片手落ちのような気がしていたから、このダイナミックな姿を見た時には、いたく感動した。

さすがはノアザミタンポポの綿毛とは迫力が違う。落下傘の傘の部分、よく見ると太い毛羽の一本一本に、更に羽毛が密生している。

次の代を次ぐ子孫を、遠くへ。より遠くへ。もっともっと遠くへ。noazami

明日の風任せといった風情のタンポポと違い、自らの意志で風を選び、自らの分身を遠くへ飛ばす。
そんな、ノアザミの執念が伝わってくる。

風よ吹け。
我が身を、彼方の地へ遠く飛ばせよ…

そんな、ノアザミの歌が聞こえてくる。

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2005年6月 4日 (土)

ホタルブクロ

この時期になるとやってくる、突然の雷雨。

良い天気に晴れていたと思ったら、なにやら暗雲立ちこめ・・・と、まるで映画を見るが如く、あれよあれよと辺りが暗くなって、遠くから雷鳴が聞こえてくる。
やがて、ぼつっ、ぼつっと、リズミカルな力強い雨音と共に、雷も更に近くなり、地響きを立てる頃になると、雷雨も最高潮だ。

今日は、3度も雷雲がやってきて、その度にPCの電源を切り、コンセントを抜いた。東京にいる頃は、家にいて落雷の被害だなんて、想像もしなかったが、数年前にTA(ターミナル・アダプター)が、落雷の衝撃波で昇天したことから、せめて家にいるときだけは、こまめにコンセントを抜くようにしている。

ホタルブクロさてさて、空模様が気になるこの時期になると、なんとなくホタルブクロに会いたくなる。

ホタルブクロ・・・ホタルブクロ(蛍袋) Campanula punctata キキョウ科 ホタルブクロ属
実は、先日のキキョウソウと近い属のお花である。

にっくん そういえば、nancyの大好きな絵本、「14ひきシリーズ」いわむら かずお著 の中の、「14ひきのあさごはん」の中で、次男坊のにっくんがかぶっていたのが、このホタルブクロだった。

懐かしさが交差しながら、小さなネズミの帽子が風に揺れている。

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2005年5月13日 (金)

スズラン

suzuran ミルクが池に飛び込んだ日、スズランに出会った。

咲いていたのは2株だけだったが、花の白さが遠目にもくっきりとしていて、それはそれは存在感のある花だと思う。

スズランは、ユリ科 スズラン属 そして、花ことばは「純潔、繊細」… これには、いやいや、ごもっとも! と納得させられてしまう。

このスズランは、葉の方が高くて、隠れるように咲いている。ドイツスズランは、花も葉も同じくらいの高さだそうだから、これは日本のスズランなのだろうか…?

自然の中に咲いているので、気安くポーズなど取ってはくれない。オダマキを撮ったときと同じくらい、いや、それ以上に気を遣う。なにせ自然の中だから、いろいろな草が「一緒に撮ってよ」と入り込むのだ。この点、よくTVでピースしながら画面に入りたがる子どもたちのようである。

また、池そばの為に湿り気が高く、クモや様々な虫がたくさんいるので、目線の先ではものすごい生存競争が繰り広げられたりして、すぐにカメラマン(nancy)が目移りしてしまう。「どこ見てんのよ!」と、スズランに怒られて、慌てて戻る…と、冗談はさておいて…

すずらんは、こう見えても相当毒性が強い。見た目は清らかで愛らしいが、実際には、かなり気の強いお嬢様の雰囲気がある。

「さぁ、どうか可愛い表情を撮らせてくださいね。」と、心の中でお願いすると、スズランは、ますます可憐な表情になって、実に慎ましやかにカメラにおさまってくれた。

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2005年5月10日 (火)

モミジの実!その3

モミジの実 いよいよモミジの実も3回目。
モミジもいろいろな葉の形があるが、それに伴って実の表情も様々だ。今回は、特にモミジの種類については、書かない。モミジについては、また秋にでも書くことがあるだろうから。

今日ご紹介するモミジは、なんとも繊細な葉を持つ。…と言うわけで、その実も、なんともたおやかな表情である。薄桃から若草色までのグラデーションが掛かった、絶妙な色合いは、どうだろう。

モミジの実  自然とは、全てが必然的な調和の中で、絡み合い、時に信じられない造形美を生み出す。
もちろん、それは人間が楽しむ為などではなく、全ては種の保存という過酷な使命のためなのだが、この美しい竹とんぼが、新緑のモミジに止まっている姿は、まさに森の芸術である。

もしも身近にモミジの木があったら、是非近寄って観察して欲しい。きっと、かわいいプロペラが見つかるはずだ。

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2005年5月 9日 (月)

モミジの実!その2 ~母の日

モミジの実 今日も引き続き、モミジの実の話。
昨日の実の色は、それこそ赤とんぼを思い出すような、夕日の色であったが、今日ご紹介する実の色は、こんなにも鮮やかなピンク色だ。新緑と好対照で、くっきりと映えている。

モミジの実風に乗るための、ピンクの「プロペラ」が、はっきりと見える。
遠目にはまるで、これ自体が花のようだが、実際の花は、あまり目立たない。重なり合った実の中の、一番手前に見える小さいのが、モミジの(終わりかけの)花。まだプロペラができていない。花が終わった後、子房の「肩のような部分」が次第に肥大して、プロペラ部分を形成するのである。
こうして実が熟すのを待ちながら、いつの日か、母なる親木から離れて、飛び出す日を待っているのだろうか。

さて、明けてしまったが、今日は母の日だった。
夕方、ミルクを連れて恒例のサイクリングから戻ると、娘からのうれしいプレゼントが届いた。mothersday02 なんと、nancyの大好きな、PostPetのモモが、花を抱いているアレンジである。
ずいぶんと奮発してくれたもので、娘とは、かくも愛情を注いでくれるものかと、感激するばかりだ。

添えられたメッセージカードには、
「ママ大好き!またミルクと遊ぼうね♪ 漢験やろうぜ!」とあった…。
でも、あのう~、2級はとっても難しいんですけど…

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2005年5月 7日 (土)

モミジの実!

モミジの実 モミジの木に会った。
秋には、その美しい紅葉で、ずいぶんと楽しませて貰った。

ところが、木に近付いて、あれ?と立ち止まる。
…なんだか見慣れない物が付いているのだ。
「あら?これは何?なんだかトンボみたいな形だわ。」

これがモミジの花なのだろうか?
…いやいや、実は、これこそがモミジの実なのである。
へ~~!と、20回は軽く叩いてしまいそうな、青天の霹靂であった。
モミジの実
それにしても、なんと可愛らしい実なのだろうか。
まるで赤とんぼのようだ。モミジと赤とんぼ。出会い物みたいなコンビだが、なんでモミジの実はこんな形なのかというと、熟して茶色い種となった時、風に乗ってクルクルと羽根のように回って飛んでいくのだという。
そう!まるで竹とんぼのように風に乗り、親の木から離れて、遙か遠くに飛んでいくのである。

自然とは本当によくできているものだ。
またしても小さな感動を覚えて、心が一つ豊かになった。

さて、木が違うと、実の表情も微妙に違う。
明日は、他のモミジの実をご紹介したい。

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2005年4月27日 (水)

今春出会ったスミレ その4

タチツボスミレスミレ シリーズ第4日目は、山で出会ったスミレだ。

やはり、スミレは山の中がよく似合う。昼尚暗い森から少し出た、明るい小道端辺りで、ちらちらと可憐な姿を見せてくれた。

このスミレは、おそらくタチツボスミレと思う。割とポピュラーなスミレのようだが、まじまじと見たのはこのスミレが最初だ。

タチツボスミレ・・・スミレ科 スミレ属 V.grypoceras

コスミレたちと違うのは、葉の丸み、地上茎があること、距(花の後ろにある、蜜を入れるポケット状の部分)が細いことであるが、nancyが感じたタチツボスミレの一番の特徴は、なによりもその整った面立ちだと思う。タチツボスミレの花のアップ

どちらかというと、貴婦人のイメージがあり、タチツボスミレという名前の響きと共に、ちょっぴりどきどきしてしまうような、高貴さを覚えるのは何故か・・・

まさに、スミレの女王とも言えよう。

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2005年4月23日 (土)

今春出会ったスミレ その1

日本人は、スミレに対し、特別な思い入れがあるらしく、nancyも例外ではない。道ばたであろうが、山であろうが、スミレに出会うと、何とも言えない感動を覚えるのだ。

さて、この春、何種類かのスミレに出会った。しかし、なかなかアップする気になれなかった。
なぜなら、nancyは、スミレの見分けが、なかなかつかないのである。もちろん、趣味の人が見れば、すぐにわかるものばかりかも知れないが、距(蜜の入るポケットのような部分)の太さ、地上茎のあるなしなど、いろいろ図鑑に書かれてはいても、触るのは畏れ多いし、よく見てもわからないことが多い。なので、いつも、ただひたすら、カメラにおさめるのみである。

しかし、なんと今日、うれしいことに3種ほどのスミレと出会ったのをきっかけに、順不同になるが、少しずつご紹介していきたいと思う。名前の推測のつくもの、つかないもの…。どれも愛すべきスミレたちである。
ナガバタチツボスミレ今日出会ったのが、写真のスミレである。図鑑によると、ナガバタチツボスミレ V.ovato-oblonga  スミレ属 Viola らしい。
丸い葉が見えるが、細い葉も混在して見えるのが、その理由。

タチツボスミレは地上茎のあるすみれのグループの代表だが、このナガバタチツボスミレは、根生葉と呼ばれる葉は丸いハート形で、茎葉は細長い三角楕円形なので、違いがわかる。このスミレは、ツツジたちにしっかりと守られて、群生していた。

名前がわかると、より愛しさが増してくる。また会いに行きたくなるものである。

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2005年3月24日 (木)

山のアセビ(馬酔木)

山のアセビ(馬酔木)昨日まで書いてきた山の野草たちは、まだ目覚めたばかりと言った風情だが、ふと上の方に目をやると、真っ白なアセビ(アシビ…馬酔木)の花が今が盛りと咲き誇っていた。

アセビの花は、2005.03.06にピンク色のアセビで書いたばかりだが、あの時の「クリスマス・チアー」は、華やかなピンク色の園芸種であった。

山で出会ったアセビは、真っ白な鈴の連なりである。小道を抜けると、いきなり目の前にこの花が現れるのであるから、印象もひときわ鮮やかだ。日の光を一身に浴びて光り輝いている。その清々しさは、この植物が毒を隠し持っていることなど、微塵にも感じさせない。

山のアセビは、今が旬。今が見どころである。他の花たちが眠りから覚めて咲きそろうまでの、つかの間のヒロインを演じきっていた。

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2005年3月22日 (火)

ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)

ジロウボウエンゴサク(次郎坊延胡索引)土曜の山行きでキランソウの次に出会ったのは、ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)であった。

ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)・・・ケシ科 キケマン属 Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.

ジロボウ?!これまたずいぶん変った名前だ。図鑑によると、伊勢地方の子どもの遊びからその名が付いたらしいのだが、「太郎」がスミレで、「次郎」がこのジロウボウエンゴサクというわけ。ひょろっと長い茎を持ち、を引っ掛けて引っ張り合う、つまりは、花相撲とでも言おうか。
?…これまた馴染みのない言葉だが、ジロボウエンゴサクやスミレなどの花には、蜜を貯めておくポケットのような部分があって、それを距(きょ)と呼ぶらしい。なるほど、ジロボウエンゴサクの花を見ると、花全体が袋のようで、引っ掛け合うにはぴったりである。

そう言えば似たような遊びを、子どもの頃やった思い出がある。とはいえ、nancyは東京育ちで、ジロボウエンゴサクの花は記憶に無い。nancyが遊びに使ったのは、ムラサキカタバミという、どぶのまわりなど、どこにでも咲いてた、大きなカタバミの葉の筋を使うのである。誰かから伝わってきた遊びだが、どんなものでも遊びの道具にできる昔の子どもたちには、想像と工夫があったように思う。

話は戻るが、「延胡索」は、この花の仲間が薬草に使われるので漢名から付いたらしいが、それにしても大変面白い名前であることには間違いない。
ジロボウエンゴサク:全体の様子
山のジロボウエンゴサクは、いろいろな下草にまみれて、10cmほどの高さにぴょこんと顔を出して咲いていた。茎がどこから始まるのか、いったいどの葉がジロウボウの葉なのか、さっぱりわからないほどの有様である。落ちていた花を拾って観察してみたが、なるほど葉の付け根から下がぐっと長く、草たちの中から一本すっと立ち上がって咲く姿が見えてくる。

※このジロボウエンゴサクは、県によっては絶滅危惧II類に分類されています。弱くはないが、適地でないと生育が難しい種のようです。確かに、山においても分布は限られているようで、どこにでも生えているというわけではありませんでした。
 2005.03.24 追記

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2005年3月21日 (月)

キランソウ(地獄の釜の蓋)

キランソウ昨日に引き続き、山で見つけた春の話。
スズメノヤリの後に見つかったのが、この「キランソウ」だった。

キランソウ(金藍草/紫藍草/金瘡小草) ・・・シソ科 キランソウ属 

ずっと地面を注意深く見て歩かないと見過ごしてしまうほど、小さな青紫色の花だ。恥ずかしそうに、他の草の陰に隠れてそっと咲いている感じ。

キランソウには、別名「ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)」という、なんともすごい名前が付いている。
由来は、「ロゼット状の葉を地面に張り付かせているような姿から…」と言うが、春の彼岸頃、よく墓地などに咲くので、「春の彼岸の地獄の釜が開く頃に咲く」「先祖の霊を閉じこめている…」などなど、いろいろな説がある。まったく人間とは勝手なことを言う。(笑)

また、「古くから薬草として人々を救ってきた」という意味も持つらしい。「地獄」などという、一見恐そうな命名であるが、実は地獄の釜に蓋をしてくれる、ありがたい植物=古来人の感謝の心なのかも知れぬ。

写真の右下には昨日紹介したスズメノヤリが見れる。そう、スズメノヤリは、一度見つけたら、「スズメノヤリ・オンパレード」の如く、次から次に姿を現してくれた。しかし、キランソウは、この一株しか見つけることができなかった。

左に娘の指先が写っているのがわかるだろうか?他の草の裏に入ってしまい、うまく撮影できない為、一時的にまわりの草を押さえているのだが、それほどキランソウは小さな花である。

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スズメノヤリ(雀の槍)

スズメノヤリ昨日の山行きで、真っ先に見つかった春が、このスズメノヤリ(雀の槍)である。

山と言ってもそれほど高い場所ではないが、ハコベやナズナ、オオイヌノフグリといった、住んでいる辺りとさほど変わらない植物体系に、少しがっかり…する寸前に見つかった。(笑)
「最近ミルク(パピヨン)が、急斜面の登り降りが得意になったの。」と言う娘が、ビオトープ際の斜面を見つけて早速披露し掛けたところ、突然私が、「あっ!」っとミルクの足下を指差したので、みんなで「え?なになに?」と、顔を付き合わせて覗き込んだのだ。
スズメノヤリだ!」「へぇ~!
これが、スズメノヤリか・・・。なるほど雀が持ちそうな、10センチほどの小さな可愛い槍である。

スズメノヤリにお目に掛かるのは初めてなのだが、妙に初対面とは思えない感覚がある。なぜなら、2005.01.18に猫じゃらし?犬じゃらし?で書いた、「コツブキンエノコロ」を、この「スズメノヤリ」だとばかり思い込んでいたからである。図鑑の写真でしか見たことが無かった為、あんなに小さいエノコロが存在するなんて、思ってもいなかった頃だ。
スズメノヤリはエノコロとは違って、イグサ科(ちょっと嫌われ気味?)に属し、それほど珍しい植物ではないのかもしれないが、nancyの暮らす周辺には見当たらない。特徴としては、写真でも見られるように、葉に白くて長い毛が生えていて、なんとなく株全体がホワホワとして見える。
スズメノヤリの頭花
スズメノヤリの「槍」とは、頭花を大名行列の毛槍に見立てているらしいが、スズメの名の付く植物は多い。「スズメ」とは、「小さい」という意味で使われるのだが、頭の中では早速「雀のお宿」のスズメたちが行列を始めたのでおかしくなった。

上の写真の中、スズメノヤリから見て左上の白い毛は、ミルクのしっぱ。カメラを向けた先に、まず入ったのが、案の定ミルクだった。
「ミルク、ちょっとどいてね」を連発して、なんとか撮影したスズメノヤリは、精一杯太陽に向かって槍の先を伸ばしていた。

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2005年3月14日 (月)

寒い~~!

シモクレンのつぼみ毎日ここで、寒いだの暖かいだのと書いているが、今日は本当に寒かった!・・・
雨続きの後で、ようやく洗濯物が干せると思ったのに、ベランダでの風の冷たさといったら!手の感覚が無くなってしまうほどだった。それなのに、ようやく干した洗濯物も、お日様に会えたのは午前中のわずかな時間。
だんだんと厚い雲がやってきて、あれよあれよというまに雪が・・・それも、先ほどの冷たい風にのって、真横に吹雪いてくるではないか!
びえ~~!と、焦って洗濯物を取り込む。少しは乾いていたので、干したのはまったくの無駄ではなかったのがせめてもだが、寒い中せっかく干した洗濯物を、えっちらおっちらと階下に運んで、乾燥機に入れる・・・ この作業も、暖かさと共に少し減るかと思われた矢先なのだが、まだまだお世話になるね、洗濯(乾燥)機くん、よろしく。

2005.02.04にあと少しの…で書いた、シモクレン(紫木蓮)のつぼみだが、その後を見てきた。どうか見比べて欲しい。
こんなにふくらんで、ちょうどビロードの服を一枚脱いだところか…。よく見ると、ビロード服の下も、まだビロード状である。
なるほど、こうやって厳しい寒の戻りがあるから、いきなり脱いで凍えぬよう、きちんと準備万端整えながら、少しずつ咲いていくのだろうか…。おっちょこちょいなnancyは、少し見習いたいものである。

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2005年1月29日 (土)

怖ろしきもの…

まるでジャングル森に入った。そこは、神秘なる空間である。むせかえるほどの緑のにおい…。時折聞こえる鳥の声…。 そこには生命が溢れかえっている。
背の高い木の足下は、シダ類の宝庫。まるで太古のジャングルに踏み込んでしまったような錯覚に陥った。
一歩一歩、森深く進むと・・・「・・・!」・・・私は息を呑んだ!
なんて怖ろしい!!
スギの花
じゃ~ん!正体はこれ。スギの花です。それも、たっぷりと花粉の詰まった雄花!花粉を飛ばす日を、今か今かと待ちかまえています。スギに罪はありませんが、考えただけでくしゃみが出てしまう人も多いことでしょう。
nancyは現在は花粉症ではありませんが、血統的にはいつ発症してもおかしくありません。
春は森には入らない方がいいでしょうか・・・

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2005年1月11日 (火)

フウの実を見つけた!

冬なのに落葉していないフウ秋、はじめてフウという木に出会った。
フウを見ていると気持ちが優しくなってくる。私が山に通うようになった一つの要因かもしれない。だから、フウを見つけると、私は途端にうれしくなる。
フウは、カエデと間違えられやすいが、カエデはカエデ科、フウはマンサク科なのでまったく違う。最初は見分けが付かないこともあったが、フウは葉の付き方が互生(互い違い)なので、少し観察するとすぐにわかるようになった。
正月に山に行くと、落葉してしまったフウがほとんどなのに、豊かな葉をたたえた木に出会っておどろいた。この寒さの中、葉を落とさない個体があるのだ。いったいどこが違うのだろうか。そのあざやかだった色は褪せてはいるが、暖かな姿はそのままであった。
フウの実
さて、フウは面白い形の実を付けるというので楽しみにしていたが、思いもかけず家のそばでこの実を見つけて、とても感激した。ほとんどの実が既に落ちており、3個だけ拾ってきた。少しの震動でけし粒ほどの種がたくさんこぼれ落ちるのにもびっくりした。あんなに大きな木になるのに、このような形で実生なのだろうか。
触るとチクチクとしていて、手袋に引っ掛かった。昔、母がモヘヤのセーターの毛羽を立たせるときに、何かの実を使っていたのを思いだした。

フウ・・・どことなく懐かしいものを、心の中から見つけ出してくれるような木である。

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2004年12月20日 (月)

フユイチゴ

フユイチゴ昨日、「ヤブヘビイチゴ」の事を書いたので、今日は「フユイチゴ」の話。
これは「ヘビイチゴ」とは違って、れっきとした食べられるイチゴである。冬になるから「冬苺」。しごくごもっともな命名だ。私は、ちゃんとした名前を知るまで、なぜか「キイチゴ」なのだとばかり思っていた。私的には、木イチゴ=ラズベリーであるからまったく違うものなのに、思いこみというのは妙である。確かにつぶつぶしている実はなんとなく似ているけど。昔の記憶で、オレンジ色の実も食べたことがあるが、あれはなんだろうか…
さてさて、フユイチゴは、甘酸っぱくて山歩きに疲れたときにはなかなかおいしい。ジャムにするとMoreおいしいらしいが、山の動物たちのごちそうを奪っては悪いので、歩きながらつまむ程度にしている。
草というよりも、ほふく性の低木植物で、山では小道の脇に、笹の葉の間なんかから、赤い色がちらりちらりと見え隠れしていたりする。

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2004年12月14日 (火)

山のさざんか

sazanka 山に桃色の山茶花(さざんか)が咲いていた。
足下はまさにピンクのじゅうたんである。
踏むのが申し訳ないような、そんな気持ちでそっと歩く。
一足一足、歩くごとに冬が近寄ってくる。

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2004年12月 9日 (木)

またまたドウダンツツジ!

doudan02 山のドウダンツツジで貼り付けた写真のドウダンは、赤みの盛りを過ぎてきたが、今度は別ルートでものすごい赤さのドウダンを発見した。これはどうだ!、どうだん…と、冗談はさておき、小川の際にある為、湿度がほどよくあがるのだろうか。ほとんどカラー調整もしてないのに、この色にはびっくりした。日の光を浴びて実に映えている。

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2004年12月 3日 (金)

利己主義な木?!

egonoki

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2004年12月 2日 (木)

山のドウダンツツジ

doudan-tutuji

山の小道の一角に、まるで道しるべのように佇むドウダンツツジの姿がある。
ほんの少々道に迷っても、この赤を見ると、なにやらほっとする。
前を娘がミルクと走っていく…

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2004年12月 1日 (水)

山
ついこの前まで、山へ行くことなど、考えもしなかった。
それがまさか、恋人に会いに行く様に足繁く通うなど、誰が想像しただろう。
実は、娘が小さい頃には何度か訪れたことがある。
しかし、今は自分の為に歩いている。

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