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2006年12月26日 (火)

モミの木の赤ちゃん

モミの木の幼木 最低限の整備をされてはいるが、滅多に人とすれ違うことなどない、小さな山の小道で、モミの木の幼木と出会った。

モミの木が自然淘汰されるまでの時間(つまり寿命)はおよそ500年というから、この幼木は、この世に生を受けたばかりの赤ちゃんと言ってもいいだろう。
見たところ、樹高はおよそ50cm。
これも、人間の赤ちゃんの背丈ほど…と言った方がいいかもしれない。
昨年この山に登ったときにはまったく気が付かなかったが、きっとモミの実を好むリスやサルの落とし物から芽生えたのだろう…

モミ・・・(樅) マツ科 モミ属 Abies firma 日本特産の針葉樹 分布:本州~九州

山の小道とは言っても、薄暗い森の中ではない。
尾根筋とでも呼ぶべきだろうか、つまりはモミの好む、すこぶる水はけの良さそうな場所である。
しかし、この道は人ひとりがやっと通れる程度の道幅しかない。
成長したこのモミの木は、そのうち道をふさいでしまうかも…と少し心配になった。

モミは大きなもので40mにもなる常緑高木だから、もっとずっと先には遙かに背丈が伸びて、枝が道を通せんぼすることはなくなるのにな…でも、せっかちな人間はそれまで待てないだろうな…

昨年の「モミの木」はこちら
モミの木とシベリウス
モミの木とクリスマス・ツリー

モミの木

モミは日本特産の針葉樹である。
なんだかバタ臭い雰囲気のあるモミの木だが、日本人とは切っても切れない縁で結ばれてきた。
ちょっとびっくりするが、誰しもきっと一度は入るだろうお棺や、お墓に立てられる卒塔婆(そとば)が、モミの木で作られているのだという。
その他、結納台に、小田原かまぼこの板…。これらにもモミが使われている。
それは、モミの板が白くて無味無臭であり、見た目にも清浄な雰囲気があるからだが、実際モミの材に、抗菌性調湿性有害物質を吸い取り除去する効果のあることが、昔の人たちにはわかっていたのである。
なんだか今まで抱いていたモミのイメージが、がらっと変わってくるではないか。

モミの木の葉先 さて、こんなに小さくても、モミの同定はたやすい。
いや、“小さいからこそ”、かもしれない。
モミの葉先は、ちょうど先割れスプーンみたいに2つに割れてとがっているのだが、成木になるとこの特徴は薄れて、とがっていた先も丸くなるのである。
だから、どこかでモミの木を見つけて葉先が2つに割れてとがっていれば、その個体はまだ若い、ということになる。

ちなみに、同科ツガ属のツガもよく似た葉を持っているが、ツガの葉の長さは1~2cmと、モミの2~3cmより短く、またツガの葉は2つには割れずわずかな窪みがあるだけなので、注意すれば見誤ることは少ないだろう。

さて、モミの木は大気汚染に敏感な植物で、およそ都会の汚れた空気の中では育たない。
つまり、このモミの木の赤ちゃんは、この場所が間違いなく空気のきれいなところであると、身をもって証明してくれている…というわけなのだ。

これこそが、一見何にもなくてつまらなそうなこの山の、一番の贈り物なのだと思った。

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