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2006年6月 6日 (火)

深夜の招かれざる客

一昨日のことである。
とんでもない客がやってきた。
いや、「やってきた」というのは、正確な表現ではないかもしれない。

場所は深夜のキッチン。
相変わらず遅い時間に後片付けをしていたnancy、「ようやくフィニッシュ!」とばかりに台ふきんでその辺りの水気を拭き取ろうとした矢先、いきなり右手にビリッと電気的な衝撃が走った。

痛っ!

一瞬何が起こったのか、わからなかったが、反射的に手を激しく振った先に、カサササ…と逃げる何かが見えた。
カサササ…」である。

足の数が…多すぎるぞ……げ!!!
Mukade_1ゲジゲジ~~!刺されたぁ!

「ゲジゲジ」も「刺される」も間違いである。正しくは「ムカデに噛まれた」のだが、人間とっさに出る言葉なんてこんなもんである。
きゃつは、シンクの中をかさささ…と走り回り、生ゴミの後ろに逃げ込んだ。
それを見届けてから、ふと我に返った。

…いくらなんでも、痛すぎるじゃないのぉ…

びりびりと電気が走るような、はたまたカミソリで切られているような鋭い痛みである。
しかし、いったいどこを噛まれたのか、右の小指のどこかなのだが、はっきりとしたポイントがわからない。
それなのに、とにかくめっちゃくちゃ痛い

とっさにじゃーじゃーと勢いよく水道水を出して指に当てた。
これじゃまるで火傷の処置だ。ま、火傷の痛みに似てなくもないからいいだろう。
我ながら訳のわからない理論だったが、後になってみれば、この「水じゃーじゃー」が良かったらしい。
娘が持ってきた消毒薬を振りかけると更にびりびりと痛んだ。

「さて…、やつをどうにかしなければ…」
我が家でこれ以上犠牲者を出してはならない。
水道水に指を当てながらも、いっときたりともムカデの逃げ込んだ辺りから視線を離さなかった。
決して逃がしてなるものか…

半べそをかいている娘にお湯を沸かすように言い、意を決して最終対決に望んだのだった。
まるでエイリアンとの一騎打ちのような気分である。
煮えたぎったお湯の入った小鍋を片手に、生ゴミ裏へと狙いを定めた。
奴はここにいる…

…!アタリを付けて小鍋のお湯を撒いた。
するとムカデは、隠遁の術が破られたかのようにその禍々しい姿を見せ、時代劇の切られ役のように大げさにのけぞったかと思うと、倒れたまま動かなくなった。
あっけないほどの幕切れだった。
それでもなんだか不死身な生命を持っているような気がして、だめ押しでもう一度熱湯を掛けた。もういいだろう…。ふぅ~、思わず力が抜けた。

当面の恐怖が解決したところで、また指が痛みだし、「ムカデに噛まれたときの手当法」を検索した。
いろいろな情報があってありがたかったが、
中には、「ムカデにはムカデ油が一番」というのがあって、そのようなモノはそうそう手元にあるわけがないだろうと思った。
いつかムカデに刺されるときの為にムカデを探し回り、ムカデの反撃を喰らってまた噛まれてしまったら元も子もないのである。(注:ムカデ油は火傷の薬である)

また、「ムカデは必ず“つがい”で居るので、殺したときには必ず遠くに捨てに行かなければならない」というのもあった。
これには思わず指の痛みも忘れ、「ムカデ夫(オスかどうかもわからないが)の仇!覚悟!」と、白装束のムカデ妻が仇討ちにくる姿を想像してしまった。

…と、ここで笑い事ではないことに気が付いた。
ムカデの仇討ちも怖いが、それより怖いのがムカデの毒によるアナフィラキシー・ショックだと言うのである。
ハチ毒や食物、薬物等が原因で起こる急性アレルギー反応のうち、呼吸困難や血圧低下などの全身的な反応をアナフィラキシーと呼び、生死に関わる重篤な症状を伴うものをアナフィラキシー・ショックと言う。
昔、知人がアシナガバチに刺されてショックを起こして救急車で運ばれ、すんでのところで九死に一生を得たのを思い出した。
やばい…私はここでムカデに噛まれて命を落とすのか… 娘よ、さらば、無念じゃ…

…手当の話に戻ろう。
まず第一に、できるだけ毒を出さなければならない。
やり方としては、「口で毒を吸い出す」または、「水道水を流しながら指でつまんで絞り出す」というのが良いようだ。
最終的に両方ともやってみたのだが、まずは、「口で吸い出す」である。
傷付近に口を当て、ちゅっと吸ってはぺっと吐き出し、吸っては吐き出ししているうち、なんだか子どもの頃に見た西部劇の主人公のような気分になってきた。
ガラガラヘビに噛まれ、瀕死の重傷を負うのだが、傷から毒を吸い出して無事助かるのである。めでたし、めでたし…
…しかし、噛まれて涙が出るほど痛くて、相当焦っているはずなのに、なんでこう脳天気なことばかり思い出すのだろう。

と、手当の話に戻る。
次に、「ステロイド軟膏を塗る」とあったので、最近お気に入りの虫さされ用の薬を塗った。
最後に、どのサイトにもあった言葉が、「できるだけ早く医療機関へ」であった。
これについては深夜であるし、当面重篤な症状もなさそうなので、とりあえず寝ることにした。…が、この騒動の後では、なかなか寝付けなかったのは言うまでもない。

翌朝にはずいぶん痛みも取れて、病院にはなんとか自分で運転して行った。
お医者さんも「これなら大丈夫」と太鼓判を押してくれ、その後時間を追うごとに痛みは和らぎ、夜には小指でタイピングできるまでに回復したのだった。

おそらく、「水道水じゃーじゃー」や、「娘の消毒薬」や、「毒の吸い出し」や、薬が良かったのだろうが、通常ムカデに噛まれると、1週間くらいは腫れてしまうと聞く。
つまりは、たいして噛まれなかったのだろう。

ムカデの侵入経路を考えたのだが、nancy夫作「ブロッコリーのスプラウト」が入った、小さなバケツが思い当たった。
スプラウトは撒き方が悪く、食べるにはかなり難しい代物となったのだが、思えば玄関ドアの外で育て、そのままキッチンに「食え」と持ち込んで来たのである。
その中にムカデが潜んでいたのではないだろうか?
つまりは、いつかは噛まれる羽目になったのだろうから、これはまことにもって不幸中の幸い、この程度で済んだのだから、結果的には運が良かったような気がしてきたのである。

ムカデにしても、この度は悪意で不法侵入したわけではなく、言うなればいきなり室内に持ち込まれてしまったのかも知れないし、nancyの指を噛んだのも、いきなり掴まれてびっくりしての正当防衛と言えなくもない。
その屍を見ると、ちっぽけなゴムのいたずらおもちゃそっくりになってしまい、割り箸でつまむとぷるぷると空しく震えた。

次に噛まれたときは今度こそアナフィラキシー・ショックの恐怖が待っているのだが、それでも思った。

明日、土に埋めてやろうかな…。

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コメント

ムカデ、大変でしたね。
私の経験では、ムカデは必ずつがいでいます。
(2,3日経ってから片割れが歩いて?居ることがあります)
また、この時期は2階でも上がってくることがあります。
まだまだ、要注意ですよ~。
気をつけましょう!

投稿: LNY | 2006年6月11日 (日) 08:19

大変怖ろしい情報をありがとうございます。m(_ _;)m
白装束のムカデ妻に討たれるnancyでしたぁ!
では洒落になりませんね。(^^;)
玄関外では見たことがありますが、一応ムカデの忍び込める家ではないので、気をつければ入ってくることはなさそうです。
もちろん、要注意しますわ!(^^;)

投稿: nancy | 2006年6月11日 (日) 10:46

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