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2006年6月30日 (金)

6月の残像 ~テイカカズラ その3

単純なもので、テイカカズラの花がわかるとうれしくなって、山を歩きながらついつい目で追うようになっていた。

一年中見掛けるテイカカズラの「地上葉」(と呼んで良ければ)は、土の上はもちろん、あちこちの樹や石に気根(付着根)を出してへばり付き、それこそ山の至るところで見掛けるのだが、花を付けるほど育つにはある程度の条件が必要なのか、地上葉を見掛ける割には多くないようだ。
なので、あれほどにたくさんの花を付けたテイカカズラには、そうそうお目に掛かれるものではなかった。

テイカカズラ…と、6月も半ばになったころ、ツルアジサイの花を探しに山へ入った時、写真のテイカカズラと出会ったのである。

「これは…。」と、思わず息を飲んだ。
まるで小山のようである。
高さは2mちょいといったところか、とにかくものすごい花の数で、宿主?の樹木はというと、かわいそうに完全に覆われてしまって、まるでテイカカズラに飲み込まれてしまったようだ。

テイカカズラ残念なことに、これより向こうは藪の中なのであまり近寄ることはできないのだが、ここまで大きく育ったテイカカズラも珍しいのではないだろうか。
それはもう、テイカカズラの花・花・花・花……!!の連呼状態である。
無論、辺りに漂う芳香は喩えようもなく、しかもその全てを娘とミルクの2人+1匹で独占しているのだから、なんとも贅沢な時間だった。

テイカカズラ このように高さや周囲に繁茂する植物のお陰で、なかなか近づくことができないテイカカズラの花だが、ようやく小道脇に咲く花を発見。
高さもさほどでなく、お陰でちょっとだけじっくり観察できた。(あまりじっくりと見ていると、ヤブ蚊の餌食になってしまうが…;)

この写真のテイカカズラは、つぼみから花開くまでの様子を、まるで分解写真のように見せてくれている。
(合弁花であるテイカカズラの花弁は裂片と呼ぶが、)5裂した裂片はまるで5枚羽根のプロペラのようで、今にもくるくると回りそうな表情をしており、縁はゆらゆらと波打って、いかにも涼しげだ。
花が咲き進むと裂片は次第に細く黄色くなっていき、ますますプロペラ状になっていくのである。

さて、nancyを大いに悩ませてくれたテイカカズラの葉だが、あの地上葉は、つまり「テイカカズラの幼木の葉」ということになるのだろうか。
テイカカズラの葉ただし、全ての幼木が花を咲かせるまでに育つわけではなく、取り付いた樹木の形や高さに恵まれるなど、一定の条件を満たした環境の個体のみが、花を咲かせる特権を得るのかも知れない。

こうして「花と共にある葉」と、「幼木の葉」とを比べると、全く様子が違うのがわかる。
成木の葉にはあの特徴的な模様は無く、光沢のある緑色のごく普通の葉なのである。

テイカカズラの葉 もう一つの大きな違いとして、テイカカズラの幼木は気根を出して木や石にしがみついているのだが、花の咲く蔓は掴まっていた樹から離れ、宙に身を乗り出している。
すなわち、葉っぱが違えば樹形も違うわけだ。

おまけに森の中では種々雑多な植物が入り乱れている為、足下からの全体像を見通すことが難しく、ましてテイカカズラの花の位置は高いと来ている。これでは同じ植物と思えないのも当然である。

テイカカズラなぜ、花の咲く蔓は、樹に掴まることをやめて自由に伸びるのだろう。
風が吹けばテイカカズラの花は蔓ごと大きく揺れ、甘い芳香をふわ~っと辺りいっぱいに振りまく。
匂いに誘われた虫(主にスズメガ)を、その白く目立つ花に呼び込んで、受粉してもらう作戦なのではないだろうか。

6月の残像、テイカカズラ。 あのにぎわいは今いずこ…。
今はただ、特徴ある地上葉のみが目に付くだけの静かな日常に戻った。
あとは結実した実がじっくりと熟すまで、しばしまどろみの時を過ごすのだろうか…。

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