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2006年6月18日 (日)

オトシブミを追って

Otoshibumiyoran02 親オトシブミとの対面は一瞬で終わったが、そのシルエットはくっきりと印象に残った。
「色は黒く、首がやたらと長い」のである。
これだけわかればなんとかなるかな…と思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。

元々少し薄暗い樹下でのことで、おまけにわずか一瞬の出来事だ。「黒」と言っても、濃い茶色ではなかったかと聞かれれば、はっきりとは否定できない。
所詮人間の記憶なんていいかげんなものである。ことに自分の記憶こそが一番アテにならないことは、常日頃痛感していた。(苦笑)

伊澤和義さんのホームページ「オトシブミ・チョッキリの世界」に掲載されている写真を見てみたが、いくつか候補は挙がったものの、「黒っぽくて首が長い」だけではとても一種に同定しきれるものではなかった。

ただ、nancyの見たオトシブミが、揺籃を巻いた虫でないことは明らかだった。
なぜなら、「首が長い」ということは、それがオスであったということを物語っているからである。
そう、オトシブミの揺籃を作るのは、メスだけなのだ。
メスの仕事中、オスが近くにいるときがあるが、この場合も手伝うことは絶対にないらしい。
つまりnancyが見た虫は、揺籃内の卵のお父さんということになる。

さて、虫の同定の決め手になるものに「食草」がある。
一種、もしくは2種くらいに限定されたした食草を持つ虫がいるのである。
もしかしたら、この揺籃のホスト木を同定できれば、オトシブミの種類も同時に同定できる可能性があるのではないかと考えたのだ。

そこで、今度はこの木の同定ということになった。
しかし、自慢じゃないが花が咲いていない木の見分けにはとんと自信がない。(咲いていたって怪しい;)
と言うわけで、今度は左サイドバー「参考サイト」にリンクを張らせて頂いている「このきなんのき」の掲示板で教えて頂くことにした。
ちなみに、ここには怖ろしいほどの?眼力の持ち主がたくさんおいでで、今まで質問してわからなかったことは皆無である。
今回も実に速やかなお答えを頂いたのだが、その回答こそが、今回のオトシブミが「その種類でなければならない」と言えるほどの、確かな証拠となり得たのである。

この木はエゴノキだったのだ!
これにはびっくりした。エゴノキ なんと、エゴノキとな!
エゴノキならちょうど川の向こう岸に、つぼみをたくさん付けた木があり、下界ではもう花は終わりかとあきらめていたのでうれしくなって写真におさめていたのである。
こちら岸の木には花がなかったので、エゴノキだなんて想像もしなかった。なんともおまぬけなことである。

エゴノキ・・・エゴノキ科 エゴノキ属 Styrax japonica 北海道・本州・四国・九州・沖縄に分布する落葉高木 花期:5~6月

と言うわけで、nancyが見たのはその名もエゴツルクビオトシブミだったのである。
エゴツルクビオトシブミは、エゴノキをホスト木とするオトシブミであり、その姿は真っ黒で、オスの首は極めて長い。写真を見て思った。「そうそう、この虫!!」
こうして3つの要素が揃い、同定までに至った経緯は、まるで一つの物語を紐解くようで、心からわくわくさせてくれた。

しかし、物語はこれで終わったわけではない。
実はエゴノキ自体、大変おもしろい木であり、おもしろすぎてなかなか書けないほどの兵(つわもの)である。(笑)
それに、オトシブミについてもまた新たな疑問が沸いてきた。

またいつか、うまいこと川が渡れそうな日があったら、エゴノキエゴツルクビオトシブミに会いに行きたいと思っている。

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