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2006年5月29日 (月)

キンラン(金蘭)の若い花

残念ながら開花には出会えなかったキンランに別れを告げて、更に小道の奥へと足を進めた。

10日ほどの間に、山の小道はすっかり緑に包まれていた。
ああ、ここにはチゴユリがたくさん咲いていたんだっけ…
そんなことを思いながら、覗いた草むらの中で光る黄色い花を見つけた時には、思わず目を疑った。

キンランの花そこには、たった一つだけ花を付けた、小さな小さなキンランが咲いていたのである。
北側に面した斜面では、季節が少し遅く流れていたのだろう。
なんだかチューリップのようにも見えるが、紛れもなくキンランだ。

キンランは、通常3~12個の花を付け、高さ40~80cm(図鑑によっては30~70cm)ほどになる多年草なのだが、この花の草丈は20cmあるか無しかである。
まだまだ若い個体なのだろう。

キンランの花 …と、もう一つびっくりしたことが!
なんと、わずかに離れてもう一株のキンランとも出会うことが出来たのである。
こちらの個体は花を二つ咲かせていた。

5月の木漏れ日を浴びて咲く2人の姿はまことに愛らしく、しばらくはカメラを向けることもできずに、ただただ見つめていた。

キンランの花その花は、丸くふっくらとした(5裂した)花弁を上に向けて半開させていた。
一番最初に出会ったキンランのつぼみは、最初から横を向いていたが、この花はずっと上を向いていたのだろうか。
見れば、まだ開き掛けたつぼみのように見えるが、もしかしたら、これ以上開くことはないかもしれない。
キンランの花は、いわゆる「蘭の花」っぽく開くものもあるが、こうした半開のまま終わる花も多く、個体差が大きいようだ。

周りを探せばもっと大きな株があるのでは?と思われたが、どうやらこの2個体以外にはキンランらしい姿は無かった。
それにしても、増やしたくてもなかなか増えないと言われるキンランの若い株と相次いで出会えるなんて、本当に幸せなことだ。

山の小道なぜこの小道で3株もの若いキンランが育ってきたのだろう?
これには、おそらくこの小道の歴史が関係すると思われるのだ。
それというのも、この小道が最初に整備されたのは相当昔のことらしいのである。
その頃は、キンランも小道端にたくさん咲いていたに違いない。

しかし、いつしか放置されてうっそうと草木が茂ってしまい、nancyがここを訪れた当初は、とても立ち入ることなど出来ない状態だった。
それが最近になってボランティアの手が入り、長い年月道を覆い隠していた木々や草、笹などが刈られ、朽ちていた丸太の橋も修理された。
かくして山の小道に明るい陽が差し込むようになり、キンランたちが萌え出るようになったのではあるまいか?

キンランが好むのは落葉樹林だが、適度に光が差さないと当然光合成ができず、地下茎も充実できない。
森の中、木漏れ日を浴びて金色に光り輝くのがキンランの真骨頂である。
あまりにも放置されすぎた暗い森では、キンランが咲くのは難しいのだろう。
近年のキンランの減少には、無論乱獲もあるが、雑木林など、里山の放置も影響していると言う。
里山を保全することは、希少な動植物を守る意味においても、非常に意義のあることと言えよう。

キンランの花さて、キンランの葉の基部は茎を抱いて互生しているので、シルエットに絶妙なうねりを生じている。
見方によっては、たおやかな女性の姿と喩えることができよう。
さしずめ、このキンランは少女の頃だろうか。
来年の5月、無事に彼女たちが花開けることを、心から祈らずには居られない。

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