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2006年4月 2日 (日)

たくましき春の妖精 …コスミレ

昨日とは打って変わって、今日は朝から冷たい雨。
なかなか冬支度から離れられないが、周囲の植物を見ればやっぱり春なのだ。
そうかと思えば昨年の4月末には、もう寝苦しいほどの蒸し暑い夜が訪れていた。
ここ最近の極端な温度変化は、いったい何を意味するのだろうか。

コスミレさて、身近な春からコスミレの話。この春二度目の登場である。
昨年、道路とブロック塀のわずかな隙間に咲いているコスミレを見て不思議に感じたこと。
良さそうな土がすぐ近くにたくさんあるのに、なぜわざわざこんな所に芽吹くのか?
とは言え、周囲には仲間のコスミレが見当たらないのはなぜか?

コスミレ・・・スミレ科 スミレ属 Viola japonica 人家近くや山野に生える。

コスミレの種は(パンジーやビオラなどと同じように)、果実が熟すると3裂した果皮から、種が勢いよくはじけ飛んでいく。
これを自力散布と呼ぶが、その飛距離、なんと2~5mくらいにも及ぶらしい。しかしそれならば、四方には仲間のコスミレがたくさん咲くことになる。
もちろん、そうした群落となって咲くものも多いのだろうが、中にはこの写真のように、ぽつんとひとり存在しているコスミレを見かけることがあるのだ。
ざっと見渡してみてもコスミレの影など見ないのに、おまけにちゃんとした土に芽生えればいいのに、なぜアスファルトの割れ目や石垣の隙間から顔を出すのだろうか?

その訳は、コスミレの種に秘密がある。
コスミレの種には、エライオソーム(Elaiosome 別名:種枕)という、アリの大好物なゼリー状の物質が付着しているのだ。
スミレは、この「おいしいご褒美」を使って、種をアリに運んで貰うのである。

エライオソームは、アリにとっては文字通り垂涎もので、各種脂肪酸、アミノ酸、ショ糖などで構成されており、アリはたまらずエライオソームの付いたスミレの種ごと巣に持ち帰る。
果たして地中深い巣に運ばれたスミレの種は、アリに食べられてしまいましたとさ。…では話にならない。ご安心あれ、アリはスミレの種は食べないのだ。
しかし、食べられないまでも地中深く持ち運ばれてしまったら、地上での芽吹きは不可能なこととなる。そこがポイントで、これもコスミレの作戦のうちなのだ。

アリがエライオソームを食べ終わった後、残ったコスミレの種はアリにとっては不要なゴミとなるのだが、そこはさすがの働き者。役に立たないゴミは、さっさと巣の外に運び出されるのである。

アリはアスファルトの裂け目や石垣の間などにもよく巣を作る。雨で土が崩れることもないし水はけ良好、アリの住宅としては意外に良い物件なのだろう。
アリが住みやすいなら、コスミレにとっても同じである。
コスミレの好きな「水はけの良さ」はばっちり、おまけに巣のまわりには他のゴミも捨てられているから、コスミレが育つのに必要な水分や栄養分も豊富という、まさに好条件が揃っているというわけなのだ。

というわけで、自力散布ではもう一つ届かない場所までアリに運んで貰うこの方法を、アリ散布と呼び、コスミレやスミレ、タチツボスミレたち、シソ科のホトケノザヒメオドリコソウ、カタバミ科のカタバミ、ケシ科のムラサキケマン、ジロボウエンゴサクなど、約200種の植物がこうした仕組みを持っている。

誰に教えて貰ったわけでもないのに、絶妙な方法でたくましく子孫を残していく春の妖精コスミレ。しかし、用意周到な彼らの作戦は、この一つだけではないのだ。
その続きは、またの機会に…

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コメント

素晴らしいコスミレの解説。ちょうど今朝不思議な物を見た後だったし、じっくり読ませ頂きました。藪に今年初の筍を見に行った時の事、梅の古木の枝の切り口にスミレが一株茂っていて、何でこんなところに?と近寄って、横の洞を何気なく覗いたら、ウロの中の奥の方にも同じくスミレがホコっていました???不思議ななぁ~と思っていた所なんです。葉っぱは丸いスミレでしたが・・・
自然界では不思議な事が日々行われているんですね~

投稿: lucky | 2006年4月 3日 (月) 09:17

luckyさん、こんにちは。
去年生まれた「なぜ?」が、一年後にようやくおぼろげながら形になってきたと言いましょうか…
意外な場所に咲いているスミレ、実は彼らの戦略の一つだったなんて、驚きですよね。
自然界の不思議に、また一つ感動してしまいました。

投稿: nancy | 2006年4月 3日 (月) 11:04

れぃれぃがnancyと散布するはずだったの。
おまけにここに巣へ散布すればよかった?

投稿: BlogPetのれぃれぃ | 2006年4月 8日 (土) 09:36

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