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2005年10月20日 (木)

ヘビノボラズの実 ~湿地の植物

hebinoborazu-aki 2005.07.13にご紹介したヘビノボラズの実が、こうしてきれいに色づいた。

ヘビノボラズ・・・(蛇登らず) メギ科 メギ属、Berberis Sieboldii  落葉低木

前に書いたことと少し重複するが、ヘビノボラズは貧栄養の湿地にしか生育しない、絶滅に瀕している日本固有の落葉低木である。

そのけったいな名前は、非常に鋭いトゲを持つために「ヘビでも登れないだろう」ということから付けられたらしいが、今では「ヘビでもめったに登れない」ほど、数が少なくなってしまったヘビノボラズという意味になるだろう。

日本固有の種ということは、全世界で日本だけにしか自生しない種という意味である。
おまけに現在では、宮崎の一部を除いては、伊勢湾周辺の湿地にしか生育していない。
もちろん、この地すらも安住が約束されたわけではない。
日本中、どの湿地も温暖化による影響などから、徐々に水量が減少しつつあるのだ。
つまり、ヘビノボラズはいつ姿を消してしまうとも限らない運命なのである。

「湿地は人間に必要ない」と考える人たちは多い。
…しかし、そう結論づけるのは、あまりにも尚早である。
仮にヘビノボラズの生育環境が破壊されるとしてみよう。つまり、小さく見積もって伊勢湾周辺の湿地が干ばつ化してしまうとしたら…、その影響は、単にヘビノボラズが絶滅するだけではとどまらないのだ。

もっと範囲を広げて、もしも世界中の泥炭湿地が干上がってしまったら、いったい私たちはどうなるか… 泥炭湿地=炭素の固まりである。それが水気を失ったら、大量な温室効果ガスが放出されて、あっという間に地球温暖化はピークを迎え、後には滅亡という怖ろしい2文字が待っているのである。

シベリアの永久凍土の急速な溶解を契機として、現在、泥炭湿地の保全活動は、世界的な優先事項になりつつある。これは日本も決して例外ではない。
一口に「植物が絶滅する」と言うが、もはやこれは単なる感傷論ではすまされないことであって、もっともっとシビアに考えていかなければいけない切実な問題なのだ。

ヘビノボラズは、決して自らの手で身を滅ぼすことのないようにと、その身をもって私たちに教えてくれているのである。

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