月とススキと里芋と…
今の家に越してきた年のこと、近所のおじいさんが、ススキと里芋をくれた。この辺では、お月様に「ススキと里芋」をお供えするというのである。
里芋?お団子じゃないの?・・・当初は少し驚いたが、里芋を供えるのは収穫を祝う意味もあって、中秋の名月は別名「芋名月」と呼ぶらしく、もしかしたらお団子よりも謂われは古いのかもしれない。
そういえば東京にいた頃は、お月見なんてあまり縁がなかった。四角い空に丸い月。あまりお月見が似合いそうな風景ではない。
今宵は月を愛でて楽しもうか・・・
まずは、善は急げと里芋を買いに行った。農協の即売マーケットに行くと、さすがに小ぶりな里芋が並んでいたのでget。
次はススキである。近所の土手では、ずいぶんススキが咲いているのだが、今宵のためにだいぶ取られたと見え、足場の良いところではうまい花がない。しかし、まぁ、いい頃合いを見つけてこれもget。
肝心の月は、東の空にやってくる。
東の田んぼの方に行けば、見晴らしなど、思いのままである。
果たして、雲が薄く存在してるらしき月ではあるが、びっくりするほど大きな、オレンジ色の丸い物体が“そこ”に存在していた。
何度見ても、この時間の、満月には感動する。
なんだか不思議な気持ちになってしまうのである。
そうだ!写真!
・・・今まで星の写真など撮ったこともないのだが、家のどこかに父が忘れていったビデオカメラ用の三脚があることを思い出した。
が、引っ張り出すのも、組み立てるのも時間が掛かり、いざ出陣となったら、だいぶ月は高く上がってしまっていた。しかし、それでもまだまだ大きさを保っている。
これが、はじめて撮った月の写真。
三脚で固定されたカメラのレンズは、驚くほど多くの光を集め、月はまばゆいばかりとなってしまい、ごらんの通り、まんまと飛んでしまった。これではウサギも何もわからない。
肉眼で感じる月とは違う、力強い月が、そこにはいた。
…そうなのだ。
いくら田んぼ脇とはいえ、まわりは街灯で、ほどよく明るく照らされている。
だからnancyたちには、本来の月の明るさがわからないのである。
しかし、もしも“光害”のない世界ならば、なんと月明かりで新聞が読めるのだという。
昔の人たちは、真の夜の中で煌々と輝く神秘的な月に畏怖の念すら感じて供え物をしたに違いない。
今のnancyたちが風習だけで行っている「お月見」とはまったく次元の違う、正真正銘の月を見ながら、真摯に祈りを捧げたのかもしれない。
私たちは、ずいぶんいろいろなものを失ってしまっているのだなぁ…と、優しげに光る月を見ながら一人思った。
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コメント
へえぇぇ~~ そうなんですか。
アバウトなはむは
ザッと9月だか10月の満月を
中秋の名月というんだと思ってましたョ。
恥ずかしいなぁ もう・・・(*^^*)
勉強。勉強。(今頃)
うさぎ見えなくて残念でした。
でも、とっても綺麗でしたね!!
月明かりで本を読んでみたいもんです(^^)
投稿: はむりん | 2005年9月19日 (月) 09:15
本当にびっくりでしたよ。意外な広量に。
オートでは当然スローシャッターになるのですが、
もう少し早いスピードで良かったんですね。
撮ると、表示された液晶が光るんですもの!明るくて。
肉眼では、ウサギ見えましたよ。
投稿: nancy | 2005年9月19日 (月) 10:10