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2005年8月21日 (日)

旅するユリ …タカサゴユリ

タカサゴユリ 台風が近づいているせいか、ここ数日雨がちになっている。気温は若干下がってはいるものの、湿度が高くてまことに居心地が悪い。

さて、写真のユリ。今の季節、あちこちで見かける。
nancy家の庭にも咲いている。しかし、植えた覚えはない。このユリは、実生で増えるユリなのである。

タカサゴユリ・・・(高砂百合) ユリ科 ユリ属 Lilium formosanum

2年前に、娘はこのユリの花粉を顕微鏡撮影したり、種の輪切りをスケッチしたりして、最後はPower Pointにまとめ、印刷した模造紙版とCD-Rを提出した。小学5年のことだ。

当時は名前もわからなかった。ある日突然風に乗ってやってきて、白い花を咲かせたように思えた。
通常の野草なら、一度根付いたらずっと同じ場所で咲くのだろうが、ある年、また “ふっ”といなくなった。かと思うと、今年はまた、庭の違う場所で咲いている。

実は、タカサゴユリは帰化植物である。故郷は台湾。高砂とは、台湾の地名である。
しかし、一般的にはあまり好まれないと思われる「帰化植物」でも、こんなにきれいな白百合が咲くのなら、雑草として抜いてしまう人はほとんどいない。
大輪のユリが、植えた覚えもないのに、庭の片隅や、道ばた、コンクリートの割れ目など、場所を問わずに咲くのである。共通条件は日当たりが良いこと、くらいである。

ユリは、たいていが球根で増えるものである。もちろん、雄しべも雌しべもあるから、結実すれば種ができるのだが、あまり種では増やさない。あれだけの花を咲かせるには、やはり球根の充実が必要になってくるからだ。

タカサゴユリの種が土に落ちると、まず1年目は茎を伸ばさず、ジャノヒゲのように細い葉だけを地上に出している。そうやって、エネルギーを使わないようにして球根をどんどん充実させていき、2年目、3年目になってようやく茎を伸ばし始めるのである。それでも、一般的なユリに比べれば、はるかに短い期間で花を付けることができるのだ。これが、近年増加している理由だろう。

茎が伸びて「ユリらしさ」がうかがえるようになってくれば、人間様は誰も抜いたりはしない。あとはぐん!と身体を伸ばして、少し細長い、しかし豪華な白い花を咲かせるのである。
ましてnancy家では、じゃまするものなどいない。その気になれば、庭中タカサゴユリだらけになっても不思議ではない。

しかしながら、同じ場所にずっと咲くことなく、数年するとタカサゴユリはどこかに旅立っていく。連作を嫌う植物は他にもあるが、ウィルスのせいなのかもしれないし、旅立つ宿命でもあるのかもしれない。
ある日やってきて、またいつの間にかいなくなる白百合… そして、人間たちは、その花の美しさを忘れることはできなくなるのである。

植物にはいろいろな戦略があるが、このタカサゴユリの一番の味方は、人間なのかもしれない。

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